ダーク・ファンタジー小説
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- きみと化物
- 日時: 2017/02/12 11:12
- 名前: ひかるひか (ID: gI7kIfkJ)
血をのまない吸血鬼と
少年のはなしです。
自由にかいていくつもりです。
アドバイスや指摘などあれば、
お気軽に。
あなたは吸血鬼を化物だと
おもいますか?
- Re: きみと化物 ( No.1 )
- 日時: 2017/02/12 20:18
- 名前: ひかるひか (ID: gI7kIfkJ)
出会いなんて、そんなに深いものじゃない。
正直に言うと出会ったわけなんてもうどうでもいいことだし、今ではそんなこと特に重要じゃなかった。
その日は本当に不運だったんだ。
クラスではいつも自由で、一匹狼。
特別仲のいい友人もなければ、クラスで浮いているわけでもない。
俺は縛られることを知らない人間だった。
教室の一番角の席。
窓際の一番前。
教師に注目されない日当たりのいい席で、いつもうつ伏せて、目を開くのはチャイムの音を聞いてからだった。
いつもは。
「なつめ」
後ろから背中をつつかれる感覚があって、俺は首だけ傾けて「なに」と一つこぼす。
話したこともない女子だった。
クラス委員のやつだった気がするけど、顔に見覚えがあるだけで、そこまでおぼえていない。
「なつめって沢口となかよかったよね?
沢口今日休みじゃん?
でもちょっと用事があって、課題とかもっていけないんだよね。
お願いできないかな」
でた。俺の苦手な名前。
『沢口』はクラスでも明るい性格で、こう、盛り上げ役って感じのやつだった。
そいつになぜか気に入られ、こういう話したことのない奴らにも、俺は下の名前で呼ばれることが多い。
まあ、それに対して不快だと思うことはないのだが。
「どうかな?」
女子生徒の声が俺の答えを急かす。
面倒だったが、断る理由もなかった。
「わかった」
「ほんと?たすかったよー」
女子生徒が席を立つ。
数人と話し出す。
視界の端で今日どこに行くか話す数人を、俺が気にかけることはなかった。
- Re: きみと化物 ( No.2 )
- 日時: 2017/02/14 19:26
- 名前: ひかるひか (ID: gI7kIfkJ)
放課後、いつもとは違う帰路につく。
考えてみれば沢口の家なんてまったくの逆方向で、たまたま徒歩で学校に来ていた俺にとっては、少し長く思う距離だった。
正門を右手に曲がって、女子生徒の書いた適当な地図を見る。
こんなものを見ていたら、すぐに道に迷いそうだ。
そう思って俺は、地図をポケットへと無理矢理押し込むようにして入れた。
手に携帯をとって、地図を表示する。
あいにく俺だって道に得意なわけじゃない。
地図なんて見たって迷う。
カンで進もうもんなら、戻れなくなる。
男性は地図を見ることに長けているなんて言うけれど、そんなのデタラメだと俺自身が一番実感していた。
奇跡なんて信じたこともなかった。
でも、奇跡ってほんとにあるんだな……。
俺は間違いなく、『沢口』と表記された表札の前に立っていた。
日は沈みかけているものの、確かにそこは沢口の家だった。
窓にはカーテンがかかっていたが、沢口なんてここらではあまり聞かない名前だからきっと家は合っているだろう。
インターホンを押す。
反応がなくて、俺は沢口の両親が共働きで夜が遅いことを思い出した。
寝ているのだろうか。
ポストに入れておこう。
そう思い、沢口の家に背を向ける。
案外広そうな一軒家。
でも少し古そうに見えて、なんだか家庭的な家だななんて、らしくないことを考えた。
ドンッ……
突然、二階の窓が激しく叩かれ、鈍い音がした。
なにか、あったのだろうか?
考える前に、手がドアノブに伸びる。
軽い音がして、ドアノブは簡単にひねることが出来た。
ドアが開く。
今日は不運だったんだ。
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