ダーク・ファンタジー小説
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- 42時間
- 日時: 2017/06/06 18:22
- 名前: なぬ (ID: x84wZqnr)
登場人物紹介
夢桜子
ある、夏のことだった。
目が覚めると、そこは見知らぬ屋敷の中だった。
桜子は辺りを見渡した。
人はいなく、真っ暗だった。
『やだ、気味悪い。』
桜子は半泣き状態だった。
ポケットを探ったが、スマホはなくなっていた。
だが、左のポケットに、紙が入っていた。
42時間
そう書かれていた。
(時限爆弾?それとも私を殺すまでの時間?)
42は、「死に」と読める。
(やっぱり、私を殺す気なのね…。)
そう思って、桜子は立ち上がろうとした。
だが、手に鎖が繋がれていて、動けなかった。
『なによこれ……』
桜子は鎖を外そうとした。
その時、近くで物音がした。
ドン
(なに……?誰かいるの?)
桜子は向こうを見た。
立っていたのは、顔がグチャグチャな血だらけの男だった。
(いや……!来ないで……!)
もう死ぬしかないと、目をつぶったその時だった。
「し……に……」
男は、そう言って桜子に近づいた。
「しに……た…い……か……?」
桜子にははっきり聞こえた。
『嫌よ!絶対に死にたくない!』
それを聞いて、男は立ち止まった。
そして、ニヤリと笑った。
「ジャアアト、42ジカンイキテテイイヨ……」
続く
- Re: 42時間 ( No.1 )
- 日時: 2017/06/07 16:36
- 名前: なぬ (ID: x84wZqnr)
『42時間…?』
桜子は少し怒ったように男に言い返した。
『あのね、私は歳をとって死ぬまで生きるから!42時間しか生きないなんて絶対に嫌だから。』
すると、男は桜子の鎖を外し、耳元で「やってごらん」と言って、去って行った。
(フン、絶対出てってやる。そして、私の家に帰るんだ。)
しばらく廊下を歩いていると、謎の鍵を見つけた。
『なあにこれ』
鍵の真ん中には、他の国の文字が書いてあった。
『どこの国の文字?読めないんだけど』
桜子は鍵を持って屋敷の玄関まで走った。そして、玄関の鍵穴にさしこんだ。だが、なにも起こらず、鍵をねじってもねじってもなにも起こらなかった。桜子は腕時計を見た。ここに来た時間が2時で、今は
ちょうど3時。もう一時間も経ってしまった。
『くっ……』
桜子はもう限界だった。朝も昼もなにも食べていないからだ。
喉も乾いている。このままでは、屋敷の中の暑さにやられて、倒れてしまう。
(水…、水が欲しい。)
ちょうどその時、向こうから足音がした。
(またあの男…?)
そうではなかった。立っていたのは、5歳くらいの女の子だった。
「お姉ちゃんも、この「42時間監禁屋敷」に監禁されてるんだね」
女の子は、笑顔で桜子に近づいた。
「お姉ちゃん、ここに来てどれぐらい経つ?私はもう39時間経っちゃった。あと5時間でこの苦しい屋敷から解放されるよ…。嬉しいな。」
『私はここに来てまだ1時間しか経ってないよ。ねえ、私もあと40時間したらここを出られるの?』
女の子はうなずいて、
「そうだよ!左腕に付いてるこのリングが、42時間経つと体全体を
覆って、窒息死させるようにできてるんだよ!」
桜子は左腕を見た。そして、女の子を見た。
『ここから出られないの!?』
女の子の笑顔が少し薄れた。
「うん…、残念だけど、強力な魔法が仕掛けられてるんだ。」
『魔法?』
と、その時、
ゴーーーン!!!
『!!』
「今のは、監禁されてる人が窒息した合図。」
『他にもいるの?』
「当たり前でしょ。悪魔は人を殺すことでお金をもらっているんだもの。」
桜子は希望をなくした。もう家族や友達に会えないのだ。
「あ、私は杏奈。お姉ちゃんは?」
『夢 桜子よ。』
杏奈は口を大きく開けて言った。
「もん〜!?へぇ〜っ、珍しい名字だね!」
四時間後…
桜子は、とうとう倒れてしまった。
「夢さん!?大丈夫!?いっ、今お水持ってくるね!!」
(良かった…、水が飲める…。)
五分後
「おまたせ!」
『おみずぅ〜…』
桜子はペットボトルに入った水を一気に飲み干した。
と、その時
『……んっ…ぶぅぅ』
桜子は口をおさえた。
『これ……、海水……?』
「うん。ここの人は海水しか飲んじゃいけないの。」
『ひ、ひどすぎる。』
そして、桜子は腕時計を見た。
『杏奈ちゃん、もうすぐ8時だよ…。』
杏奈は、くす、と笑って、
「もう時間か、早いなあ。私、5年しか生きてないのに、もう死ん
じゃうんだね。ほんと、人生なにが起こるかわからないや。
夢さん、短い間だったけど、話してくれてありがとう。あっちで、
また会おうね」
桜子は、うなずいて、杏奈に抱きついた。
『私も、杏奈ちゃんのところに行くから、待っててね。』
そして、杏奈のリングが体中を覆い尽くした。
「あああっ!!痛いよぉぉ!!もっと楽にしてぇぇぇ!!!」
『杏奈ちゃん大丈夫!?』
「ぎゃああああああああああああ」
体中を覆ったリングは、血で滲んだ。
『え、どういうこと?窒息死じゃないの?』
ゴーーーン!!!
鐘が鳴った。
続く
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