ダーク・ファンタジー小説
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- あなたの運命頂きます
- 日時: 2017/01/19 19:52
- 名前: 黒煙 (ID: osQJhSZL)
この、ページを拝見して頂きありがとうございます(о´∀`о)
内容下手・脱字、誤字などなどあるかもしれませんが、頑張って書かせて頂きますので是非読んで下さい♪
- Re: あなたの運命頂きます ( No.1 )
- 日時: 2017/01/19 19:54
- 名前: 黒煙 (ID: osQJhSZL)
序論 契約を交わしましょう
「その運命から逃れたいですか?大丈夫、怖がる必要はありません。」
少女がゆっくりと言葉を紡ぐ。その声はまるで甘い誘惑。聞いてはいけないと本能的に感じるのだが身体はその思いに反して言葉を聞いてしまう。彼女の真っ赤唇が歪む。綺麗な弧を描くように……。
「契約を交わしましょう。」
「け、い、や、く?」
「あなたの運命を変える契約です。」
「・・・」
「この契約は、あなたにとって一番大切モノを私に渡すだけで成立するわ。」
「一番大切物……?」
「そうですよ。だけど、それは私があなたの中にある大切なモノを調べますから何を選ぶのかはこの私になります。」
「・・・」
「受け入れるか、受けないか。それを選ぶだけ。ただ、それだけです。」
「お、俺……」
答えてはいけない。答えてしまうと後悔するだろうと心の中で本能が叫ぶ。
自分は、どうすれば良いのだろうか。彼女が、言っている運命が本当に自分の身に起こってしまうものなのか……。確かめる手段が見当たらない。
黙る相手を彼女は微笑んで待っているだけ。それは、天使のようで悪魔の微笑み。
「証拠になるか分かりませんけどこちらをご覧下さい。」
彼女が、見せたものに言葉が出なかった。
「俺は……」
「はい」
「・・・よ。」
声が掠れていた。瞳からは、驚くほどの涙が頬を伝っていた。身体が暑い。口を押さえる。だが、嗚咽が漏れてしまう。
「そう、あなたはその運命を選ぶのですね?本当によろしいですか?」
「あ、ああ。」
「了解しました。今日は、ご来店ありがとうございました。また、ご来店ができましたらお待ちしております。」
辺りが輝きだし、視界を奪われる。
目を見開き彼女の姿をとらえる。黒髪の透き通るほど白い肌。猫のような特徴的な瞳。そして、何より冷笑する真っ赤唇。
彼女を忘れないようにその姿を刻みこめる。
彼女に対する怒りと、そしてその選択を選んだ自分に強い憎悪が膨らむ。
輝きが一段と増し、彼女の姿すら見えなくなる。それと同時に意識も遠退いてくる感覚。
歯を食い縛り光に向かって言葉を吐き出した。
「月詠 未来(つきよみ みらい)……っ!!」
「はーい?何ですか?」
彼女の笑い声となぜか猫の鳴き声が耳に届く。光が強くなると自分の視界が少しずつ闇に包まれた。
***
「にゃー」
黄色の瞳の黒猫が、先程いた男性客の場所を眺めては鳴いている。猫を撫でながらここの店主は満面の笑みを浮かべていた。
「明日で終わる運命か……、大切なモノを失う運命か……。今日も、また面白い運命選択だったわ。」
猫が、膝の上から飛び降りる。同じ所をクルクルと回って鳴き続ける。自分も静かに椅子から立ち上がり猫を抱き上げ呟いた。
「クロ、今日の仕事はここまでね。あー、それにしてもなんて楽しいのかしら。」
自分の手の中を眺める。
どうしようもないほど、笑いが込み上げてしまう。そのまま口を塞ぎ、笑い続ける。
「私の手相占いは絶対当たる。契約をしなければその運命は必ず降りかかる。」
先の客の絶望とも言えるあの顔を見ると楽しくてしかたない。
「これだから、奪うのはやめれない。この力は本当に最高ね。」
月詠 未来(つきよみ みらい)。
手相占い師。彼女の占いは、よく当たると評判である。それもそのはず、彼女自身が占う人間を選んでいるのだから。
「さぁ、契約を交わしましょう」
館に彼女の声だけが響いた。
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