ダーク・ファンタジー小説
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- 黒い霧
- 日時: 2015/03/18 23:39
- 名前: 黒板係 (ID: gG3G93SR)
作戦は深夜に決行された。一つの県の周りを戦車と装甲車、兵士が囲い、その県への出入りを希望する者は皆殺しにされた。
中心の街に黒い霧が降り注いだ…
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自己紹介
名前 黒板係です。
職業 厨房(男)です。
コメント
開いてくれた方に感謝します。前もって忠告しておきますが、僕は皆さんの大事な時間をいただくつもりは微塵もございませんゆえ、小説を読むのは本当に暇な方でお願いします。迷惑をおかけすることと思いますが、頑張りますのでよろしくお願いします。
グロ要素が含まれます。(ゾンビ)苦手な方はブラウザバックをオススメしますよ。
主要登場人物
伊藤充
この物語の主人公。射撃部の部長。あまり目立たない性格だが人一倍冷静で、常に現実を見ている。
藤田誠
伊藤充の親友であり、ライバル。同じ射撃部に所属している。
渡部真矢
射撃部唯一の女子部員。充たちの一歳年下。美人だが誰も寄せ付けないような性格の持ち主。射撃の腕は一流。
では、我、行きます。
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『学級活動中失礼します。尾崎先生、至急職員玄関前までお越しください。』
帰宅前。ホームルームの時間に、そんな放送が入った。
私たちの学校では、この放送は不審者の侵入を表す。教室内に緊張が走る。僕たちは、机の下に隠れ、次の放送を待つように指示された。
しばらくして、もう一度放送が入る。『至急応援を要請します。繰り返します。至急応援を…』そこで途切れてしまった。何か揉めるような音がした後、くちゃくちゃという肉を咀嚼するような音が小さく聞こえる。
担任の佐々木は、さすまたを握りしめ、小さく震えていた。まだ若いので、このような経験もまだ少ないのだろう。
遠く、職員玄関の近くにある教室の方から悲鳴が聞こえる。ドタドタという足音、成人男性の怒声。
放送も通さず、大きくこう叫んだ。
全生徒は北校舎へ避難!
201X年 2月 19日 XX市立Xヶ丘中学校 事件発生1日目
ねぇ、1年D組、全滅だって。
見た?人が人食ってたって。
ゾンビだってゾンビ。
北校舎の出入り口は固く閉ざされ、机などを使ったバリケードが設置されていた。
興奮を隠しきれない人々は、1年から3年、教師と、入り乱れていた。
話によると、不審者は多数存在、ゾンビの如く人を食らうのだそうだ。
馬鹿げた話だ。
そんなのあり得ない。
そんなの…
ふと周りを見回すと、泣いている女子生徒、それを慰める女子生徒。興奮して友人と不審者について語り合う男子生徒。どうするべきか話し合う教師とが目に入る。
その時、何処かの教室の固定電話が鳴る。教師が複数名、さすまたを持って電話の鳴る2階の教室へ行く。
残された僕たち。
バリケードの向こうでは、人を喰らう異常者達の中に閉じ込められた哀れな人々の悲鳴が聞こえる。
事件発生2日前 伊藤充自宅
登校の支度を終え、朝食ち食パンを食していた時に、おかしなニュースがやっていた。
『XX県XX市にて噛みつき事件発生』
ニュースの概要は次のようなものだ。
XX県XX市内の繁華街で、通りがかりのサラリーマンにホームレスが噛みつき、警官に射殺された。
目撃者によると、加害者とホームレスの歩調は明らかにおかしく、誰もが避けていたという。
被害者となったサラリーマンは行方不明。しかし、自力で歩けるような容態ではなかったという。
その前にも、米軍が新型の生物兵器を開発したというニュースなど、そんなものがやっていたのを覚えている。
世も末だ
の一言だった。
伊藤充 14歳 中学2年C組。クラスの中では、あまり目立たない部類の者だ。部活は射撃部。これでも部長をやっている。全国大会でも6度優勝し、全国の射撃部界では指折りの名射手だ。自分で言うのもあれだか。
ゲーム、ネット、アニメなどにはほとんど関心が無い。それが、クラスの中で人と話が合わない理由の一つなのかもしれない。
教室では今朝のニュースの話題で持ちきりだった。ゲームに全く興味を抱かない僕にとっては究極につまらない話だが。
全く、何がゾンビだ。馬鹿らしいにもも度がある。
その時、僕は軽く胸騒ぎを感じた。
- 三話『独り』 ( No.5 )
- 日時: 2015/03/21 23:56
- 名前: 黒板係 (ID: gG3G93SR)
南校舎 給食室前渡り廊下
「…ちぇっ」
競技用の空気銃『ファインベルクバウP70』を抱えた女子生徒、岩崎真矢は低く舌打ちした。足元には頭部を撃ち抜かれた屍が転がっている。
「…バリケード…これでは北校舎へ行けない。」
目の前には教卓、テレビ、学習机などが積み上げられたバリケードが設置されていた。
人の気配はない。
「やっぱり二階から移動しなければ駄目か。」
真矢は空気銃に弾を装填した。
上手いことゾンビを避けて、二階への階段までたどり着いた。
真矢は無言で銃を構えゆっくりと階段を登り始めた。
岩崎真矢 十三歳一年A組。伊藤先輩や藤田先輩と同じ射撃部。
一年生ながら伊藤と肩を並べるほどの腕を持つ。
南校舎からなら射撃部の部室に真っ直ぐ行けるので武器を手に入れることができたが、もし彼らが生きているのならどうしているだろう。今自分が生きるか死ぬかの不安より皆が死んで誰もいなくなる不安のほうが大きい。
案の定、階段の手すりの影からゾンビが姿を現した。
引き金を引き発砲する。空気銃独特の小さな、乾いた発砲音が階段に響いた。
初弾はゾンビの眼球を撃ち抜き、勢いを失いながらも貫通した。
ゾンビは大きく仰け反ったが、踏みとどまった。まだ生きてる。
次弾を薬室に送り込み、的の眉間に照準を合わせる。
パスンパスンパスン
何発か頭部にぶち込んで、やっとゾンビは絶命した。
競技用エアライフルの鉛の弾は玩具のエアガンのBB弾よりも小さく、腐食しているとしても(元)人間の頭部を吹き飛ばすのは物理的に不可能である。
ならば、完全に機能が停止するまで撃ち込まないと死へは導けない。
そのため、練習場からはありったけの鉛弾を持てるだけ持ってきた。
二回へ上がり、小走りで渡り廊下へ向かう。
「…ここも…」
バリケードだ。
一階の物よりは少し脆そうにも見え、思い切り体当たりすれば壊すこともできるかもしないが、もし向こう側に先生達がいたりしたら、ゾンビ共と間違えられて拘束されてしまう恐れがある。
「もう一つ上に行ってみよう。」
この学校は三階建てで、最上階は三階になっている。なお、屋上への出入りは禁止されている。
岩崎はまた階段を登っていた。銃を抱えて。
登りって、駆け足で渡り廊下へと進む。奴らがいないことを祈る。
やった。いない。しかし、人が倒れている。先生か?よく見ると、教頭と体育教師だ。
銃を構えて警戒しながらゆっくりと進む。彼らは既に死亡しているようだ。喰われたあとが見られる。
急いでここから去ろう。通り過ぎて、先へ進もうとしたその時、彼らが起き上がった。しまった。感染していたか。
右手のゾンビは完全に立つ前に頭に複数発銃弾を叩き込み、再起不能にしてやった。教頭のゾンビからはかなり距離は離れていたはずが、もうあと5メートルの位置まで接近されている。。
なんだこいつ。走ってる。
教頭のゾンビが、全力で走って来る。後ずさりしながら数発撃つが、多くが外れた。
踵を返して全力で逃げた。
火災などで火が回るのを防ぐ扉が見えた。あいつを閉め出すつもりだった。
扉は非常に重かった。が、なんとかあいつが来る前に占めることができた。
「ふぅ…」
安心で息が漏れる。まだ二月だと言うのにすごい汗の量だ…風呂に入りたい。
「無事か!?」
何処かで声がした。下だ。皆下にいる。
皆と合流するために階段を駆け下りた。まだ三階にバリケードが無いことを伝えなくては。武器となりうる物は全て南校舎にあることを伝えなくては。
階段には岩崎真矢の足音が響く。
- 三話『独り』後編 ( No.6 )
- 日時: 2015/03/22 00:34
- 名前: 黒板係 (ID: gG3G93SR)
階段を駆け下りる音がする。少しずつ大きくなっていくその音に、その場にいたほぼ全員が反応する。
「なんだ!?」
「ゾンビか…?」
「…いや…これは…奴らはこんなに速く、確実に階段を駆け下りることができるか?」
「…あり得なくもないが。」
「身がまえろ!」
皆、それぞれ近くにあった武器を手に取る。傘、さすまた、消火器など、様々だ。
「待ってください!私は人間です!」
両手を挙げて、自分が相手に敵対心がないことを表そうとする女子生徒が姿を現した。
「君は…真矢ちゃん?」
「伊藤先輩!…それに、藤田先輩まで!他の皆は?」
「…射撃部は、ここにいるので全員だと思う。」
「…そう…ですか…。」
藤田は、突然現れた岩崎真矢に警戒心を隠し切れない様子だ。
「噛まれてないか?その銃はどうした?」
「噛まれていません。銃は、部室から取ってきました。」
偽りは無い。
「…何故、俺たちの分の銃を、持ってこなかったんだ?」
岩崎は、持っていく量にも限りがあったこと、部室を物色していた時に多数のゾンビが侵入してきて自分を守ることで精一杯だったことを告げた。
「…なら、しょうがないか。降りてこい。」
「一階と二階にはバリケードが貼られていました。ですが、三階には有りませんでした。このままでは奴らにやられるのも時間の問題です。」
その場に緊張が走る。
「そいつはまずい…今すぐバリケードを!」
「ですが…奴らに有効だと思われる武器は、全て南の一階にあります。バリケードをすぐに作るのも考えようです。」
そう、南校舎の一階は武器庫と呼ぶのにふさわしい場所だ。
例えば、家庭科室には包丁などがある。攻撃するならかなり接近する必要があるが。調理室にも、包丁、油などが多い。用務員室にはチェーンソー、ハンマー、斧などの工具があるだろう。そして何より…弓道部、アーチェリー部、射撃部の部室及び練習場があるのも一階だ。
これを放棄するのは、あまりにも惜しい。
「ん…」
藤田は頭を抱えて考えている。確かに、武器を取りに行くならそれなりのリスクはある。全員生きて帰るのは難しいだろう。
今ここにいるのは射撃部の三人と、アーチェリー部四人、弓道部一人と、その他十二人だ。
「藤田…行かない理由がどこにある。」
「危険だ。奴らが彷徨いてる。下手に飛び込んだら全滅だ。」
「じゃあ、ここで来る当てのない助けを待つか?」
「は?」
「待ってたって来るのは助けではなく死神だ…多少の犠牲を払って、自分達が生きることを受け入れられない奴はここから去れ。」
「伊藤…」
「人間は、挑戦するから進化するんだ。」
「…そうだな。その通りだ。」
そして、全員立ち上がった、
- Re: 黒い霧 ( No.7 )
- 日時: 2015/03/22 10:01
- 名前: NATU (ID: lwyoqLK1)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode
私もコメントをくださる方が少ないので、なんか一人で喋ってる感じです笑 でも、黒板係さんの小説は面白いから絶対みんなコメントしてくれるよ! 少なくとも、私は黒板係さんの小説のファンですね笑笑
勝手にファン発言とかしてましたけど・・・気にしないでください。
- Re:NATUさん ( No.8 )
- 日時: 2015/03/22 23:06
- 名前: 黒板係 (ID: gG3G93SR)
ありがとうございます。そこまで言われると、少し照れてしまいます…^ ^
僕もまだ厨房です。厨房の分際でこんなもん書いてるとは何事だということですが、ファンだなんて言われるととても嬉しいです。
- 四話 『犠牲と、正義』 ( No.9 )
- 日時: 2015/03/24 22:57
- 名前: 黒板係 (ID: gG3G93SR)
陸上自衛隊 XX基地
人の怒号と悲鳴、自動小銃の銃声、戦車の無限軌道の音が入り混じり、
そこは地獄と化していた。
「くそッ南門が破られた!」
「バリケードを!時間を稼げ!」
破られた門からは無数の屍が侵入してくる。隊員たちは必死に応戦する。
「いいぞ!その調子で押し返せ!」
『総員、門の前から退避せよ!』
戦車が姿を現す。装甲を持つ兵器や戦車同士では強力な兵器だが、無数のゾンビ相手ではどうだろうか?
『榴弾装填!…ってえぇぇぇぇ!』
砲撃音が轟く。ゾンビどもは門の瓦礫もろとも吹き飛ばされる。
「今だ!隙間に車両をぶちこめ!」
塀と塀の間に瓦礫や装甲車なんかが積み上げられた。
「よし。これでひとまず安心だな。」
『総員に告ぐ。この基地は放棄する。ヒトマル分後にヘリにて避難する。繰り返す。この基地は…』
いつもの放送と違う。内容ではなく、話し方。おそらく、突然の襲撃で焦っているのだろう。
「西門もやられた!」
「う…うわあぁ…あいつらバリケード乗り越えてこっち来やがった!」
「く、来るんじゃねえ!」
「た、退避!屋内へ避難しろ!」
隊員たちは、一斉に建物へ向けて走り出した。周りの奴らなんかもはや眼中に無い。自分達が生き残るためには手段なんぞ選ばない。それが、人間って奴の本性なのだ。
「あ、開けてくれ!頼む!う、うぐぁああぁ…」
被害を最小限に抑えるため屋外に取り残された隊員たちの悲鳴が聞こえる。
「屋内通路を通って弾薬と食料を装甲車とヘリに運び込む!総員弾薬庫へ!」
「はっ!」
駆け足で弾薬庫へ向かう隊員たち。その中に、森田宗平一等陸曹の姿もあった。
「畜生、早く用意しないとあいつら入って来るんじゃねえか?」
「あぁ、もう袋の鼠だ。」
「用意が終わったら呼ぶ。ドアをちょっと見張っててくれ。やばそうなら逃げろよ。」
「了解。」
森田は仲間を一人残し、脱出の準備を始めた。弾薬、食料、医療物資をヘリと装甲車に積み込む。
「なんかおかしいんだ。」
「どうしたんだ?つかこの状況に陥ってる時点でおかしいだろう。」
「電話も無線が…本部と防衛省を含めた、このXX県内以外に繋がらないんだ。」
「…は?」
県外への連絡ができない?そんなバカな。
「県内はかかるのか?県外だとかからないんだな?」
「あぁ…ついさっき、県内のXX市警察所にかけたら、普通にかかった。だけど、防衛省なんかだとかからない。警視庁もダメだった。」
「…俺たちは…身捨てられたのか?」
「その可能性も否定できない。さっきから上空をブラックホークが数機飛んでるが、この基地から同機が離陸した履歴は無いし、降りてくる様子も無い。無線も拒否し続けている。」
「…そんな…嘘だろう?」
「ほら、これで最後だ。おら、皆乗れ!生存者を探しながら街から脱出するぞ!」
「入り口の見張りを呼んでくる。すぐ戻る。」
「わかった。早くしろよ。」
森田は仲間を呼ぶために入り口まで走った。しかしーーーーー
目的地の方からの銃声が聞こえる。
「ひ…ひやあぁぁあ!も、森田あぁあ!たっ助けっ…」
ーーーーーまずい。入ってきやがった。
「鈴木!」
森田は全力で仲間を助けに向かった。
畜生、あの時置き去りにしていなければ。俺も一緒にいていれば。
後悔が脳内を駆け巡る。
「あッ…ふ…ふォぐ…い、あぐぁあッ…あッ…も…りた…」
ざっと七匹ほどのゾンビが鈴木の体を貪り喰っている。もう足も片方なくなり、内臓も引きずり出され、瀕死の状態に陥ってもなお、森田に助けを求めた。
残酷な光景を目の当たりにして、何もできずに突っ立っている森田の目を、鈴木の言葉が覚まさせる。
「行っ…て……く…れ…」
蚊の鳴くような、消え入りそうな声だったが、確かにそう言った。もう、鈴木の目は生の光を失っていた。
そうしている間に破られた扉からは食人鬼どもが入ってくる。
「鈴木…すまない。」
森田は全力で皆の元に走った。