ダーク・ファンタジー小説

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魔法少女の世界−New World−
日時: 2016/04/16 22:48
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: ZUkStBmr)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=3525

はじめましてこんにちは、日瑠音と申します!


これは魔法少女の世界を書きなおした作品になります。
お詫びとくわしくは、リンクを見ていただければ。




プロローグ >>1

第一章
1.『出会いの世界』 >>4 >>7 >>8 >>9 >>10 >>11

2.『入学式の世界』 >>12 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>21 >>22

3.『空の世界』 >>25 >>27 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34 >>35

第二章
4.『部活の世界』 >>36 >>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>43 >>46

5.『実行委員の世界』 >>47 >>48 >>49 >>50 >>51 >>52 >>54 >>55 >>56 >>59

6.『体育祭の世界』 >>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>67

第三章
7.『友達の世界』 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73

番外編 >>20 >>26 >>42 >>53 >>68




ホーズ魔法学園生徒
(一年生)


レアノ  
少々子供っぽいが、ノリが良く優しい性格の少女。

武田夏芽(たけだ なつめ)
喧嘩腰な性格の少年。バスケ部所属。

エステマ・ゾル
レアノと寮の同室。人見知りでアイドル好き。

葉山雪見(はやま ゆきみ)
皆のお姉さん的存在。豊満な胸を持つ。

レスター・カノヴァス
一見優しそうだが実はドSな少年。バスケ部の一年生エース。

秦 紅花(しん ほんふぁ)
雪見と寮の同室。少々毒舌で、語尾には「〜ルラ」をつける。

ロイス・ドーレ
女好きのチャラ男だが、少々バカっぽい。バルシェの弟。

秦 浩宇(しん はおゆー)
ロイスの同室。気が弱いコミュ障。




(二年生)
ジェイ・マグドネル
熱血バカだが、炎使いの攻撃科代表生。バスケ部部長。

セシリア・エッカート
いちずで真面目な操魔法使いの防御科代表生。魔法研究部部長。

リリアン・ヴァレーネ
普段はふわふわしている、雷使いの攻撃科副代表。

ゼノ・グラウゾ
無口な猫好きで、創使いの防御科副代表。




教師

ミカ・マレトン
20歳。攻撃的魔法の先生。学園の卒業生で、天才と呼ばれていた。

バルシェ・ドーレ
24歳。防御的魔法の先生。イケメンで女子に人気。

ザスト・ホーズ
ホーズ魔法学園の二代目学園長。謎の多い青年。



週に一回は更新予定です。
よろしくお願いします!

Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.71 )
日時: 2016/04/02 11:46
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: 4OBDh6qC)

私は、ただ立ち尽くすしかなかった。
目の前の現実を受け入れるのは、難しい。
起きてすぐ、なんとなく目に入った雪見のカレンダー。


「明後日、テストじゃん…」
すでに起きていた雪見が、驚いたように聞き返す。
「レアノちゃん、知らなかったの?」
「知らない…」


「なんで!?てか二人とも勉強してなかったじゃん!!」
「紅花は夜遅くまで課題やってたよ。私も復習してたし」
「嘘でしょ…」


「やばいー!!課題とか何一つやってないー!!てか課題が何かも分かんないー!!」
「この間配られた問題集だよ。ほら、私も手伝うから今からでもやろ?」
今日学園が休みで良かったね、と付け足す雪見。
うう、友達って素晴らしいなあ…。



     *     *     *

学園に戻る、一人の青年の影。
それに気付いたバルシェは、素早く彼に駆け寄った。
「大丈夫ですか、ザスト様!?」


彼は、頼りない笑みで答える。
「様、はやめてくれといつも言っているだろ?それにここは学園だ。誰かに聞かれたりしたら大変だ」
バルシェはおずおずと反論する。


「ザスト学長も、いつもの口調じゃなくなってますよ?」
「ああ…。いや、今くらい良いだろ。今はそれどころじゃない」
ザストは、自分の体に目をやる。


服はボロボロになり、腕や足に切り傷、出血が見られる。
「ひどい傷ですね…。養護教諭のソフィアを呼んできます!」
バルシェはそう言うと、全速力でホウキを飛ばした。


一人になると、ザストは自分の家族を思い出す。
「アイツもずいぶん強くなったものだ。だが—」
それは、家族を殺すための強さ。
「まったくもって、喜ばしくない成長だな」


「ザスト学長、ご無事ですか!?」
息を切らしながら問うのは、養護教諭のソフィアだ。
「今、治癒魔法をかけますから!!」


どんどん、力が戻っていく感覚。
「そういえば、もうすぐ筆記試験があるな」
「そうですね。今日は皆試験週間で休みですから、勉強していると思いますよ」


「あの子は授業中、寝てばかりと聞いたが…」


「友達に恵まれているようだ。幸せなら、それでいい」

バルシェが微笑みながら言う。
「彼女は不思議な力があるように感じます。彼女の周りの人達は、皆幸せそうで」
ソフィアも笑う。
「惹かれている男の子もいるみたいですよ」


「えっ!?そ、それは困るな…」
そうか、あの子は。


母親によく似た、優しい子に育ってくれたのか。

Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.72 )
日時: 2016/04/05 17:19
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: 3T8mb002)

とりあえず、終わった。


私は自分の席に戻り、机の匂いを嗅いでおいた。
「な、何やってんだレアノ?キモい…」
「もう私この学園に居られないかもだから、この匂いを忘れないようにする!今までありがと、夏芽!!」


返ってきた、テスト結果。
二教科あるんだけど、両方とも、惨敗、というか死んでる。
「何点だったんだよ?」


「炎科が、3点…」
ちなみに、100点満点中である。
「俺は27点!俺の勝ちだな」


「夏も全然低いじゃん」
「レスター!は、何点だよ?」
「100点」


見せられた答案用紙に、不正解は一つもない。
「二人とも基礎科はいくつ?」
「私は8点」
「俺は21点」


「二人とも、実技で頑張りなよ…」
「実技?」


「魔法大会だよ。あれも成績に入るらしいから」
「じゃあ、そこで優勝すれば落第阻止!?」
「そうなるね」


これは頑張らないと…。
「あれって、寮のルームメイトと二人一組だろ?」
「マジで!?じゃあエステマちゃんとだ!」


最近ロイスといちゃいちゃしてるとこしか見てないぞ…。
これは、まずい…!?


     *     *     *

「で、なんで私の所に来るんですか?」
学長室。
ペンを走らせながら尋ねるザストは、けっこう忙しそうだ。
まあそんな事は無視して、ソファに座ってみる。


「いや、ザストって学長じゃん?どうやったら勝てるかなー、みたいな」
「魔法を磨けばいいんじゃないですか」
「…適当だなあ。最近話してないな—と思ったからきたのに」


「じゃあ、練習場に行ってみるのはどうですか?きっと誰か練習していると思いますから、技盗んできてください」
「おー、いいね!じゃー、行ってくる!」


この時の私は、まだ何も。
何一つ分かっていなかった。


彼女の心の奥の苦しみを。

彼と、私のつながりを。

私の身体の、黒い影を。

Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.73 )
日時: 2016/04/16 22:47
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: ZUkStBmr)

練習場は校庭と同じような広さで、けっこう大きい。
屋外なので空中戦の練習も出来るのが利点らしい。


—あれ、人だかりができてる。
どうしたんだろうと駆け寄ってみると。
2対2のバトルが行われていた。


しかも、生徒会の4人が男女で分かれての試合だ。
せいのん先輩とリリ先輩対、ジェイ先輩とゼノ先輩。
言いかえれば、操と雷対、炎と創である。


女性チームの方は二人とも地面で戦っている。
一方男性チームはジェイ先輩が地面で、ゼノ先輩が空中で敵の隙を見計らっているようだ。


こうして見ると、2対2って本当に凄い試合だな。
二人の敵をどうやって倒すか、試合をしながら考えるのは大変だろう。
「あれ、でも勝ち負けってどう決まるんだろう?」


「それはね、石のアクセサリーを使うんだよ」
急に声をかけられて、驚きながら振り返った。
「あ、雪見!?と、皆!」
雪見と、紅花、レスター、夏芽が立っていた。


「大会規定の魔法石を、自分の好きなアクセサリーにしてもらうの。それを身につけて、先に二人の石を壊した方の勝ち」
「へえ、そうなんだ…」


確かに先輩たちも、それぞれアクセサリーを身に着けていた。
「まあ、あれは練習用だと思うけど」
せいのん先輩とゼノ先輩は指輪、リリ先輩はブレスレット、ジェイ先輩はピアス。
「私たちのもあるの?」
「てゆうか、今から私たち、お店に行くんだ。レアノちゃんもどう?」


「うん!…あ、でも私、このバトルを見てからにしようかな…」
「私たちもそのつもりだから、大丈夫!」


…生徒会のバトルは本当に凄かった。
二人で協力して敵を倒すのはとても難しくて、見ている方もハラハラした。
戦い方としては、防御科が攻撃科を援護しながら、という感じ。
思っていたより、かなり頭も使う。


「クソッ…。ジェイ・マグドネル、次は必ず勝つからな!!!」
「せいのん、なんかそれ言ってると死亡フラグだよ?」
ちなみに勝者はこの通り、男性チームだ。


「俺、すげー恨まれてるよな?」
「…そうだね」
温度差がひどいです。


「さて、そろそろお店に行きますか」
「そうだね」


思えば、あまり町に出た事はなかったな。
レンガ街はたくさんのお店があって、ここに行けば何でも揃う、がキャッチコピーの商店街だ。
人ごみも凄いので、雪見たちについていくのが精いっぱいである。


「はい、ついたよー」
お店の外観、そして看板を見て、目を疑った。
「シールド、魔法店…?」
私の幼い頃の記憶が、一気に頭によぎる。


「おい、レアノ?どうした?」
私はそんな夏芽の声も無視して、店内に走った。

Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.74 )
日時: 2016/04/30 12:30
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: HCf49dnt)

ドアを勢いよく開ける。
まさか…。


「いらっしゃいませー…、あれ」
そこには、よく知った顔の女性。
「先生?マオ先生だよね?」


私のいた孤児院の先生、マオ・シールドさんだった。
「レアノ、久しぶりだね!といっても、数か月ぶりかな?」
「うん!三月に孤児院を出て、それっきりだったもん!」
懐かしさと同時に、疑問もこみ上げる。


「先生、どうしてここにいるの?」
ここは魔法の世界で、でも先生は人間で、人間の世界で孤児院をやっていたはずで…。
「なんでいるの!?」


「あれー、ザストから聞いてない?シールド孤児院は、魔法使いを人間界で育てるための施設だよ」
????
そんなまとめられても、分からん!


「レアノみたいに事情があって子供を育てられない魔法使いたちのための孤児院です」
「えーと、じゃあ孤児院にいた七香もシューキも皆、魔法使い?」
「せやな」
「マジかよ…」


あの我儘ですぐ殴り合いのケンカをする奴らが魔法使いって…。
「魔法界はもうお終いだね…」
「いや、レアノも人の事言えないぞ。むしろアイツら従えてたお前の方が心配だわ」


「てか、なんで先生はここで魔法店やってるの?」
「いや私、天才魔女じゃん?」
「知らん」


「いやいや、本当だって。私、ザストの可愛い妹だし」


…???
「何言ってんの?」
「嘘じゃないって!だったら、ザストの秘密言うから!」


「勝手に人の話で盛り上がらないでくれますか、マオ」
「ゲッ、兄貴…」
店に入ってきた、一人の青年。


「ザスト!?」
ザストはムスッとした顔で続ける。
「頼んでいた魔道具、取りに来たのですが」
「はいはい。人使いが荒いなあ、兄貴は」


どうやら兄妹というのは、本当らしい。
「先生はなんで名字がザストと違うの?」
ザストの名字はホーズ、先生はシールド。


「私、結婚してますから!」
「えー!?むしろ先生が男みたいな感じなのに、結婚できたんだ」
「うるさい!」


「そういえば皆さんは、何か買うんですか?」
ザストがポカーンと立っている雪見たちに聞いた。
あ、そういえば忘れてた…。


「あ、えと、魔法石を買おうかと」
「ではその支払いは私がしましょう。好きな物を買ってください」
わお、ザスト太っ腹だね。


     *     *     *

「本当にありがとうございます、全額払ってもらって…」
「いいですよ。兄の権限で安くなりますし」


そうして店を出た、その時。
大きな音とともに、私の首は絞められた。

Re: 魔法少女の世界−New World− ( No.75 )
日時: 2016/07/03 11:15
名前: 日瑠音 (ID: WO7ofcO1)

私がこの事態を呑み込めたのは、通行人たちの悲鳴で頭が回り始めた時だった。
顔の見えない大きな影の手が私の首を強く締める。
「がっ…あああっ…!」
とにかく苦しい。


…なんで私、こんな事に…!?
「レアノちゃんっ!」
声の聞こえる方に目を出来るだけ向ける。
そこには、真っ青になった皆の表情。


背景には、壊された先生のお店の商品たちが散らばっている。
恐怖と痛くなる頭のせいで、体中が金縛りにあったように動かない。
やばい…意識が…。


「しねええええええええええええええええええええええええええ!!」
その時、叫び声とともに炎が巻きあがった。
夏芽の体に、炎がまとわりつくように燃え上がる。


そのまま炎は私の首を絞める敵に一直線。
敵はその炎を見ると、水の壁を創り応戦。
それでも夏芽は気にせず手に炎をまとわりつけ、敵に殴りかかる。
敵からかすかに馬鹿にしたような笑い声が聞こえた。


刹那。
レスターが敵を全身氷で固め、瞬時にナイフで私の首を絞めている手を切った。
そしてそれまで宙に浮いていた私を受け止める。


「もう大丈夫だよ」
優しく微笑むレスターに、私はただ感謝を覚えるほかなかった。
触れている手の温もりに安心する。
「ありがとう…」
涙が込み上げてきた。


「あっ!」
敵と戦っていた夏芽が叫ぶ。
見ると、敵は空高い位置で360度壁を創っている。


「案外よかったけど…手首がなくなっちゃった事だし、一度修復してくるよ」


「また遊ぼう!今度は2,3人殺そうかな?」
ケラケラと笑いながら消えていった。


「くそっ…逃げられた!」
夏芽が悔しそうに空を見上げる。
レスターはこわばった表情だった。
「…アイツ、本当は今と比べ物にならないくらい強いよ。わざと手首を切られてた…」


「はあ!?なんだよそれ!」
すると、ザストが口を開いた。


「武田くん、カノヴァスくん。よく屈さずに戦う事が出来ましたね」
そう言うザストは、悲しそうに、張り付けたような笑みを見せる。
「寮に帰りましょうか」


混乱した状況で私たちは、ザストの指示を聞くほかなかった。
ただただ帰るために、足だけを動かしていた。


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