ダーク・ファンタジー小説

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【魔女狩り】
日時: 2017/06/25 04:03
名前: みかん±0 (ID: ngeMfYox)

いやぁ以前、当サイト、(ほぼ)同タイトル、同名義でつらつらと書いていたのです。みかん±0です、お世話になっています。


あんなぐだくだーっとしたものを読んでくださる方が割といて、嬉しかったです。
書くのはそっちのけで毎日数が増えるのを楽しみにしていました。終わらせてないのですが。

今回ちょっとばかしさらっとした風に、たくさん推し進めていきたいと思っております。目指せ完結。いざゆかん。

元ネタは知っての通り…。魔女裁判とかかっこいいですよ。がんがん調べたりしてみたのもいい思い出です。\\more weight!//何かのセリフが本編に出るかも知れませんね。

あの、前にあの場で言ってた縁だかなにかのお話、再び会えることができましたよ。
SNSってすごいですよ。私嬉しいです。

実はこれ三年ほど前からやりたいやりたいとタダをこねていたものです。

あっという間に受験生ですよはは。泣いてる。

閑話休題(って使ってみたい)

始まります。本当、さらっとなので読みやすいかと。(フラグ)
どうぞご贔屓に。

Re: 【魔女狩り】 ( No.1 )
日時: 2017/06/25 04:09
名前: みかん±0 (ID: ngeMfYox)



暗い、暗い浮遊感。

頭に響く聞きなれない声。

『さぁ、ゲームスタートだよ。君は本当のエンドに辿り着けるかな?No.1。』




魔女狩り




ガタンッ、と落下に伴う腰への鈍痛。
暗転した視界は万華鏡のように緑色がチカチカとしていて、すぐには立ち上がれそうにもない。

どうやら椅子から落ちたらしく、どうやら…部室で寝てしまっていたようだ。

「ちょっと!部長様が部室で居眠りなんてどういうつもり?!」

「部長も疲れているんですよ、立てますか?手を貸します。」

「まぁまぁ怒らないで、全員揃うまでくらい別にいいじゃないっすか!」

飛び交う声色は三つ。親愛なる部員達だ。

扉が開く音。

「ほーら、噂をすれば、ってやつっすね?!」

ドアの方を見ると幼馴染みと、顧問、そして小等部の少女。

「どうしたんだ、ノゾム。ぼけっとして。今日は大事な日なんだぞ?」

……………。

「…うん!そうだね。よーし、私もしゃきっとしなきゃ!」

両頬を軽く同時に叩き目を瞬かせる。

「えぇそうね!皆さん待ちに待った魔法部の遠足…ゲホン、舘探索の日ですからね!」

「わーい!コユキも楽しみーっ!」

部屋に夕日が差し込んでいる。外部の部活動が後片付けに勤しむ声が部室にも届いた。
夏はどうしてこう…日が長いのだろう。






さらっとしすぎじゃないかって?
のちのち、ゆっくり。覚えておいてくださいな。
これがいわゆる少女達の悲劇に繋がるのです。
どうぞお付き合い願いますよう…。

Re: 【魔女狩り】 ( No.2 )
日時: 2017/06/25 04:40
名前: みかん±0 (ID: ngeMfYox)

外は夜といえども蒸し暑かった。
盆地というわけでもなく、人里を離れた微妙な山奥に位置する学園。

宗教を重んじるその場所で、私は魔法部の部長として学業と共に身を置いている。

「…月が綺麗だな、ノゾム。」

「そうだね、マイ!星も綺麗だよ〜ほらみて、私あの星授業で習った気がするっ!」

無駄な街頭などは存在せず、夜空が本来の美しさを体現している。私達は箒に跨り夜の街を旋回していた。

魔法…非科学的で、それこそ不思議な力とぼんやりと認知されているであろうそれは、実際に存在する。
存在はするのだが確かに不思議な力だ。

私達は生まれつき、魔力というものを宿していた。
最初は今使っているような浮遊魔法、幻化魔法や現化魔法。
中学生くらいになると属性の魔法が開花する。
魔力は年齢を重ねるにつれ増え、その実術式的なものや魔法の原理は一切分からないのだ。

ぶっちゃけ、なんとなく、使えている。

諸君よ、文明はまだファンタジーにおいて初期段階であり、つまりまだ二足歩行すら出来ていない状態なのだ。


とりあえずその、空想の一歩を歩むべく私達は秘密裏にこの学園に全国から魔法部に集められていた。
部員5人、他2人。
学園によって確認されているのはたったのこれだけであった。

元から魔法の言い伝えがある国ではもっといるらしいが企業秘密だという。

で、ここに集められたからには国総出で力の研究となるわけだ。最初は解剖でもされるのではと怯えていたが、そうでもなかった。

庶民目線では申し分ない対応だったのだ。
たまに家族に会いたいとか、地元のみんなどうしてるかなとかは年相応に思うけれど、この部のみんなもいい子ばかりなのだ。
だいたいみんな三年ほどの付き合いで年も近く、顧問の先生は学園の理事長の子供でとても優しく、それでいて、

「あ、ありましたよ先輩方っ!お館です!!」

若々しい声が夜空に吸い込まれる。
少女の指を指す方向に目をやると大きな西洋風の館がそびえ建っていた。

Re: 【魔女狩り】 ( No.3 )
日時: 2017/08/09 13:48
名前: みかん±0 (ID: ngeMfYox)

箒の高度を下げゆっくりと地面に着地する。
鬱蒼とした森の中、聴覚だけは敏感に夏の音を捉えていた。葉の揺れるざわめき、セミの鳴き声、木々をすり抜け暖かさを運ぶ風。

振り返ると道しるべ用に各所に配置した幻化魔法の蝶が、ゆらゆらと主張を表していた。
【幻化魔法:月光蝶】
月光を源に輝く蝶を生み出す私の魔法。夜間のみの使用が可能で、月が満ちているほど光源の光は強くなる。今日は満月だ。

ん、とマイが私を小突いて現化魔法で表したランプを突き出す。
ありがとうと言いながら蝶を何匹かランプに閉じ込めた。ツムグの焔の方が合っている気もするけれど。
蝶が辺りを明るい光で照らした。

じっとりとした地面に女子なりの不快感を覚えながらそびえ建つそれに視線を移す。

日本の風情には似合わないと確信する装飾のあしらわれた洋館。場所が場所なだけであって、それこそ童話をなぞった魔女の住んでいるような建ち振る舞いである。

「いや〜、大きいっすねぇ。すごく。」

「そうですね…多分この大きさなら中庭もありそうですよ。」

口々に部員達が浮き足立つ様子をぶつけ合う。
そんな中でぱんぱん、と手拍子の音が響いて静寂が訪れる。

「皆さん、楽しみなのは分かりますけれどもう1度今回の目的をおさらいしてから入りましょうね!」

穏やかな微笑みを浮かべて顧問のは愛おしそうに蝶の光を見つめていた。……先生はいつみても美人だと思う。

「最近世界各国の学園が管轄する土地に正体不明の館が出現しています。他国の調査結果によると、魔女のみがその館に入れるそうよ。ちなみに害例は今まで無かったわ。」

「そこで今回は魔法研究の意味合いを込めて魔法部の私達が館を調査するわ。帰還はまぁ…日付が変わる前に出来るでしょうね。」

「どんな些細なことでもいいわよ、部屋の隅の埃の溜り具合でいつからあるのか…放置されているのか分かるし、魔女と限定される館なら魔法に関する本なんかもありそうね!」

他になにか聞きたいことはあるかしら、と辺りを見回す。

「先生、やっぱり怪我とか…危険な目にはあいませんよね?」

キイが腕を組みながら、先生を見上げて尋ねる。
「確証は出来ませんけれど…もしものときは私が助けるから、心配しないでね!」

力こぶを作るような動作の後に人差し指を一度回すと、先生の周りに属性魔法を巧みに扱い空中を遊泳する水で出来た魚が現れた。
【属性魔法:氷柱華】
蝶の光を受けて魚の光る鱗がバラバラに、花弁のように揺らめく。先生は「えいっ」と言ったかと思うと指を指揮棒の用に振り、鱗が氷柱となって地面に鋭く突き刺さった。
おっかない。

「はは…は、ありがとうございます、これで安心して調査できます……」

「ふふ、出来るだけまとまって行動してほしいけれど、せめて1人で行動してはいけませんからね!」

「…さて、じゃあ誰が扉を開ける?」

…!
「あ、私!私やりたいなぁ!」
すかさず手を挙げる。

「え〜!コユキも!コユキもやりたいです〜!!」
コユキちゃんがぴょんぴょんと飛び跳ねている、もしかして私大人気ない…??

マイはため息をつきながら、
「一緒にやればいいんじゃないか?ほら、ノゾム、コユキ。」

二人してやったぁ、と言いハイタッチをすると、威厳のある扉に手を添えてゆっくりと、力を込めて開いた。












広がる闇、
次の瞬間銃声が、二発聞こえた。

Re: 【魔女狩り】 ( No.4 )
日時: 2017/08/09 14:48
名前: みかん±0 (ID: ngeMfYox)

日常の生活では聞く機会のないその乾いた音。ドラマやゲームやら多少嗜んでいれば、聞き覚えがある、と言ってもいいのかもしれない。
その通り非日常を描くその音は、私たちをフィクションへと誘うようだった。

「きゃぁあああああッ!!」

誰かの悲鳴が響いて、非日常へと切り替わる。
混乱が渦巻いて現状が理解できない。
やけに冷静と思うような、第三者視点。
理解できないのも、やけに冷静なのも、現実から目を背けている子供っぽい行為なだけだった。

ドサッと無機物のような重みが落ちる音がする。
そして闇の中から谺響する先ほどの悲鳴とは全く違う…悲鳴のような甲高い笑い声。

「キャハッ!キャッハハハハハハッ!!」

玩具を思わせる機会じみた笑い声。

誰もが声を失っている。
銃声…?
じゃあ誰かが撃たれたの?

そんな当たり前とは言いづらい、その一連の流れに今更気付く。

悲鳴は銃声が聞こえたから?
違う、誰かが撃たれたから?



何か嫌な予感がした、目まぐるしく過ぎる瞬間が、時間が、音もせずに視界をぐらつかせる。

「あぁ…あ、……ッ」

ランプを不意に落としてしまった。今は壊れるその音も、遠く聞こえてくる。
奇しくもその中にいた私の蝶たちが、それ、に寄り添うように明かりを灯した。


広がる赤。ゆったりと、床を侵食するように光を反射して輝いている。

2つ、大きさの全く違うそれが這うように、苦しみに悶えていた。
身に纏う衣類は広がる赤に染まっていく。

「うぁ、あ…いた…い、いたいよ…」

「コ、コユキちゃん!!!」

姿を確認するとすぐさまそれに近づく。

幼い体躯の、ちょうど心臓の位置に深紅がぽっかりと覗いている。激しく呼吸を繰り返し、脈打つそれが段々とゆっくりになっていくのがすぐに分かった。

扉を一緒に開けたコユキちゃんの目から涙が途切れることなく流れている。

「か、回復魔法…!ミチちゃ…」

部員で唯一、属性の回復魔法が使える彼女ならコユキちゃんを治せるかもしれない、そんな一縷の願いが絶たれる感覚がする。

「先生!先生!!」

その少女はそれに縋るように、大粒の涙を流していた。

「…ふふ、大丈夫?トウ…ジマさん……ッ。怪我は無い、かしら?」

「せ、先生…いっぱい、血が出…て、」

「怪我は…ないみたいね、よかった…よかっ、たぁ…。」

心臓とまではいかないが確実に胸を貫通する何かがある。どうやら先生がミチちゃんを銃弾から庇ったらしい。

「…ッ、この血の量はやばいっすよ!コユキちゃん死んじゃうっす!!」

「おい!トウジマしっかりしろ!今はお前だけが頼りなんだ!!」

「ちょっと!部長もぼさっとしてないでよね!?現化魔法で包帯とか、とにかく血を止めなきゃ!!」

止まった時計が動くような、体感では長い時間だったが一瞬だったらしい。

「…う、うん!分かった!!」

手に力を込めて現化魔法を使おうとしたその時、庇われた少女が身震いする。

「だ、私…死ぬ…?死にたく、ないよ、でも…私、どう…すれば……」

あぁそっか、と、他人事のように思い出してしまう。彼女の回復魔法は、回復した相手のぶんの怪我を彼女が代わりに背負うのだ。
コユキちゃんが、先生が、瀕死の状態で、魔法を使うなら次に命の危険に晒されるのは他ならぬ彼女だった。

静寂が、啜り泣く声が、苦しみ悶える声が、暗闇に響く。


何が起こっているんだろう。


「ケタケタケタッ!タスカルワケネーーッダロッ!!アキラメロッッ!!」

先程聞こえた機械じみた笑い声が、私たちの無力さを嘲笑うように再び、聞こえてきた。


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