ダーク・ファンタジー小説
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- プロの仕事
- 日時: 2017/04/03 14:30
- 名前: 御祓 (ID: PQ6W.j/M)
プルルルル、と言う無機質な音声と共に、画面に『莉亜』の文字が表示された。
「あらら?めっずらし〜」
棒付きキャンディを舐めながらオレは、通話ボタンを押す。
「もしもし?」
「ワンコールで出ろ、馬鹿。」
愛想の無い声で話す彼女は、不機嫌そうである。
「それで?悪いけど知斗君は莉亜ちゃんのあつーいlove callには答えられ無いよ?」
「ふざけるな、本来私も貴様には電話等掛けたく無い。」
カ タン、とオレの座って居る椅子が音を立てる。
実はな、と前置きをして話す彼女はきっと、受話器の向こうでも相変わらず目付きが悪いままなのだろう。
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家にセールスの電話が掛かって来た。無機質な部屋に響く着信音は案外大きく聞こえる。
受話器の向こうで相手はまくしたてたままだ。
『ですから、全ては当社が負担しますので、後味の悪さ等の問題は全く御座いません!』
先程から繰り返されるセールストークに、私は苛立って居た。
「いえ、人を呪うとか考えられ無いので。」
此方も同じ断り文句を繰り返してやる。
すると相手は、少し手法を変えて来た。
「須織田様。」
声をひそめる様に名前を呼ばれた。
「今契約して頂ければ、貴方様の身を守る護符をプレゼント致します。」
わざとらしくヒソ ヒ ソと話されるのに虫酸が走る。
「実は私の部下には、須織田様の御友人が居るのです。」
私に友達等居ない。恐らく嘘であろう。
「その為本来非売品の此方の護符を差し上げようと。」
何が差し上げようだ。貴様の頭には私から金を絞り取る事しか考えて無いんだろう?
「私も、部下の御友人が呪いで苦しむのは見たく無いですからね。」
勿体を付けて話す相手は、受話器の向こうでうんうんと頷く。
良いだろう。乗ってやろうじゃ無いか。
「契約します。」
調子良く礼を言う奴の下卑た笑いが目に浮かぶ。
「我々は死や呪いのプロですからね、安心して任せて下さい!」
「はい」
奴は水を得た魚とばかりに料金の支払い方法等を話し始めたが、私の耳には届かなかった。
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「イヤイヤイヤ、それどう考えても悪徳商法だよね!?アリアちゃん何でそんなの契約しちゃったの!?」
舐めて居るキャンディが棒付きで無かったら詰まらせて居る所だ。
「待て、面白いと思わ無いか。」
動揺のあまり本名で呼んだ事は流して貰えたらしい。何故か上機嫌の彼女は告げる。
『死神の』私達に、『死や呪いのプロ』等と。
彼女は抑揚の無い声で続けた。
「久し振りに新しいタイプの人間を見た。下等な種族にしては、随分足掻くじゃ無いか。面白い。」
彼女が特別に非情なのでは無い。死神と言う生き物がそうなのだろう。
小さい頃から、面白い物を見付けた時にオレに報告して来る癖は変わら無い。思わず口元が緩んだ。
さて、折角彼女が提供してくれた獲物だ。此でまたウチ......シャルテット家が裕福になる。彼女が昔の事に対して負い目を感じているのは確かで、そのせいか何時も利益になりそうなモノは此方に連絡して来る。わざわざそんな事し無くて良いと過去に伝えた時は、烈火の如く怒られたっけ。
溶けて甘ったるいキャンディを舐め掛けのまま捨てる。
さぁ、『死や呪いのプロ』の仕事を見せてやろうじゃ無いか。
- Re: 彼女の報告 ( No.1 )
- 日時: 2017/03/29 19:10
- 名前: 御祓 (ID: bkADf4XB)
非常に拙い短編でしたが、読んで下さり有難う御座いました。
今回出て来たオリキャラはコメディ・ライトの掲示板でも登場させるつもりです。
完成したら書き込みに来ますので、宜しくお願い致します。
- Re: プロの仕事 ( No.2 )
- 日時: 2017/03/31 16:53
- 名前: 御祓 (ID: bkADf4XB)
一応、ですがキャラ紹介を
【アリア・エオスターラ】
死神。エオスターラ家と言う名門貴族の娘。腹違いの弟が居る。人間の世界では『羅須田 莉亜』(らすた りあ)と言う名義を使用。
【ケイ・シャルテット】
死神。シャルテット家と言うエオスターラ家の分家の息子。人間の世界では、『池谷 知斗』(いけや しると)と言う名義を使用。
- Re: プロの仕事 ( No.3 )
- 日時: 2017/04/03 14:44
- 名前: 御祓 (ID: PQ6W.j/M)
【後日談】
『8時になりました。ニュースをお伝えします。』
地味なスーツ姿のキャスターを見ながら私は考える。
ケイは彼奴等を消しただろうか。自分から連絡を取るのが癪で、意地を張って居る私に知る権利は無いけれど。
『××コーポレーションの社員、社長が喉をかき切られた状態で死んでいるのが今朝、見付かりました。』
どうやらケイは始末した様だ。このニュースを聞く限り、猟奇殺人のプロをそそのかしたのだろう。
彼はもう、昔の約束を忘れてしまっただろうか。
『僕ね、大きくなったら.........
××××××××』
死神何て嫌だと、他人の人生を終わらせる何て嫌だと、泣きじゃくった優しい君はもう居ない。
- Re: プロの仕事 ( No.4 )
- 日時: 2017/04/04 13:10
- 名前: 尾中水汰 (ID: 2KAtl1AZ)
こんにちは〜(=゜ω゜)ノ
この、尾中水汰ですw
流石。文章力に長けている!w
次回楽しみにしてます(^^)
- Re: プロの仕事 ( No.5 )
- 日時: 2017/04/04 16:54
- 名前: 御祓 (ID: bkADf4XB)
尾中水汰サン、コメント有難う御座います。
此方は短編ですので、番外編の方をコメディ・ライトの方に書かせて頂こうと思います。
機会があったら宜しくお願い致します。
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