ダーク・ファンタジー小説

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創造のクロス 片翼の嘆き
日時: 2017/01/17 20:41
名前: 狂yuki (ID: iCfJImSu)

「被験体No.46、神童レオ。合格。」

神童レオと呼ばれたその幼い男の子の瞳の色は、美しい赤だった。まるで世界の終わりを示すように。
そして、その美しい瞳を持つ男の子は、世界の終わりを生き抜いた。
生き抜いて、今、悪夢へと誘われようとしている。

「…………。おい、俺をどこに連れて……。」
レオは、走行中の車の中にいて、後部座席で揺られている。
そして、運転手の男が、レオの問いに答える。
「悪魔のところさ。でも安心して。最初のうちは強制労働とかさせられるけど、そのうち助けが来るから。」
「何だよそれ。意味わかんねぇよ。いいから降ろせよコラ。」
「降りたいの?なら飛び降りればいいよ。君は多分それでも死なないけど。」
「……!この野郎!」
後部座席から身を乗り出したレオが、男を殴る。
髪を掴む。
服を引っ張る。
危ないよ。とは言わない。自分はこの程度では微動だにしない。
何せ、自分は悪魔だったのだ。人間より遥かに強いのだ。
だから、いくら揺さぶられても殴られても危なくない。
そのことも、レオには言っていない。おそらく今でも彼は、自分を人間だと思っている。
まあ、そう思われていた方がやりやすいのだが。

男は揺さぶられながら話しはじめる。
「ああ、自己紹介を忘れてたね。僕は岩倉清人。君を一時的に悪魔に預けるよう、ある人間から言われてね。」
「知らねえ!どーでもいい!車止めろ!」
「君は数年後に、人間に助けられる。そして、悪魔と戦うことになる。まあ、信じなくてもいいけどね。」
今、レオはそれどころではない。見知らぬ男に、見知らぬ場所に連れていくと言われて混乱している。
だから、この言葉もすぐに忘れてしまうだろう。

悪魔どもにも、人間が来ることは教えてある。
それまでレオを生かすようにも。そして、レオに仲間が出来たら、殺すようにも…。
しかし、一人だけ生かすよう頼んだ。確か……直樹といったか、
彼は中々優れた被験体だ。殺すには少し惜しい。
……まあ、彼の監視役の悪魔は、下手をしたら手加減せずに殺してしまうかもしれないが。
その悪魔の名前は、ギルバート・べリアル。
何百年も前に自分が悪魔にした男だ。かつてはフランスに住んでいたが、
今は「お友達」と共に日本を統治している。

その全てが、破滅を祝福する。

レオは気がついたら暴れ疲れて寝ていた。
岩倉は思わずそれに「はは…やっぱり子供だなぁ。」と苦笑した。

岩倉とレオが乗った車は、瓦礫やガラスの散乱した国道を、無言で駆けていった。
まるで、運命を求めるように。

続く


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