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ダーク・ファンタジー小説
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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- Ferris wheel
- 日時: 2017/03/27 20:38
- 名前: 詩。 (ID: 0a987INq)
「 さあ、一緒に堕ちよう 」
「 手を繋いで、ほら 」
「 じゃあ、またね 」
これは、ひとりの少女のちいさな物語。
すべては、あの満月の日からはじまったんだ。
- Re: Ferris wheel ( No.1 )
- 日時: 2017/03/27 21:06
- 名前: 詩。 (ID: 0a987INq)
(第一章)満月の夜のこと。
大きな丸い月が、紺色の空にぶら下がっていた。
屋敷の屋根裏から、身を乗り出す少女が、ひとり。
————彼女の名は、ライラ。
この街の大きな不動産、ジュードゥ不動産の使用人だ。
いつも家事をこなし、家の者の世話まで行っている。
ここは、森にただ一軒そびえる屋敷。
栄える都市にある不動産からは、かなり距離がある。
ライラは、ここに十五年間住み込んでいる。
そしてこの屋敷には、あと二人、人物がいる。
不動産の主、すなわち主人のノージ、四十五歳。
いつも家を空け、会社に籠りきりだ。
この屋敷に帰ってくるのは、およそ月に一度。
そしてノージの妻、サリー、三十歳。
社長の男に飛びついて結婚した、哀れな女だ。
ノージは利益の半分をサリーに渡している。
この男は、妻をまだ女として見ている。
夫婦なんていう意識はなく、ただ溺愛しているのだ。
確かにこの女は、顔もスタイルも良い。
だが金にしか目がなく、旦那はただの足。
サリーはノージの金で悠々自適に毎日を送っている。
ライラは、この夫婦を憎んでいる。
自分をここに「閉じ込めて」いる、このふたりを。
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