ダーク・ファンタジー小説
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- (リメ)無限エンジン 1-6更新!
- 日時: 2013/11/24 12:22
- 名前: 風死 ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17023
プロローグ
見渡す限り闇が広がっている。
これはある少女の夢世界。
少女は怯えた声で助けを呼ぶ。
「お父さん、ファンベルン、爺や! 誰か誰か……いないの!?」
何度呼んでも助けは来ない。
最初から分っていたことだ。
少女とて夢と現実の区別がつかないほど、子供ではないのだから。
この幻想を切り払うたおうと彼女は動き出す。
ほどなくして少女は、底無しと思えた闇の中に光を見つける。
「これは、なーに?」
突然現れたように見えた光源に、彼女はおそるおそる手を伸ばす。
これが夢の終点だと信じて。
鬼や蛇が出るなどとは考えず。
「よぉ、やっと見付けてくれたんだなお嬢ちゃんっ」
「えっ!?」
だが夢は終ることなく、まだ幻想は続く。
光が脳に直接しゃべり掛けてくる。
高めの少年っぽい声。
少女は困惑して後退(あとずさ)りした。
声の主は深い溜息をつく。
「酷いな。何でそんなにびびるんだよ? 僕はお前なんだぜ?」
「どういうこと?」
悪態(あくたい)をつく光。
その言葉の意味が分らず、おそるおそる少女は問う。
「あぁ、ははっ、そうか。悲しいが君は僕を認識していなかったんだな? 僕の名前はエンジェルビーツ。無限エンジンの一員さ」
「無限……エンジン?」
耳慣れぬ言葉を理解できず、再び少女はエンジェルビーツと名乗った存在に説明を求める。
だが少年声の光源はその質問に答える気はないらしい。
勝手に自分の言いたいことをしゃべり出す。
「神に選ばれた存在。自分の苦悩や希望を僕達にささげることで、絶対なる力アクセルを手にすることができるエージェント。それが君さ」
そんなことを聞いているんじゃない、と怒鳴ろうとした瞬間夢は終焉(しゅうえん)を迎え。
そしてカーテンの隙間から朝の光が降り注ぐ。
「夢?」
『無限エンジン、アクセル? 意味が分らないよ』
少女の体は震えていた。
全く考えたことも無いことが、夢に出てくるなんておかしい。
普通の夢とは違う。
そんな違和感。
同時に今まで感じたことの無い衝動が突然走る。
何の脈絡も無く。
少なくとも現時点の少女にとっては、全く訳の分らない感覚だ。
我慢できず彼女はその欲求を口に出す。
「あれ、なんだろう? あぁ、変な気分。人間の目が食べたい。特に左のほうの……」
——————————
※参照にリメイク前の無限エンジンのURLを載せました。
ストーリーなど一新すると思いますが、参考程度に覗いても良いかもしれないですね♪
現状ですら手一杯だと言うのに、新スレを建てた風死です。
ファジーで一つ、シリアスで二つ、二次で二つ現在小説を執筆していますが、正直ほとんど完結させるつもりはないのが現状です。
そんな私でも良いのなら、ついてきてください!
もちろん、更新は遅いです。
それと、グロ注意!
ちなみに本作品は2年程前書いていた作品のリメイクです!
最後に、誤字・脱字・文法ミスなどのご指摘および感想は大歓迎!
宣伝や雑談、中傷はお断りします。
【更新履歴】
第1章第1話 Part1 >>1 Part2 >>4 Part3 >>8 Part4 >>12 Part5 >>15 Parat6 >>21
【番外編やもらい物】
No Date
【お客様】
利佐様
葵様
クー様
3名様 コメント有難うございました!
執筆開始日 4月17日
>>10 クー様へのコメント
お早うございますかも、ですね(苦笑
ないか。
昔読んでいたということは、結構な古株さん!?
何か凄い嬉しいです!
きて下さって有難うございました。
文章に関しては、少しは成長したのかなと……(苦笑
長ったらしい文章も装飾華美な文章も好かれないって現実。
まぁ、比喩とか少なすぎても詰まらない文章になってしまいますが……
難しいですね。
- Re: (リメ)無限エンジン 1-2執筆中 ( No.1 )
- 日時: 2013/06/03 15:57
- 名前: 風死 ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)
無限エンジン 第1章 第1話「さぁ、籠の中にいるのを止めるときだよセリス?」Part1
人間歴2016年6月19日。
セリスの住む国、インデットは初夏を迎えていた——
インデットの夏は厳しく、早朝だというのにすでに陽光は暑い。
だが少女にとってそれは二の次だった。
右目が青なのに対して左目は緑という変わった配色の少女は、寝ぼけ眼を擦りながらお腹を鳴らす。
「お腹減った。つば凄いよぉ。気持ち悪い」
どうしても空腹を我慢できなくて、少女はベッドから起き上がる。
そしてクローゼットを開け、シワ1つ無く完璧に洗われたワンピースを羽織(はお)う。
クローゼットの扉裏にある鏡を見ながら、紅の短髪を整(ととの)えていく。
身支度を終えて彼女がドアノブを開こうとしたとき。
ノックの音が響く。
定時の食事時間前に朝食を取るなど、はしたないマネをせずにすんだことにホッとするセリス。
彼女は一歩後ろへと下がり、誰が入ってくるのかを待つ。
「お嬢様、朝食の準備が整いました。あら、もう着替えていらっしゃったのですか。珍しいですね」
扉の向こうには、長いストレートの黒髪と平均的な女性より頭1つ以上高い背が特徴的な女性メイドが立っている。
長身のせいかメイド服が全く似合わないことを深く気にしている昔馴染みの使用人だ。
珍しいこともあるものだと本気で驚く女性に、セリスはおそるおそる声をかけた。
「ねぇ、ファンベルン?」
「?」
ファンベルンと呼ばれた女はセリスの声に耳を傾けるため、彼女の目線にかがむ。
そして耳をすます仕草をして、悩みがあるなら話してみてと、いくらでも相談に乗ってあげると示す。
少女は安心したように口を開く。
「ねぇ、ファンベルン聞いて。あたしね。はしたないと思うかもしれないけど唾液が止まらないの。なんだかね、とってもとっても」
「お嬢様?」
病的な口調で喋るセリスにさすがに異常を感じたのか、ファンベルンに焦りが走る。
だが1度タガの外れた少女は言葉を止めることはしない。
「人間の目が……左目が食べたいの!」
「まさか、セリスお嬢様、貴女」
唾液を口内から流しながら言い切ったセリスを見つめ、ファンベルンはある1つの解に辿り着く。
「無限エンジンの力を?」
そのファンベルンの推測は間違いなかった。
この日を境(さかい)にセリスの生活は大きく変貌(へんぼう)して行く。
ファンベルンの報告を聞いたセリスの父フェルナスはさして驚きもせず。
ついにこの日が来たかとだけ口にしてすぐに町の警察を懐柔(かいじゅう)する。
そして罪人の左目を提供してもらう見返りに、金を送るという契約を果たす。
この日の昼からセリスの食膳には、誰のものとも分からない人の目が常に並ぶようになるのだった。
End
——————
第1話Part2へ続く。
- Re: (リメ)無限エンジン 1-1更新! ( No.4 )
- 日時: 2013/06/03 16:32
- 名前: 風死 ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)
無限エンジン 第1章 第1話「さぁ、籠の中にいるのを止めるときだよセリス?」Part2
時計が12時を周る10分ほど前にセリスは、午前の習い事を終え自室に戻る。
「…………」
5分ほどするとノックの音が響く。
昼食を明度が運んで来たのだろう。
セリスの承諾(しょうだく)を得るとファンベルンは静かに入室した。
サービスワゴンに乗っている料理を、セリスは入念に見つめる。
メインのロースステーキを中心に並ぶ料理は名家らしく全て豪華だが、その中にあって異様な雰囲気を漂わせる食材が1つ。
それは人の眼球。
今の彼女にとって何より欲しいものだ。
ファンベルンの報告を聞き、急いで父が手配した品である。
疼(うず)きを抑えられないのだろう。
セリスは大量の唾液が口から漏れそうになるのを我慢しながら、目をウルウルさせてファンベルンに問う。
「誰の目玉?」
「お嬢様は気にする必要の無いことです。罪の意識を感じる必要もございません」
今年5月9日誕生日をむかえ8歳になったセリスは、すでにそれなりの道徳的感情はあって。
いかに本能が欲求していようと、忌避の感情を覚えずにはいられなかったのだろう。
だがファンベルンの言葉を聞いたとたんに彼女は豹変(ひょうへん)する。
結局は誰かの許可が欲しかっただけなのだ。
そう自身を嫌悪しながらも衝動(しょうどう)は抑えきれない。
ファンベルンの言葉を皮切りに、少女は他の物には目もくれず飢えた獣のように目玉を鷲掴(わしづか)みし口内へと運ぶ。
「あっ、何かぬるぬるっすりゅぅ。以外っと固いなぁ、飲み込んじゃえっ!」
透き通るような紅色の瞳は宝石のようで。
セリスは何より価値ある物を自分の一部にするような快楽に襲われた。
一瞬、立ち眩(くら)みしたかのようにガクンと体を揺らす。
そして口角を引き上げて凄絶(せいぜつ)な笑みを作り、貪(むさぼ)るように口内に放り込んだ。
コロコロと飴玉のように目玉を転がし滑(ぬめ)り気をしばらく堪能すると、少女は美味しそうにそれを飲み込む。
ゴクンと少女の小さな喉を人の眼球が通る音が響く。
2人しかいない静かな部屋では、その音がやけに大きく感じられた。
喉に残る確かな感覚はひりひりと痛くて。
彼女は口を抑えて咳(せ)き込む。
そして唇をハンカチで拭きながら、初めて人の目を食べた感想を少女は嬉々(きき)として語る。
「大きな物が通ったからかな? 凄く喉が変な感じなのファンベルン。でも、何かすっごい素敵な気持ち。可笑しい……かな? 普通じゃないよね、だって普通人の目を食べたいとか思わないもの」
「いえ、それで良いのです。それがエージェントという生物なのですから」
どうやら初めての快感に戸惑いを感じているらしい。
可愛らしく小首を傾(かし)げてみせる少女に、ファンベルンは冷然と言う。
それがエージェントという人種なのだ、と。
まるで彼等を直接理解しているような口調で。
気になったセリスは無邪気に疑問に思ったことを口にする。
「ねぇ、ファンベルンはまるで直接見たみたいに言うのね? エージェントって何とか気になることはたくさんあるけど1つ良い? ファンベルンも私みたいに左目を食べたくなったりするの?」
「…………」
英才教育の賜物(たまもの)か、意外と察しの良い眼前の少女。
無垢(むく)な笑みを浮かべているセリスを数秒間見つめ、ファンベルンは珍しく含み笑いをして。
「いいえ、私もエージェントですが、左目を食べたいとは思わないですね。そのかわり私は愛人の血を吸わないといけないですが」
ファンベルンが同族であるという予想は当たったようだと、セリスは自分の予想が正解だったことを喜ぶ。
しかしそれ以上は言及することも無く、ただ一言。
「愛、かぁ……」
End
——————
第1話Part3へ続く。
- Re: (リメ)無限エンジン 1-2更新! ( No.6 )
- 日時: 2013/05/31 08:42
- 名前: 利佐 ◆njG8BYqcA. (ID: LuHX0g2z)
- 参照: この時間帯になぜここに居るのかはお気になさらずに。
どうもご無沙汰しております。修学旅行から帰ってきた利佐です。
小説を見に来ていただいてありがとうございます。無限エンジン、読ませていただきました!
人間の目玉かぁ……なんというかお話にも出てきましたが、ぬるぬるしてそうですよね。水の膜が張ってて。なんとなくしょっぱそうです。涙とかで。でも血の出てる眼球はストロベリー味とか(((
目玉が食べたいという衝動が起きるのはどうしてなんだろう。食べている姿を想像するとなんというか……唾液を飲み込みたくなります。グロテスクな表現ですが、ドキドキ。
なんたるかかんたるか、このセリスというお嬢さんはお嬢様なのかな。第一話のタイトルからいろんなことを妄想している私です。
勉強になりました。執筆応援いたします。ではでは。
- Re: (リメ)無限エンジン 1-2更新! ( No.7 )
- 日時: 2013/06/03 16:34
- 名前: 風死 ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)
利佐様へ
こちらでは初めまして、投稿の時間帯は仕事の関係上(変則的)色々変わります風死ですので、全く気にはなりません^^
実際しょっぱいはずですvv
うーん、まぁ、結局彼女しょせん小学生だしそんなにエロくは……
うーん(オイ
血がついてたらストロベリー味は僕も考えたです。多分作中でも言うかもです。
まぁ、セリスはお嬢様です。元々の貴族ではなくて叩き上げですが。
- Re: (リメ)無限エンジン 1-3更新! ( No.8 )
- 日時: 2013/08/15 07:52
- 名前: 風死 ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)
- 参照:
無限エンジン 第1章 第1話「さぁ、籠の中にいるのを止めるときだよセリス?」Part3
目玉を口にするまではお腹は満たされているのに、なぜか無限に食欲が溢れてきて大変だったものだ。
セリスは心の底から思いながらほぅっと安堵の息を吐く。
「ふわーぁ、疲れたぁ」
外は漆黒の帷(とばり)に支配されていて。
セリスは部屋の扉を開けて、外の風を楽しむ。
日中と比べてずっと涼しい外気。
やっと長い1日が終わったと、セリスは喜びを顕(あら)わにする。
「早く彗(すい)来ないかなぁ?」
時計を見ると午後の9時になる1分前。
21時から就寝時間の10時までが、彼女にとって唯一(ゆいいつ)の自由時間だ。
いつもその時に、遊びに来てくれるのが彗というメイドである。
1回り以上年嵩(としかさ)の者ばかりである屋敷において、1人だけセリスと同世代。
そして何より同性という気安さもあり、セリスは彗と過ごす1時間が大好きなのだ。
いつも胸を高鳴らせながら彼女が来るのを待っている。
そわそわしている内に時間は過ぎ、時計の針が動く音が室内に響く。
見上げてみると9時。
それを知らせるオルゴールの音が鳴り出す。
少したどたどしくて寂しい音調に混じって、独特なリズムを刻むノックの音が混じる。
「あっ、来た来たぁ! 彗ぃ」
セリスは思わず声を上げた。
それと同時に扉が開く。
見慣れたメイド服を着た黒髪ポニーテルの笑顔がまぶしい少女。
左目の下にある小さなほくろが少し色っぽい。
彼女こそが彗だ。
「待たせてもうたかなぁ、ゴメンゴメン」
彗は時計を一瞥(いちべつ)すると少し申し訳なさそうな顔をしてつぶやく。
1時間という時間は短い、それ位のことは彼女も知っているのだ。
メイドとは思えない気軽な口調でしゃべる彗に、セリスは抱きついて泣き出す。
「そんなこと無いよぉ! 時間完璧じゃんー? ねぇ、彗」
「なっちょっ! どうしたんやお嬢!?」
取り留めなく涙を流すセリスの頭を撫でながら、彗は勤めて冷静を装(よそお)い何があったのかを問う。
しかし一向にセリスは答えることは無く、顔をあげもしない。
数10秒以上して突然セリスが声を漏らす。
「ふふっ、彗ってば何でもないわよ? 本当にすぐ動揺するんだからぁ」
「お嬢っ、つまりワイをからかったんやな? 全く、演技で本当に涙流すとか女優になれるでお嬢!」
8才児とは思えない魅惑的な表情をつくりウィンクするセリスに、目をしばたかす彗。
そして馬鹿のように口を空け、数秒間硬直。
騙されていたことに気付いて、長く付き合っているのに気付けなかったことに彗は苦笑した。
「女優かぁ、それも面白そうねぇ」
彗の冗談に満更(まんざら)でもなさそうに答える。
もともと演技は得意なほうで鋭さも持ち合わせているので実際に向いているのだが、それ以上に何か自分が選ばれた存在になったような感覚に彼女は陥(おちい)っているのだろう。
実際には彼女の想像以上に神に魅入られた者達は存在しているのだが、勿論セリスにそれを知る由もない。
End
——————
第1話Part4へ続く
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