ダーク・ファンタジー小説
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- 殺し合いハウス
- 日時: 2016/03/01 06:35
- 名前: くろひ/DAI (ID: iihmFlhR)
戦略こそが全て。:ニコニコ動画で8万人を熱狂させた動画の小説版! くろひ/DAI
<あらすじ>
デスゲーム×頭脳戦。
閉ざされた館に集まる10人のプレイヤー。行うは、殺し合いゲーム。
ここで必要なのは「頭脳」のみ。性別、体格、身体能力による得手不得手など存在しないのだ。
「戦略こそが全て」 他プレイヤーを出し抜いたプレイヤーが勝者となる。
プレイヤー達は、いかなる戦略で賞金を得ていくのだろうか。
- Re: 殺し合いハウス ( No.1 )
- 日時: 2016/03/01 06:41
- 名前: くろひ/DAI (ID: iihmFlhR)
第1章:10の頭脳と最初の脱落者
「本日、見事にターゲット殺しを成功させ、1億円を獲得したプレイヤーがいらっしゃいますーーー!」
司会進行を担う仮面の男が、背後の大型ディスプレイを仰ぐ。そこに映っているのは、首を吊っているプレイヤー。
仮面の男は、背後で見られるショーに、面白くなりましたね、皆様楽しんでいますか? と言わんばかりに高らかな宣言をした。
その場でディスプレイを見たプレイヤー達は、驚き、困惑、そして挑戦的な表情をそれぞれ見せる。
その中でも、悲しみを浮かべる女子高生と思しき少女は、“なんでこんなゲームに参加してしまったの……!?”と、ゲーム初日にして、自らの過ちを悔いるしかなかった。
ここは、『殺し合いハウス』と呼ばれる館。参加したプレイヤー達が、知略、戦略、策略を駆使して、相手を出し抜き大金を得るゲームを行う場所。
◆
「ここがゲームの会場か……」
緑豊かで広大で、随所で踊る白い石像達。庭師など見当たらないにも関わらず、そこは一点のくすみもない。端的には超豪華と表現できるそんな庭園の中、その洋館はそびえていた。そして、これまた無駄に大きな玄関の前には、こんな内容の封書を持った少女が一人。
『天海千恵様。
あなたは大金が得られるゲームの参加権を得ることができました。
おめでとうございます。
つきましては、次ページの地図に従いまして、4日後に現地までお越しください』
彼女は、胸元に校章が刻まれたブレザーと少しだけ短くしたスカートをまとっている。そう、誰が見たって学生服である。あまりに大きな館を前に、もともとタレ目気味な彼女だが、さらにタレ加減を大きくしていた。誰が見たって困り顔である。先ほどからドアノブに手を伸ばしたり、ショートかセミロングかその間程度の髪をいじってみたり、そこから動くことはない。本当に、誰が見たって分かりやすいに尽きる少女である。
「おい」
カメもウサギもとっくにゴールに辿りついているような時が流れた頃、その少女、天海千恵の背後から声が届く。
「ここにいるってことは、お前もゲーム参加者なんだろ? さっさと入れよ」
「す、すみませんっ……」
その声に、消え入りそうになる返答をしつつ振り返ると、成人を少し過ぎたであろう女性が、腕を組んで仁王立ちしていた。
天海が僅かに身を引くと、その女性は一部の躊躇もなく館への扉を開ける。呆気にとられた天海の感想は、“すごい格好した人だな”である。全体的に黒い布で身を包むが、腰周りに布がない。上半身だけ見れば、これから海でも行くのかという出で立ちだ。もっとも、下半身は黒のジーンズで包んでいるのでその仮定は即座に否定したいところである。と同時に、女性というより男性に近く、あまりにキリリとした顔に目を奪われもしたのだが。
「あ! 待ってください!」
ようやく周囲1センチにしか届かない声のボリュームをやめた天海は、そんな長い黒髪を揺らす女性についていく他なかった。
「ほあ……」
中に入ると、すでに女性の姿は見えなくなっていた。特別その女性の歩きが早かったのではない。
天海が一歩一歩、
「すごい! あれもすごい!」
と、その洋館で目移りしていたからである。
外観からして分かっていたが、内装もやはりそう。真っ赤な絨毯じゅうたんが広々と敷かれ、全ての壁が絵画になるような勢いで。下も横もそんな状態なら、見上げれば入るは光光光。今にも落ちてしまうのではというほどのシャンデリアが飛び込んでくる。どこを見たって、とてもとてもプライスレスの宝庫となっているのだ。
「よーうこそいらっしゃいました! あなた様が最後のプレイヤーとなります。こちらの席にお座りください」
そんな彼女に、ニヤリと笑ったピエロのような仮面をつけた、長身の男が近づいてくる。そして、ビシッと決めたスーツに蝶ネクタイを締め直しながら、彼女にそう告げた。
「あ、はい……。失礼します」
天海がたどり着いたその場所には、すでに数名のプレイヤーが縦長のテーブルに座っていた。
この洋館のロビーか食堂かであろう空間は、10名程度が座れそうな長テーブルがいくつも並べられている。壁には、やはりプライスレスばかりが飾られていた。
しかし、すでにいるプレイヤーは1箇所に固まっているのだ。これだけ広い会場であるのに、あまりに贅沢な使い方だ。恐らく他のプレイヤーも、先ほどの不気味仮面にそこに座るように促されたのだろう。
「……あ?」
天海が席に座ろうとイスの横を通ると、わずかに手が、隣に座る男に触れてしまった。
背もたれが壊れんばかりに体重をかけ、今すぐ飛び出しそうなほど足をテーブルの上に投げ出した男。そんなイカつい顔を持つメンズをメディアが取り上げるとすれば、イカメンという単語がたちまち世間に広がるだろう。
「ひ……す、すいません!」
反対側からイスに座った天海は、彼と目を合わせないことを硬く誓った。
そして、代わりに他プレイヤーを見やる。すると最初に目が合ったのは、天海の反対側の隣にいる、
「……あ……ど、ど、どうも……」
先ほどの男とは対照的な、少し目があっただけでそうおどおどと返す男性。
スーツを着てビシッと、と行きたいところだが、黒縁メガネから覗く目線はくたびれている。それに合わせてか、スーツもやはりくたびれていた。ペットは飼い主に似ると言うが、着るものさえもそうなのか。
「どうも……」
軽く会釈を返した天海は、すぐにそのくたびれスーツの胸元に目線が行く。そこには、⑥と書かれたバッチが付けられていた。
同時に天海は、全員の前にひとつずつ封筒が置かれていることに気づく。中には、バッチと紙が何枚か入っているようだ。恐らく、他のプレイヤーも同様なのだろう。
そして、“⑤か。付けておかないといけないのかな”と考えるが先か、隣のくたびれに習い胸元に装着した。
- Re: 殺し合いハウス ( No.2 )
- 日時: 2016/03/01 06:47
- 名前: くろひ/DAI (ID: iihmFlhR)
「それでは皆様改めまして、ようこそいらっしゃいましたーー! 私、司会を勤めさせていただきます。どうぞ気軽にマスターと呼んじゃってくださいね!」
天海が席に座って落ち着いたことを確認したのだろう。不気味仮面……マスターがテーブルの先に立ち、声高らかに宣言した後、さらに声を上げる。
「ここは、『殺し合いハウス』と呼ばれる館です! 皆様は選ばれたのです! この、大金を賭けたビッグゲームの挑戦者に!! 喜ばしい、ああ、喜ばしい!
ここでは皆様に、あるルール、付与される特殊能力を以て、殺し合いを行ってもらいますが……ここで必要なのは、身体能力か? 殺し慣れた経験か? ノンノン、どちらも違います。
皆様の、頭脳……戦略こそが全てなのです!」
一瞬の静寂。しかし、本当にそれは、文字通り天海が一度の瞬きをしただけの時間であり、次の瞬間にはイスを跳ね飛ばして立ち上がって、
「こ、殺し合い!? 殺し合いをするんですか……!?」
と、マスターと他プレイヤーを交互に見た。
「は? お前知らなかったのかよ」
そこに声をかけたのは、館の玄関で出会ったトンデモ服装のイケメン女性。
「大金を貰えるんだから、それくらいするよねえ」
続いて、糸目の青年が、優しい口調で声をかける。もっとも、優しい口調ながらその発言は厳しいが。
「え? あの! 殺し合いって……それに、特殊能力ってなんですか!?」
「はっ、質問は最後にまとめてしやがれってんだやかましい」
さらに天海が畳み掛けるが、それを言い切るが前に、イカメンが遮った。金髪を持つ彼の獰猛っぷりは、サバンナでライオンとタメを張るに違いない。
「桐生様のおっしゃる通りにしていただけると私もありがたいですー!」
そこにはマスターも同調し、天海はストンとイスにカムバックするしかなかった。どうやら今すぐ野生に放つべき猛獣は、桐生というらしい。
下を向いたまま座った天海に、テーブル上にある用紙が目に入った。自分の名前を含む10の名前が書かれ、隣に顔写真が貼られている。それがゲームの参加者名簿だと理解するのに時間は要さなかった。
確認すると、桐生京我、という名が書かれており、目を合わせてはいけない猛獣の名前が分かった。
「……」
天海は一度顔を上げると、相変わらずのキリっと顔で腕組みをする女性を見やる。天海が玄関で出会った奇抜女性だ。こちらは、秋山みなね、というようで、天海はここで初めて会ったプレイヤーだからか、どうも気になっていた。
「さーて早速、ゲームのルールを説明したいところなんです、が! 汐音様、汐音妃乃様! 私の話、聞いているのですかー!? 先ほどから全くこちらをご覧いただけていないようなのですがー!」
「……」
汐音と呼ばれる、とにかく強調する女性らしい部分を持つプレイヤー。同じく目立つ金髪ロングや小奇麗なメガネを弄ぶだけで、マスターの呼びかけがまるで聞こえていないような素振りだ。
「あら? 皆さん、私の方を見てどうかしましたか?」
だが、さすがに目線に気づいたのだろう。ようやくプレイヤー達の顔をぐるりと一瞥した。そうしながら、両耳にそれぞれの手を運ぶ。聞こえていないような素振りをしていたのではない、本当に聞こえていなかったようだ。
なぜなら、
「申し訳ありません。あまりに周りがうるさいので、耳栓をしていました。ピアニストの耳を、汚い声で汚さないで欲しいものです」
というわけである。
声で汚されてしまうということは、いったい普段はどのように生活をしているのだろうといささか疑問ではあるが。
「ルールを聞かなくても戦えてしまいそうなその意気やよし! しかし皆様、どうぞお耳をマンホールのようにして聞いてくださいね!
さて! この『殺し合いハウス』におけるゲームのルールを、1日の流れを説明することでお話します!」
マスターはポインターを取り出し、大型ディスプレイを用いてさらに高らかに話し始める。
「ゲームは10日間行われます。ただし、初日の本日はルール説明のみ、最終日の10日目は結果発表のみですので、ゲームは実質、8日間行われることになっています。
まず皆様は、その日殺すべきターゲットを指定していただきます。これは非常おぉおおに重要な点ですので、今度はどうぞどうぞ耳をブラックホールのようにして確認してください!」
マスターの適当な戯言はさておき、プレイヤーはディスプレイに注目している。そこには、このようなことが書かれていた。
- 妹下さい ( No.3 )
- 日時: 2020/03/18 12:13
- 名前: 殺し合いハウスファン☆ (ID: 1U9R9WXJ)
桐生 京我さん妹の桐生 萌木ちゃん下さい(あれ?冬雛 萌木ちゃんって言ったほうがよかったのかな?まあいっか)萌木ちゃんかわいいから本気で下さい(土下座)
本当にちょうだい
お願いします
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