ダーク・ファンタジー小説
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- Game of death
- 日時: 2017/02/05 14:54
- 名前: りゅーどん兵衛 (ID: B2tgeA34)
- Re: game of death ( No.1 )
- 日時: 2017/02/05 13:53
- 名前: りゅーどん兵衛 (ID: B2tgeA34)
第一話
Game start
暗い部屋の中。布団の中から一つの光が漏れ出ていた。
その光は、夜中も絶えることなく光っていた。
ジリリリリリリリッ。
朝6時を指す目覚ましが、盛大に鳴り響いた。
私は、「うぅーん」と唸りながら、手を伸ばして目覚ましを止めた。
目覚ましを止めただけで、体力を使い切ったかのように、「はぁ」と大きな溜息をついた。
私、赤青春飛はいつもの日常を送ろうとしていた。
重い足取りでリビングに向かうと、テーブルについて食パンを食べた。
左手には食パン。右手にはスマホを持って。
親も、最初はずっと怒ってきた。食事中くらい、スマホをいじらないでって。
けれど、今はもう諦めたのだろう。何も言わずにもぐもぐと朝食をとっていた。
気まずい空気が流れるこの時間がどうも苦手で、急いで食べ切った。早く立ち去りたかったから。
一応、「ごちそうさま」とだけ言っておく。
自分の部屋に戻ると、学校に行くために急いで制服に着替える。
白の生地に、黒いラインが入ったセーラー服。スカートは膝下と、ちゃんと校則を守っていた。最後にスカーフを巻いて。
着替え終わると、適当に櫛を梳いた。相変らず毛先は揃っていない。
バッグの中に、スマホ、鍵、財布、お菓子とジュースやら、必需品を詰め込んで、「いってきます」と家を出た。
駅に向かって歩き出す。電車が発車するまで、まだ5分もある。
そして、当たり前のようにスマホをいじりながら歩いた。
家から駅は近いので、ギリギリに家を出ても間に合うのだが、余裕を持っておくのが丁度いい。
駅に着くと、電車が丁度来た時間帯だった。スマホを鞄の中に入れると、揺られながら、またスマホを取り出していじった。
学校に着くまでの3駅分、毎日これなのだ。
電車を降りて、学校までほんの少し歩くだけ。だいぶ楽な登校だと思う。
このあたりの道になると、生徒たちもちらほら見えてくる。
電車通学、自電車通学、徒歩…。いろんな人たちが通うこの学校は、いつも賑やかだった。
私も、学校生活は確かに面倒だけど、嫌いじゃない。
この学校はだいぶ自由な方で、明るい生徒が多い。おかげさまで、私もぼっちを卒業し、友達に囲まれた日々を送っていた。
正門をくぐると、足早に教室に向かった。
私は1組なので、階段を上ることはない。本当にありがたいことだ。
教室に入ると、「おはよー」と声がかかってくるので、「おはよ」と返した。
朝の時間は、友達と話すことは少ない。もちろん、仲は良いのだが、朝の時間は全員静かに自習を行うことになっているのだ。
けれど、私はスマホを取り出し、いつものゲームを開いた。
そう、私が今ハマっているのはオンラインRPG。「君と僕らの冒険」多分、通常「君僕」。
一緒にクエストに行けるのが当たり前だが、このゲームはなんとチャット機能付。
見知らぬ人と喋るのは、友達と喋るのとは違う楽しさがある。その楽しさから抜け出せれなくなり、スマホを開けばいつもこのゲームばかりしていた。
ランクは444と、だいぶやり込んでいる。
クエストとは反対側の、チャットというボタンを押すと、いつものメンバーと話した。
春飛:こんちは!
蘭々:やっほー!待ってたよー!
爽汰:こんちゃー。
宇宙:やっほー。今日もよろしく。
春飛:今日もクエスト行こう!よかったら…。
蘭々:行く!春飛ちゃんからのお誘い^^
爽汰:賛成ー。宇宙もいいよな?
宇宙:もちろん。クエストは春飛ちゃんに任せるよ。
春飛:じゃあ、〇〇でいい?
蘭々:おっけい!では、いざ出陣!
蘭々。爽汰。宇宙。そして私、春飛。
この4人でいつも遊んでいる。
ずっと前から、今日も、これからも…。
ずっとずっと、一緒に話してクエストに行けることが、本当に楽しくて、楽しみで。
ずっと、平和な世界が続くと思っていたのに。
世界は突然に、終わりを告げた。
- Re: Game of death ( No.2 )
- 日時: 2017/02/05 14:53
- 名前: りゅーどん兵衛 (ID: B2tgeA34)
第二話
Error
クエストを終えると、急いでチャットボタンを押した。
お礼を言うのは常識なのだ。
もしも、お礼を言い忘れたら…。どうなるのかは、あまり想像したくなかった。
キーボード画面が出ると、スイスイと文字を打っていった。
春飛:クエストありがとう!
爽汰:ん。ありがと。学校でも飽きずにクエストよくするよなァ。
蘭々:クエありー!いーじゃん!てか、爽汰もその一人なんだし(笑)。
爽汰:まーな(笑)。
宇宙:クエストありがとう。僕はそろそろ落ちるね。じゃあ、また放課後。
蘭々:じゃあね!
爽汰:今日もサンキュー。
春飛:楽しかったよ。バイバイ!
満足してログアウトのボタンを押した。
また放課後、か…。楽しみだな。
私はにこにこしながら、スマホを鞄にしまった。
この時は、もう放課後が来なくなるだなんて、思ってもいなかった。
今日のバイバイが、永遠のバイバイになるだなんて。
「起立。礼。さようなら」
「さようなら」
学級委員の号令に合わせて、全員が声を揃えた。
部活に入っている人は、友達と一緒に更衣室に行ったり、階段を上っていた。
帰宅部の私は、そんな光景を眺めて、少し羨ましいと思っていた。
ゲーム研究部とかがあれば、私も部活に入っていたかもしれないけれど、この学校はマイナーな部活が少ないから、全く興味が湧かなかった。
私は、教室を出ると足早に靴箱に向かった。
正門を潜り抜けると、寄り道一つせず、駅に向かった。
今一番の楽しみは、ゲームだから。
最初は寄り道してアイスを食べながらゲームをしようかと思っていたが、想像以上に速度制限がかかって不便だったから、寄り道という選択肢は一瞬で消えた。
まぁ、家の中で大音量でクエストに行く方が、迫力もあっていいし。
駅を通り抜け、いつもの光景を眺めながら、電車に揺られていた。
早く帰りたい。という気持ちで、貧乏ゆすりをした。
周りの人は迷惑に思っているかもしれないけれど、癖なのだ。ごめんなさい。
ようやく電車が止まると、一番に降りて、すぐそこの家に向かった。
なんとなく、なぜか今日に限って走って帰っていた。
何で走ってるんだろう…。
別に、歩いたって十分時間はあるのに。
なんで、なんで…。
嫌な予感がよぎっているの…。
この嫌な予感は何?君僕に何かあったの?
このとき、外でもゲームができるってことを忘れていた。それくらい、焦っていたんだと思う。
「はぁ、はぁ」と息を荒げながら、全力疾走で家に向かった。
運動不足の私には、短距離でもかなりしんどかった。呼吸がままならない。
角を曲がって、家の鍵穴に鍵をぶっ刺した。
勢いよくドアを開けると、階段を上って部屋に向かってスマホを取り出した。
急いでロックを解除し、「君僕」を開いた。
心臓がおかしい。ドクン。ドクン…。と大きな音を鳴らしていた。
ゆっくりと目を開けてみると、そこには見知らぬ画面が映っていた。
エラーが発生しました。
死のゲームを始めます。
「は…?」
何が起こっているのか、理解が出来なかった。
単純にエラーが発生したなら分かる。けど…。
「死のゲームを始めます…?」
いつもの平和なオンラインRPGとは真逆の、死という言葉。
意味が分からない…。なんで…。
どんなに画面をタッチしたって、全く反応がない。
これは、私の端末だけ起こってるの?それとも、全国…?
そんなことは、分からなかった。
考えても、余計に頭がパンクするだけだった。
「怖い怖い怖い怖い!いつもの平和を、返してッ!!」
思いっきり泣き叫んだところで、全身に電流が流れた。
なに…これ…。
なんで…こんなことに…。
意識がもうろうとして、その場に倒れこんだ。
そして、私の姿と存在は、「現実世界」から消えていった。
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