ダーク・ファンタジー小説

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クローズド〜出られなければ、死ぬだけ〜
日時: 2017/06/06 17:11
名前: 病みボーイ (ID: vyKJVQf5)

 この世界にはいろいろな人間がいる、真面目な人や不真面目な人。偉い人や低い地位の人。優しい人や厳しい人。すっごく良い人やめちゃくちゃ悪意に満ちている人。でも・・・、僕は思う。

 例えば、そんな人間達だって、結局は全員同じなんだと。何が同じかっていうのはうまく言い表せないけど、漠然とした何かが”同じ”なんだ。誰かが特別で、誰かが特別じゃなくて、なんてことは無いんだと。

 だから、目が覚めた僕が見知らぬ場所にいたっていうことも、そこに知らない人が数人いたっていうことも、そこから出られなかったら死ぬって事も、そこから出たら十億円が貰えるって言うことに対しても、少しの疑問も抱かなかった。

 別に、特別なことじゃない。僕にとって誘拐されたことも、そこにいる知らない人間も、死も、生きるも、十億円も、なにもかも、日常の一部分に映る花やビルや公園とか、そういった類の景色としてしか感じられない。

 「やっと目が覚めたか」

 彼が誰なのかは分からないけど、多分リーダー的な存在なのだろう。こういう場所では誰かまとめ役が必要で、それが彼だっていう、ただそれだけのことだ。

 「君、名前は?」

 まぁ当然ながら自己紹介をするのは普通の流れだろう。なんとなく気づいていたけど彼等も条件や状況は僕と同じなんだ。

 「ヒカル」

 「ヒカル君か。俺は白井準。んで・・・」

 そういうと白井は他の人達の自己紹介をしだした。光の反射で金髪に見える実は茶髪の彼女は明日香、体育座りをして膝に顔をうずめている彼は幸一、この部屋に置いてあった書籍を引っ張り出して視線を微動だにしない彼女は雪、それからそれからあの刺青の入ったヤクザみたいな人は本当にヤクザで名前はジン。それに頭の良さそうな彼はサラリーマンで会社に電話が繋がらない事が死ぬよりも怖いらしい。

 「彼がサラリーマンの誠一さんだ」

 こうして自己紹介が終わり、僕は頭の中である程度顔と名前を一致させようと試みる。

 あの人が明日香、あの陰キャが幸一、で陰キャ二号が雪、んでヤーさんがジンで社畜の誠一。でまとめ役の準君、と。

 僕を合わせて合計7人か。その7人で協力してここから出られなきゃ死ぬ・・・と。まったく、随分とくだらない事にお金を使う人がいるもんだなぁ、と感心しつつ、でも人の趣味にイチャモンをつけるのはあまりよろしくないという気持ちも働かないわけではない。

 ま、死んだら死んだでそういう運命だったってだけだし、付き合ってやるか。こうして、実にくっだらない金持ちの娯楽を兼ねた脱出ゲームが始まった。格好つけてアナウンスでは「エスケープ・ゲーム」とか言ってるけどぶっちゃけ脱出ゲームっていうわけだし、なんかセンスが感じられない。

 そんな事を思ってても仕方が無いのでとりあえず僕は部屋を適当に散策してみる。この部屋の中にある6本の鍵を見つけ逃げ出さなきゃならない。一本足りないけど、それは多分一人絶対に死ぬってだけだろうし、特に問題は無い。

 「はぁ、疲れた」

 普段から運動なんてしないせいか、探し物をするってだけでも疲れる。なんせこの部屋は何も無いくせに小学校の体育館くらいの広さはあるのだ。

 あ、でも何も無いとは言うけれど、本と鍵はあるのか・・・。

 他の人も探してるけど、やっぱり見つからないらしい。散策の中で見つけたペンと紙で僕は人の名前と特徴、それからこのゲームのルールをまとめておく事にした。

 

Re: クローズド〜出られなければ、死ぬだけ〜 ( No.1 )
日時: 2017/06/06 17:06
名前: 病みボーイ (ID: vyKJVQf5)

 というわけでまずは詳しい人物紹介からはじめよう。

 まず僕が新染光(アラソメ ヒカル)

 ごく普通の高校に通うごく普通の高校生。これといった特技なんてものは無いが運動は苦手だ。身長は165cmで体重が53kg、それから年齢は17歳だ。ね?普通でしょ?

 で、次。白井準(シライ ジュン)

 まとめ役で行動力があって顔も格好良い。年齢は20でどうしてもやりたい事があるって理由で今はフリーター。

 で髪を茶色に染めたお洒落ガールの桜井明日香(サクライ アスカ)25歳キャバ嬢、貯金は1300万で腕時計はロレックス。まぁ男に寄生する虫みたいな女だね。

 んで陰キャ一号の真田幸一(サナダ コウイチ)

 どうやら死にたくないらしい。でも7分の6の確立で助かるんだし、まぁビビリって感じ。ちなみにめっちゃイケメン。家康にとっての忠勝、みたいな感じで、持ってるものは良いのに生かせないタイプ。要するにクズ。23歳。

 で陰キャ二号の大塚雪(オオツカ ユキ)

 本が死ぬほど好きで、本を読みながらなら死んでもいいって言ってるクセに鍵を探してるよく分からない人。年齢は22歳。

 でヤクザの鈴木仁(スズキ ジン)

 ここにいるメンバーの中では一番の年寄りで34歳。めっちゃ怖い。すぐにらみつけてくるし口調も荒いし、イライラしたら壁なぐるし。まぁ生存価値なしだね。

 で社蓄の陣内誠一(ジンナイ セイイチ)

 社長に怒られる〜とか言ってるけど生き残れること前提なのが怖い。社蓄って色々な意味で何かがずれてるなぁ、という事を痛感した。ちなみに年齢は31歳。

 メンバーはこんな感じだね。で、ゲームのルール。

 このだだっ広い部屋から一週間以内に出れなかったら死ぬ、というより、一応罠もあるみたいで、その罠に掛かっても死ぬ。一週間の間少しずつ天井が降りてくるらしく、一週間経って出られなかったら圧死。その分メリットは大きく、脱出できた場合十億円が貰え、無事に元々いた場所に返してもらえる。本当かどうかは知らない。

 暴力行為はNGで発覚した場合も体内に埋め込まれた爆弾が爆発して死ぬらしい。主催者側が暴力よりたちの悪いことをしているにもかかわらず暴力がNGという矛盾。いかがなものだろうか。

 まぁ、こんな感じ。で、鍵は一本足りないので確実に誰かが死ぬ。
 

 


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