ダーク・ファンタジー小説

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不思議な力と宿命
日時: 2019/06/19 00:29
名前: ナリオン (ID: 7SQO2dT8)

こんにちは!ナリオンです!
更新速度が遅いと思われますが、暖かい目でご覧ください。

Re: 不思議な力と宿命 ( No.1 )
日時: 2019/06/19 00:30
名前: ナリオン (ID: 7SQO2dT8)

足音が森中にこだまし、響き渡る。草木の生い茂る道を私達は走っていた。
「あいつら、まいたかな」
私は肩で息をしながら後ろを振り返って言う。
「ちょっと待って」
弟が急に立ち止まり、耳に手を当てた。聴力の高い弟は、こういうときに役に立つ。
私が弟の近くに行こうと歩き出したとたん、弟は口の前に人差し指をやった。
音をたてるなと言いたいのだろう。
追っ手はどこからやって来るか、分からない。私達よりも数段上手のはずだ。今、木の上から
追っ手が降りてきても不思議ではない。
「うん、何も音は聞こえない」
弟のその人ことで、私は肩を撫で下ろした。まだ警戒を解くことはできないが、今のところは大丈夫だろう。
「良かった……」
「今のところは、な」
弟の様子もほっとしているようだった。それから膝に手をつき、私の方へ視線を移した。
「これからどうする」
どうすると聞かれても、何も答えることが出来ない。私には、何のプランもないのだ。
「どうしよう」
私がそう言うと、弟は首を振りながら不機嫌な顔をしてみせた。
「どうしようって……。まあしょうがないか」
あいつらから逃げることで手一杯だった私達には、逃げ切れた後の予定はなかった。
逃げそびれた後の計画なら沢山練ってあったが。
「とにかく、何か食べ物を探さなきゃ。あと食べ物と寝床と火も確保しないと」
私は必要なことを口に出して言ってみたが、やることが多い。そもそもこんなところにろくな食べ物なんて
あるのか。
「そんなことより、寝たいな……」
弟は疲れきった顔でそう言い、雑草の上に大の字に寝転んだ。
「まだ寝ちゃダメだよ、追っ手が来るかも」
「でも休まないと、追っ手が来ても逃げられない」
弟は不敵な笑みを浮かべ、目をつむった。
「もういいよ、じゃあ私はまだ動けるから木の実でも集めてくるね」
「よろしく……」
私はふっとため息をつき、木の実などの食べ物を探しに出掛けた。

Re: 不思議な力と宿命 ( No.2 )
日時: 2019/07/16 00:12
名前: ナリオン (ID: 7SQO2dT8)

ほの暗い草木の中を歩くのは大変だが、食べ物を探すためだ、と自分に言い聞かせて重い足を動かしていく。これもあの頃の環境に比べたら、全然甘い。
「こんなところにあるのかな」
私達は、あの村から一歩も出たことがない。出ようものなら取っ捕まえられて拷問が待ち構えている。私の知り合いにも、外を夢見て旅立っていった人がいたが、その人は亡くなってしまったらしい。それもあの村のおかしな連中が拷問したからに違いない。
考えるだけでも体が寒くなってきそうだと私は思った。あんな奴らのことなど、早く忘れてしまいたい。
そんなことを考えていると、目の前に大きな果実が落ちていることに気付いた。桃に似ているが、この果物の方が一回り大きい。
「こんなとこに大きい果物が落ちているなんて……」
この薄気味悪い雑木林には馴染まないような果物。
……もしかしたら、これはあいつらが仕掛けたものか……?
だが、さっき弟に音を聴いてもらったばかりだ。敵がいるはずない。いるわけがない。もしいるなら今頃私達は拘束されている。
「とにかく、他に食べ物がありそうも無いし、弟が心配だから戻ろう」
私はこの不思議な果物を拾い、元来た道を戻っていこうと踵を返した。


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