ダーク・ファンタジー小説
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- 正義の殺し屋
- 日時: 2016/12/21 19:43
- 名前: 北風 (ID: rk41/cF2)
北風です。
質問やコメ、アドバイス等大歓迎です。
超絶不定期更新ですが、宜しくお願いします。
- Re: 正義の殺し屋 ( No.1 )
- 日時: 2016/12/21 19:46
- 名前: 北風 (ID: rk41/cF2)
sideカルア
──ええ、分かってます。
ここまで来たのだから、今さら悪あがきはしませんよ。
質問には全て答えさせていただきます。
あ、でもすみませんが本名で呼ぶのはやめてもらえませんか?
はい、今となっては大罪人の名前ですが、個人的には結構気に入ってるんです。
だから、刑事さんたちも、そう呼んでください。
悪を狩る者、狩悪と──
幼いころから悪が許せない質でした。
いじめや暴力はもちろん、ちょっとした意地悪や悪口も受け付けませんでした。
少しでも他人を傷つける人がいたら、殺意が溢れ出して止まりませんでした。
それを抑えるのには骨を折りましたが、悪い気はしませんでした。
だって大人が褒めてくれたから。
『■■は優しいね』
『正義感が強いんだね』
自分も一人の子供。
褒められると嬉しいものでした。
だから、小学四年生の時。
自分は正義を決行しました。
そうすればもっと褒めてもらえると思ったから。
先生が頭を撫でてくれるかもしれない。
お母さんがお小遣いを上げてくれるかもしれない。
そんな実に無邪気な考えの下、自分は昼休みの校舎裏で、クラスの女王様を気取っていた意地の悪い女子にナイフを降り下ろしました。
あまりうまくいきませんでした。
彼女は悶え苦しみ、のたうち回って叫び声をあげました。
その際、思っていた以上に血がぴゅーぴゅー吹き出し、自分は制服を真っ赤に染めてしまいました。
ああ、雨カッパを持ってくるべきだったな、と思ったのを覚えています。
おまけに家からこっそり持ち出してきたナイフは、彼女のあばらに挟まってぐにゃぐにゃに曲がってしまいました。
そんなハプニングがあって、正義を執行をしている時、自分はすこぶる機嫌が悪かったのです。
でも、彼女が目を薄く開いたまま動かなくなった時は、憑き物が落ちたようにすっきりしました。
自分は頬の血と汗が混ざった汁を拭うと、褒めてもらうために担任の下に駆け出しました。
待っていたのは畏怖と激怒の視線でした。
『■■は大変なことをしたの。分かってる?』
『……母さん、■■が恐いわ』
『ちょっとおかしいんじゃないの?君』
悲しかったです。
褒められると、喜んでもらえると思ってやったのに。
自分は悲しみの底に沈んでいきました。
でも、それ以前に。
果てしない怒りを覚えていました。
何で自分を認めてくれないんだ。
自分は正しいことをしたのに。
正義を認めない人も悪だ。
そんなことを思っていました。
そして気がつけば自分は血の海の中に立っていたのです。
- Re: 正義の殺し屋 ( No.2 )
- 日時: 2016/12/21 19:48
- 名前: 北風 (ID: rk41/cF2)
自分には才能がありました。
人を、その──殺める、才能が。
もともと運動はできましたし、小柄だった分小回りも利きました。
初めて正義の執行をした日、自分はその才に目覚めてしまったのです。
クラスメイト1人と保護者2人、教職員は……ええと、何人でしたっけ?
──ああそうそう。
18人でした。
つまり、あー……21人殺したんですね。
全員殺し終わった後、すぐに警察が駆けつけて来ると分かりました。
自分はどうしたものかと悩んだ挙げ句、逃げ出すことにしました。
校舎を裏門から飛び出して数歩駆け出し、やっと己の服装に気が付きました。
返り血に染め上げられた制服のままでは逃げ切るなんて不可能に近いことくらい、子供の頭でも容易に理解できました。
ですが、具体的な解決策も見出だせないまま自分はただオロオロするばかりでした。
そんな時、助けてくれたのが兄だったのです。
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