ダーク・ファンタジー小説

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雪の冠
日時: 2017/01/15 23:32
名前: ゆた (ID: pD6zOaMa)

......。

吹雪の中をもう何時間歩いただろうか。

足取りがどんどん重くなっていく。体力はもう限界に近い。

僕はどうしてこんなところを歩いているんだろう

視界は一面真っ白のままだ。
先を見てもただ永遠と白が続いている。

「このまま僕はここで死ぬのか...」

冷たくなっていく体。朦朧とする意識。

ついには足が動かなくなりその場に倒れこんだ。

いっそ、ここで死んだ方がマシかもしれない。

そう彼は思った。 どうしてかって?

『どうせ帰る場所なんてどこにもないから』

僕の心を見透かしたようにそう後ろで誰かが囁いた気がした。

......。

きっと僕がいなくても大丈夫だ。

僕なんかいなくても優秀な弟たちが僕が治めるよりずっと、
良い国にしてくれるだろう。

むしろこの国にとってはそれがハッピーエンドなのかもしれない。

瞼がどんどん重くなっていく。

「僕のことはどうか忘れてくれ。もう僕は.....」



彼は静かに目を閉じた。

ただただ雪が虚しく積もり続ける。

まるで彼を隠すかのように。静かに、そっと。

その一夜、吹雪が止むことはなかったという。














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