ダーク・ファンタジー小説
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- 天国にいけない子たち
- 日時: 2017/06/20 21:21
- 名前: な (ID: Mm9jHYga)
愛されたかった、俺も。
私も。
みんな1人。
- Re: 天国にいけない子たち ( No.1 )
- 日時: 2017/06/20 21:45
- 名前: な (ID: Mm9jHYga)
生まれたときにはお母さんがいなかった。お父さんも家に殆どいなくて「ほぼ1人暮し」を高校生になった今でも続けている。
私はそれを苦にしていない。むしろありがたい。反抗期を経験したことは一度もない、反抗する相手がいない。
恐らく親戚の間でも私を厄介者扱いされてる。
父親は月2回は家にいるようになった。何を今更。お金だけ私に渡しておけば言うことを聞くと思っているみたいね。
椎奈あおい、高校1年。
今日も学校が終わり、速やかに家に帰る。友達…自分にいるかわからない。とりあえず誰にも迷惑がかからない方法としては1人で帰路に着くのが一番。
「…」
今日はどっか店でも寄ってこうかな、お小遣いはあるし。
学校を出て約20分、アーケード街を抜けて大通に抜けた。
- Re: 天国にいけない子たち ( No.2 )
- 日時: 2017/06/20 22:07
- 名前: な (ID: Mm9jHYga)
午後6時を回ったので家に帰ろうと電車に乗る。帰宅ラッシュにぶち当たり、臭くてせまい車内で揺られること15分。
もう5月。だけど夜は肌寒い。セーターを着てきて良かった。今日は新しいコスメと枕カバーを購入したので珍しく気分がいい。
ぼーっとしながら近道のトンネルに差し掛かった。
チェーンが揺れる金属音と複数の足音がトンネルに響く。
「お嬢さん…」
私のことではないだろう。無視して歩きだす。
「無視すんの…か?」
私は足を止めてしまった。振り向くと、金髪、坊主、長髪の男性が薄気味悪い笑いを浮かべて私への距離を詰めてくる。鼻ピアス…タトゥー、首を鳴らしてこっちに向かってくる。
「俺らと遊ぼ」
不意に手首を掴まれ、振り払おうとすると地べたに突き飛ばされた。
「い…いや…だ!」
怖くないよ、怖くない。耳元で私に囁きながら髪を引っ張り肩を抑えられた。身動きが取れない、口が塞がれてる。私は恐怖と自分が何をされるのかわからないが、わかってしまう怖さに怯えていた。
「やだ…やだ…」
頬を叩かれ、激痛が走る。太ももに長髪の手の感触が広がり、片足を広げさせられた。あ…私、もうだめだ。
「何やってんだ!」
私に覆いかぶさっていた長髪が視界から消えた。長髪はトンネルの壁に寄りかかるように項垂れている。
「誰だ、お前?」
男は金髪の拳骨を掴んで腕をあらぬ方向に回し、坊主もいつの間にか口から血を流し倒れていた。男は私の手を握り、私を起こした。
「大丈夫ですか?」
「…はい」
トンネル内を薄暗くオレンジに照らすライトが、男の顔をハッキリさせた。黒い革ジャンに手袋、パンツ、全身真っ黒である。顔立ちは服装に似合わず色白でタレ目、えくぼがある。
「お家まで送り…あれ?…気を失ったか…」
- Re: 天国にいけない子たち ( No.3 )
- 日時: 2017/06/20 22:15
- 名前: な (ID: Mm9jHYga)
朝、起きると暖かいベッドの上だった。まっさらなシーツ、布団に囲まれ朝日が柔らかく感じた。
「起きましたか?」
私はぶかぶかのスウェットを着ていて、昨日のことがよく思い出せない。
「頬、大分腫れが引きましたね」
男は上半身を起こした私の隣に座り、私の頬に手を当てた。くすりと微笑む。昨晩のことを鮮明に思い出してしまった。私が襲われるのを助けてくれた人。あのまま助けが来なかったら、私はそんなことを考えてしまい布団に潜り込んだ。
「良ければ好きなだけ寝ていてください」
男は一言だけ言って部屋を後にした。
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