ダーク・ファンタジー小説
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- ブラッド・アンデッド~壊れた少女達~ P.1
- 日時: 2017/03/23 01:37
- 名前: 黒鉄アリス*_zo (ID: 2iNdd8Sa)
- 参照: http://Kurogane.tinomouja.frll
フラフラと、何処かも分からない道を歩いている。
昔は賑やかだったであろう、多くの廃ビルを覆うように降り積もる雪。
積もった雪は足跡一つ見当たらない程、ソコは人の気配がない。
まるで、この世界に『私』一人が残されてしまったかのように。
某県某都市、ここは、日本の中でも最も賑やかで、彩り豊かな都市だった。
朝も昼も夜も、時間なんてお構いなしに騒ぎ立てる人々で一杯で、辺りを見渡せば何でもあった。
そういう場所だった筈だ。
どいういう前兆でそうなったか何て知らない。だけど、ソレは起きたのだった。
都市は、何時も通りに賑やかだった。賑やかと言うより、煩かった。私は普段通りに、そんな騒がしい町をただ歩いていた。
歩いている中で、客引きやナンパをされたが、全てスルーして通った。
しばらく歩いて喉が渇き近くのコンビニに入ろうとした。
その時だった…その時、何かが空から降ってきたんだ。形もソレが何であるか何てわかりはしなかった。
でも、『ソレ』はこの賑やかだった都市に降り注いだ。
一瞬だった。ソレはこの都市をあっという間に地獄へと変えたのだ。
先程までコンビニの前で電話をしていた男性は地面に倒れ、血を流している。
周りの人達も同じように瓦礫やガラスなどが体のアチコチを突き刺し、潰され、大量の血を流して倒れている。
「ぁ、あぁっ……イヤァアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ソレは、地獄の始まりだ、と沸々と沸き上がる恐怖と絶望に発狂し、私は感じていた。
その後、正気に戻った私は、急いで家へと走った。
辺りの光景なんて気にせず、ただひたすらに、家を目的に走った。
何度か『何か柔らかいもの』につまずいて転びそうになったが、そんなの気にも止めずに走った。
しばらく走って、家の場所までたどり着いた。家は今日出たときよりボロくなっていたが何とか形は残っていた。
私は、家に入った。
家の中はグチャグチャで、ガラスや一寸した瓦礫で、汚くなっていた。
私は母の名前を呼んだ。
靴を脱がず、そのまま家の中へと入っていく。リビングに入って、キッチンに入った。ソコにはうずくまる母の影があった。
私は母に駆け寄り何度か肩を揺さぶった。揺さぶった拍子に、母の体勢が崩れ床に倒れる。
「ッ……ヒッ!?」
私は短い悲鳴を上げて後退りをしてしまった。母の顔には大量のガラス片がささり原形を留めず血塗れで、その体を赤く染めている。
「……ハッ……アハ…あはははははははははははははははっ!!!??!?」
多分その時、私は頭が可笑しくなったんだと思う。
ずっと、ずっと意味もなく、ただ不気味に笑い続けていた。
意識も定かではないなかで、私はただ歩いていた。
途中、雪が降り始めていたけれど、そんなことにもお構いなしに、ずっとズッと歩いていた。
長い時間歩いていたと思う。雪は積もりソコラヘンに転がっている死体を白く覆っている。
積もった雪には足跡一つ見当たらない。有るのは自分の足跡のみ。
私は、不意に今まで感じても居なかった孤独さの辛さが、心を蝕み痛みを放ったのを感じた。
「何で…何でこんなことになったの…いや、嫌だッ…一人はイヤァ……誰か…誰か居ないの…ッ…助けて、よぉ…」
涙を流し悲痛な声が、そこかしこで谺し、私はソコにへたりこむ。
「誰か…居るの…?」
その時、声が聞こえた。自分より少し幼い声が耳に届く。
「!?」
私は涙を拭い、辺りを見渡した。すると、右側にあった建物の影から、一人の少女が出て来る。
少女は此方を虚ろな瞳で見つめている。兎に角、誰かと一緒に居たかった私はその少女に駆け寄り話かけた。
「貴女は、一人なの?お名前は?」
少女は怯えた様子で、
「堀坂結…一人に…なっちゃった…お姉さんの名前は?」
「私は、工藤楓だよ。」
「楓さんも…一人なの?」
「……うん…」
楓は、あの母の姿を思いだし小さく肩を震わせた。
「……大丈夫?」
まだ幼さの残るその顔が楓の顔を除き、疲れきった顔でわあるが、此方を心配そうに見つめている。
「大丈夫…大丈夫だよ…」
とソレは少女に言うようで、自分に言い聞かせるようにして呟いた。
