ダーク・ファンタジー小説
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- 教室戦争
- 日時: 2017/02/26 09:10
- 名前: 堕天使 (ID: woIwgEBx)
私の名前は清水 葵(しみず あおい)。16歳。
腰まである長い黒髪をポニーテールにしている。
年のわりには小さくまだ149cm。
ちなみに、清水財閥の令嬢だ。
一人っ子だからか両親からは溢れんばかりの愛情をもらった。
でも、私は不愉快だった。
だって私を見る大人の目が嫌いだから。
私を見て大人達が言うことは一つ。
「お父さんによろしくね」
そいつらは出世したいんだろうね。
私から見ればただの豚だけど。
そんな私が通うのは、超一流お嬢様学校『マリア女学院』だ。
.....とてもつまらない。
勉強も作法も全てトップ。
張り合う相手がいないというのはくだらないわ。
9月23日。日常が変わったのはそんな日だった。
「ハァーイ!皆さんごきげんよう♪」
午後2時。耳障りな甲高い声が聞こえたのはその時だった。
「誰のイタズラ!?」
怒った担任の女教師が教室から出ていく。その瞬間。
「カハッ」
血を吐いて倒れた。黒いフードを被った男が持つ銃から煙が出ていた。
教室中が悲鳴に包まれた。叫び出す者。泣き出す者。呆然と立ち尽くす者。
その時、またあの声が聞こえた。
「教室から出ちゃだめよぉ!出たらバンッだからね♡」
「ふざけないでよ!」
教室のど真ん中で東原 理愛(ひがしはら りあ)が叫んだ。
「ふざけてないわよぉ!」
嘲笑うかのような声がする。
「あなた達のことはしっかり監視してるからね」
悪寒が走った。その時冷めるような視線を感じた。
振り返ると植え込みの側に小さいカメラがあった。
その時、私は何を思ったのだろうか?無意識に机の中のハサミでカメラをぶっ壊した。バリン
その音にクラスメイト達が振り向く。そこで私は我に返った。
....つづく....
- Re: 教室戦争 ( No.1 )
- 日時: 2017/02/26 09:38
- 名前: 堕天使 (ID: woIwgEBx)
一人の少女が駆け寄ってきた。
「葵ちゃん!手から血が!」
東原 優愛(ひがしはら ゆあ)だった。理愛の双子の妹。
理愛は肩までのクセがある黒髪を垂らしている。優愛は対照的でストレートの黒髪をツインテールにしている。
大人っぽい理愛と子供っぽい優愛。見分けがつきやすい双子。
「こんくらい大丈夫」
平然と答える私に優愛は何も言わず治療を始めた。
「何で?」
「えっ?」
「私とあなたは仲が良いわけでもない。私にこうしてもあなたに利益はないでしょ?」
「えっと....でも.....」
「あのさ、あたしの妹あんまいじめんでくれるか?」
理愛が歩いてきて肩にてをかける。
「ほぉら、そこぉ!無駄話しないでよぉ!し・か・も壊してもカメラはまだあるよぉ!」
「こんなことをして私達に何を求めるっていうの?新ての強盗?」
私の問いに、
「わたくしが欲しいのはぁ!お金じゃなくてぇ!あなた達の悲鳴よぉ!」
と、甲高い声で答える女。
「あなた達、外を見てごらぁん!」
私は目を疑った。いや、私だけではないだろう。
だって校庭には機関銃を持った男が何百人も立っていたから。
校庭だけじゃない。校舎を囲むようにして男が立っていた。
「これで校内からはでられないわぁ!最後の1人になるまでぇ、出してあげなぁい!殺しあいのぉ!始まりぃ!武器は何を使ってもOK!自殺もいいよぉ!」
「待って!あなたは誰?」
優愛の言葉に怪しく答える女。
「ベラ...とでも言っておくわぁ!」
そして、唐突に教室での殺しあい、教室戦争が始まった。
- Re: 教室戦争 ( No.2 )
- 日時: 2017/02/26 10:33
- 名前: 堕天使 (ID: woIwgEBx)
最初に動いたのは私。
側にいたクラスメイトを持っていたハサミで刺した。
「キャーーーーーーー!!!!!!」
悲鳴をあげるクラスメイト。心臓に刺さらなかった。残念。
刺さった左の二の腕に血が滲む。
もう一回
今度はしっかり心臓に刺さった。これで『一人目』.....
「何を....してるの...?」
話しかけてきたのは蜷川 アンナ(にながわ あんな)。
ハーフだけど顔立ちは完全日本人。ブロンドでカールしている髪をおさげにしている。
成績が良いわけではないけど優しくて結束力があるからクラスの中心みたいな子。
「ベラ...だっけ?さっきの。あいつが言うには最後の一人まで終わらない。だったら殺さないと」
「でも本当に殺すなんて!残虐すぎる!」
「じゃあこの校舎内で全員、飢え死んでもいいの?」
「そ、それは...」
俯くアンナに追い打ちをかける。
「綺麗事ばかり言っていたら生き残れない。ドアの外見て。男がいるでしょ?多分まずこの中で殺しあいをするの」
その言葉を引き金に全員が動きだした。
殺し、殺される。仲の良かった者達も自分のために殺す。
「所詮、人間なんて自分が一番大切なの」
どのくらい経っただろうか。
まだ2時24分。
あれから全然経ってないのに何時間にも感じた。
残ったのは、私、アンナ、理愛、優愛だった。
その時またあの声が聞こえた。
「そこでストップ!うーんとぉ!今残ってる人は体育館集合ぅ!」
それから声はもうしなかった。
「ドアが....」
いつのまにか男はいなくなり、ドアも開いていた。
「早くして。体育館、行くから」
体育館につくと数十人の生徒がいた。
皆、服や肌には血がこびりついている。
返り血か、自分の血かそんなの分からない。
その時体育館のステージの上から声が聞こえた。
「ハァーイ!来てくれてありがとぉ!!」
立っていたのは20代前半くらいの女性。胸まである茶色い髪をおろしている。黒いフード付きのパーカーの下には白いロングワンピース。手にはマイクが握られていた。
「あなた達はえらばれたのよぉ!!選ばれし者にはわたくしのゲームであそんでもらうわぁ!このゲームで勝ったものが生き残れるわぁ!」
.....つづく.....
- Re: 教室戦争 ( No.3 )
- 日時: 2017/02/26 11:21
- 名前: 堕天使 (ID: woIwgEBx)
「ゲーム...?」
首を傾げるアンナにベラは言った。
「そうよぉ!今ここには47人いるのぉ。だからぁ!鬼ごっこをするのぉ!」
「はぁ!?こんなときに!?」
声を荒げる理愛。
「いいえぇ!ただのぉ!鬼ごっこじゃぁ!ないよぉ!鬼はぁ!わたくしのぉ!可愛い可愛い部下なのぉ!」
そう言うとベラの周りに男達が集まってきた。
「あなた達はぁ!逃げてねぇ!捕まったらぁ!こ・ろ・す」
「女子高生と成人男性なんて差がありすぎない!?」
私は言う。でも、分かっている。この女に何を言っても無駄なことくらい。
「その方がおもしろいじゃないのぉ!」
やっぱりね。こいつは野放しにしていてはいけない。数百人の部下を連れているところからしてなかなかの権力者だと推測できる。
そして、これほどの騒ぎになっていても住民は不審がるどころか警察も来ない。電波も通じない。かなり厄介かな。
「それじゃぁスタート!!!」
体育館に叫び声と足音がこだまする。私はアンナ、優愛、理愛を連れて体育倉庫に身を隠した。鍵を閉めると3人の方を向く。
「これでひとまずは安心」
そう言う私に理愛は疑いの目を向けた。
「あんたって本当に意味分かんないね。一人になるまで終わらないってのに何であたしらをかばうの?」
私は遠くを見るような目で答える。
「知らない。体が勝手に動いたの。それに私も疲れ果ててるから今は殺しはしないよ」
「今は、なんだね」
優愛も口を開いた。
「ねぇ、何でこんなことになったんだろう...皆死んでいって。私は、何が何だか全く分からない」
消えそうなくらい小さい声でアンナが言う。
「私はこれ嫌いじゃない」
「はぁ!?」
私につかみかかる理愛。
「やめなよ、お姉ちゃん!!」
それを必死になだめる優愛。落ち着いた理愛を横目に優愛は言った。
「嫌いじゃない....って何で?」
「人間は2種類に分けられる。生きたくても生きられない人間と。死にたくても死ねない人間。私は死にたくても死ねない人間だから...かな」
「死にたい...って?さっきは真っ先に殺してたのに...」
か細い声を必死に絞り出す優愛。
「無意味だ。さっきの殺人に意味はない」
「人があんなに死んだんだよ!?可哀想とか思わないの!?」
アンナが言う。
「じゃあさなんで生きてるの?私は分かる。生存願望があったんでしょ。人は誰だって自分優先だから」
「........」
黙ってしまう3人。
私は扉まで歩くと言った。
「自殺もいいんだったよね」
「待って!」
私の小さな手をつかむアンナ。
その目からは涙が溢れていた。
......つづく......
- Re: 教室戦争 ( No.4 )
- 日時: 2017/02/26 19:49
- 名前: 堕天使 (ID: woIwgEBx)
「どうしてアンナが泣くの?」
首を傾げる私にアンナは言う。
「もう、誰も失いたくない。死なせたくない」
私は不思議だった。だって敵が減るのに...
「でもアンナの生き残る確率だって」
「私はいいの!今まで友達がどんどん死んだんだよ。でも何も出来なかった。だからこれくらいはさせてよ!」
アンナの目からは止めどなく涙が溢れる。
「目からそんなにいっぱいの涙が流れるの初めて見た...」
「え?」
「ごめん。でも私は行かなきゃいけない」
「何で?」
「私は、死にたくても死ねない人間だから」
「どうして死にたいの...?」
「生きている意味が分からないからかな。形だけの愛情をもらって、形だけの友情を作り上げて、形だけの自分を演じた。そんなのもう嫌なの」
「でも絶対死なせない!!生きている意味がないなら作ればいい。挫けそうなら頼ればいい。一人じゃないから!」
「何で私のためにそんなことするの?」
そこに、理愛がわって入ってきた。
「分からないの?友達だからだよ。どんな理由であってもあたしらを守ってくれたでしょ?」
「友達...?」
「そう友達!!」
優愛が優しげな笑みを向けた。理愛が言った。
「だから全員で助かろ!!あ!そう言えば...校庭に爆弾があった気が...」
「爆弾!?」
3人の声が揃う。
「うん。テロ対策用の。暗証番号も知ってるから上手くいけば...」
「さっすがお姉ちゃん!!!」
そこに、不安そうなアンナが言った。
「でもまだ校舎内に誰か残ってたり.....」
そこに耳障りな『あの声』が聞こえた。
「校舎内には残り4人がのこってるよぉ!」
「喜べないことだけど丁度いいかな」
優愛が言った。
「じゃあ、行くぞ!」
そう言って理愛は扉を開けた。
全速力で走り出す。
建物と建物の間を抜け走る。走る。走る。
「あった!爆弾!」
暗証番号を打ち込む理愛。
「校門まで走れ−!!!」
ドガーン
真後ろで爆発音が聞こえた。私達は危機一髪助かった。
「やった!!!」
アンナが抱きついた。爆発音に気付いたのか住民が集まってきた。
「どうしたんだ!?血だらけじゃないか!?」
私達は救急車と警察を呼んでもらった。
警察には事細かに全て話した。
警察はこの事件をテロとし、そのおかげで私達は無罪ということになった。
あいつらの正体は分からずじまい。
私達は転校をした。
それから大学へ行って.....
失われた人は帰ってこない。
でも私は大切なものを手に入れた。心からの友達。
十年後も
二十年後も
これは変わらない。
生きる意味はしっかり見つかりました。
.....終わり......
堕天使です!
第一作目終わりました!
最後は少しでもハッピーエンドにしたかったのでこうなりました!!!
今後も宜しくお願いします!
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