ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- kako telos ... The Memories
- 日時: 2016/09/08 04:15
- 名前: Laicy (ID: icsx9rvy)
kako telos
age of megaleo
本編では語られなかった、過去の記憶
すべての元凶
そしてすべての真実
- The memory of Lepida ( No.1 )
- 日時: 2016/10/03 23:03
- 名前: Laicy (ID: icsx9rvy)
The memory of Lepida
レピーダ王の追憶
私は三人兄弟の末っ子として生まれた。
ただの三兄弟ではない。
父上の名はメガレオ。 通称、獅子王。
国王メガレオは、獅子のように気高く、強く、完璧主義。
そんな国王メガレオの息子の末っ子として私は生まれた。
一番上のアディナモス兄上はとても優しい性格で、
剣の才能があり強い人だった。
二番目のシグノーミ兄上はとても賢く、
無駄のない軽やかな動きをする計算高い人だった。
だが、私には何もなかった。
特別剣の扱いが長けているわけでもなく、
賢いわけでもない…。
自分で言うのもアレだが、性格はワガママで強情。
父上や兄上たちはこぞって私を甘やかした。
何もない自分に優しくしてくれる父上や兄上が大好きだった。
でも今ならしっかり理解できる。
なぜこんなにかわいがられていたのか。
私は父上や兄上から王位争奪戦から
無関係だと、考えられていたのだ。
「王に即位する可能性すら無い、哀れな可愛い末っ子」
そんな私には
兄上たちのように
父上から厳しい剣さばき指導もされず、
難しい勉強も強いられず、
ただただ自由に過ごしてきた。
「自由」だった私は
兄上たちのことを見て見ぬ振りをした。
兄上たちが父上に殴られ、叩かれ、罵られ…
父上が毎日怒鳴る声が宮殿内をこだましていた。
「お前たちは…どうして完璧にこなせないのだ!
私の子なのだぞ。私に恥をかかせるのか!」
その怒声を聞くたびに自分が怒られているような、感覚になる。
私は聞きたくなかった。
。。。。。
時間の流れは時に残酷だ。
一番上の兄上が成人に近づくにつれ、
私は邪魔者扱いされるようになった。
完璧主義の父上は常に兄上たちに厳しかった。
彼らに王としての完璧を求めた。
「あっちへ行っていなさい。お前の兄上たちはもうすぐ成人する。
レピーダ、お前が成人を迎える頃には私は次の王を決めねばならんのだ。
私が動けるうちにしなくては。」
父上は私にはまだ早いのだ、
といって兄上たちの稽古にあたった。
もちろん途中で気づいてしまった。
もう私は小さい頃のように
単純に父上の言葉に従う年頃ではないのだ。
父上の目を見れば、何となく言いたい事がわかる。
”お前には期待していない、ただの邪魔なモノ”
私は王位に就くことを期待されていないらしい。
ひそひそと使用人たちの噂話が嫌でも耳に入る。
「かわいそうねぇ。アディナモス様もシグノーミ様も…
我王は完璧をお求めになられるから…」
「でも、もっとかわいそうなのはレピーダ様よ。
レピーダ様ってほら、何もないじゃない?
だから王も期待してないらしいわ
稽古もつけてくださらないとか。」
「本当にレピーダ様って、”かわいそう”な王子ね。」
…………
兄上たちが成人してからもこの状況は変わらなかった。
私は期待されていないらしい、
と召使いや使用人たちに囁かれ続けていた。
完璧を求める父上の稽古は言葉では表せないくらい…
過酷なものに変更され、
兄上たちが日に日に壊れていった。
痩せた白い顔に浮かぶ目はうつろになり、笑う事がなくなった。
すぐに人や物に当たり、言葉使いも悪くなった。
私が大好きだった頃の兄上は跡形も無く、壊れてしまったのだ。
歪んでしまった彼ら…は私を見かけるたびに、
二番目のシグノーミ兄上は
「無能な末っ子はいいよな。
お前は王にならなくても良いんだから。
俺たちは”完璧”にならなくちゃいけないんだ…!」
お前みたいな能無しは見たくない、
死んでしまえ!、と私を罵るようになった。
一番上の兄上、アディナモス兄上も私をさぞ不快なものを
見るような目で睨んだ。彼は何も言わなかったが、
シグノーミ兄さんと同じように私を疎ましい、さっさと消えろ、
といった目だった。
恐ろしくなった私は何も言わずにすぐ立ち去った。
だが一度だけ…彼らに質問した事がある。
二人の兄上が揃って廊下を歩いていた時だ。
その時にばったり会ってしまい、
シグノーミ兄様に
「早く消え失せろ。それとも消してやろうか。」
と言われた。
さすがの私もそれには少し頭にきた。
私は必死に
「兄上様。失礼ですが、”私を消す”ですか?
国王にもなろうお方が弟を殺したなんて
明るみに出れば国民の信用を失いますよ!」
と返した。
少し反撃したかったのだ。
そんな必死の私を見て、彼は大口を開けて笑った。
「いいか、馬鹿で愚かな弟よ。
お前を殺したとしても、俺は咎められない。
王になるためだったら、何をしてもいいんだよ。
騙したって、陥れたって、殺したって…
王にさえなれれば…すべて許されるんだよ。
……お前、次俺の気に触ってみろ。消すぞ。」
・・・・・
……もうすぐ私の成人式か。
兄上たちの言葉と圧力を受け続けた私は
いつの間にか、兄上たちを超える…
死を恐れない、殺すことをなんとも思わない
”残酷”な性格に歪んでいた。
「冷酷」「非道」「残酷」「狂人」
なんて言われようがかまわない。
気に入らなかったら、壊せばいい。
欲しければ、何をしてでも奪えばいい。
王位が欲しければ、兄上たちを蹴落とせる何かがあればいい。
手段を選ぶ必要なんてない。
全て ”しょうがない” から。
だって「王」になればすべてが許されるんだろう?
Page:1 2