ダーク・ファンタジー小説

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一人目
日時: 2017/06/14 17:44
名前: 桐谷 (ID: sRcORO2Q)


はじめましての方ははじめまして。桐谷です。資料整理をしていたら、短編でできそうなネタがあったので、ここに供養させていただきます。好評だったら二人目も………目指せ!100回覧!

 二次創作(紙ほか)では、「ナンバカ。チートキャラが来た!」もやっています。宜しければそちらも是非。



始めるよ。

Re: 一人目 ( No.1 )
日時: 2017/05/13 15:12
名前: 桐谷 (ID: caCkurzS)




 殆ど人通りがない深夜。

 この町外れに一際古そうな一軒家が佇んでいた。周りの家と比べると、其ほど大きくなく、二階建てのこじんまりとしている家。そこに一つだけ明かりの付いている部屋があった。窓から見える人の影は、慌ただしく動いている。啜り泣きが微かに聞こえてくる。
 コツ。
 革靴か、乾いた靴音があの家の前で止まった。あの家の者では無さそうだ。暗闇の中でも一際目を引く金髪を持った女性だった。
 私が見ても溜め息を吐くほど美しい彼女は、鍵が掛かっている筈の扉に手をかけた。
 すんなりと開いてしまった扉を背に、彼女は家の中に入っていった。様子が気になった私は、少し窓から覗いて見ることにした。
 成る程、納得した。
 彼女は"死神"であった。明かりが付いている部屋には、年老いた男がベットに横たわっている。横には男の娘、息子夫婦であろう者達が啜り泣いている。
 まだ辛うじて息をしている男は、微かに笑った。
 彼女が入ってきた。それと同時に男以外の者達は左右にずれ、道を空けた。
 もともと用意してあった椅子に腰を下ろすと娘と息子の妻は再び涙を流した。
「〜〜〜」
 彼女が何かを言い放つと、男は頷き涙を流した。




 彼女は今日も家を訪ねる。

 彼女は今日も涙を流す。

 ヒトの形を成す彼女は 死神であった。

 彼女は哀れであった。


 明かりが消え暫くすると、彼女が出てきた。私は影に身を隠し、様子を見た。
 すると、彼女は何かを呟いた。
「もう、涙も枯れた。自分の運命を恨むのも飽きた。………何故に神は私にこのような運命を与えたのだろうか……………私は最早ヒトではない」

 上を向き、涙も流さず言葉を詰まらせた彼女は、最後にこう言った。
「ッ、人よりも弱い。化け物だっ」




END

Re: 一人目 ( No.2 )
日時: 2017/06/03 11:51
名前: 桐谷 (ID: JEeSibFs)





 次回予告




 この世全てに絶望したヒトはいったいどうなるのでしょうか。
 全てに絶望した少女は、ある教会にたどり着いた。





  物乞いで覚えた笑みではなく、心からの笑顔で少女はわらった。



  6月11日 更新予定

Re: 二人目 ( No.3 )
日時: 2017/06/11 16:09
名前: 桐谷 (ID: Ub192mfS)










 全てに絶望したヒトはどうなるのでしょう。



 小さな町、その中心には大きな教会が建っている。この日は雪が降っており、町の者は殆ど出歩いて居ない。そんな中、一人裸足で歩く少女がいた。
 滑り込むように教会の前にたどり着いた。物乞いだろうか。この寒い中、ローブ一枚しか着ていない様に見える。
 私は少し顔をしかめた。少女があまりにも醜い姿だったから。哀れんだのだ。

「神、様」

 一瞬私を呼んだのかと驚いたが、それがあの教会に向かって呼んだのだと分かった。

「神様。もう私は生きているのが辛い。希望の持てない私は一体これからどうすれば良いのですか」

 吐き捨てる様に言い終わると、少女は隈で黒くなった目を閉じた。
 すると教会の神が少女の前に現れた。
 私は目を疑った。あの神はクロノスではないか。

「では、お前に力を授けよう」

 まさか……止めなければ。

「まて………っ」

 少女は竜巻の中で笑っていた。それが私には狂気を孕んだ笑みに見えた。

「クロノス。お前…何故」

「これから大きな戦争が始まるだろう。彼女はその為に必要なのです」

 クロノスは嗤った。
 空には、羽を生やした少女が軽々と飛んでいる。物乞いで覚えた笑みではなく、心からの笑顔で少女は笑った。




END

Re: 一人目 ( No.4 )
日時: 2017/09/16 08:53
名前: 桐谷 (ID: Bl6Sxw0v)




次回予告

 お久しぶりです。覚えていらっしゃいますか?
 久々に更新しますね。

 さて、次回はついに『私』が誰なのか分かる時が……

 『私』は誰なのか。善か悪か。

 人ならざるものの苦しみ。それは例え神でも味わうものだろう。

 そんな話にできたらなと思います。

 それでは。


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