ダーク・ファンタジー小説

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さて、此処は
日時: 2017/06/27 23:40
名前: 南国くるり (ID: pD6zOaMa)

目が覚めるとそこは真っ暗だった。
徐々に目が慣れると、少女がいることに気がついた。白い服を着ている。丸いつり目で、唇は厚め。すらりとした足を組んで石のような物の上に座っていた。
「気がついた?此処がどこかは、分からないでしょ。分かるまで出られない仕組みになってるから、まあ頑張って。因みに私から無理矢理聞き出そうとしても無駄だから。私には触れないからさ。その代わり、私はヒントのようなものを出しつづける」
低めの声で言うと、彼女は更に続けた。
「まず、此処は此処であって此処でない。汚くて綺麗。極彩色でモノクロ。時々音がする。何かが壊れる音とか、何かが産まれる音とか。何かが産まれるということは、何かが壊れるってことだから、当たり前といえば当たり前だよね。ここまでで分かった?」
どうやら僕は、この少女のめちゃくちゃな言葉から、ここはどこかを考え出さなければならないらしい。僕が首を横に振ると、彼女は気だるそうにしつつも口を開いた。
「そう。じゃあ続けるね。此処はどこにでもあってどこにも無い。君の味方で、君の敵。敵になったら手が負えない。とんでもない幻想を創り出す怪物で、私達はそれに縋って生きている。此処には壁がある。壁の厚さや高さは持ち主によって違うけど、厚くて高いほど中は虚しいことは共通しているかも。これは大ヒントだよー。まだ分からない?なかなか鈍いなあ。そうそう、此処はよく傷つく場所でさ、しかも治らないときてる。癒されはするみたいだけど。ほら、周りを見てみなよ」
言われるがままに周りを見渡すと、確かに傷だらけだった。その傷口からは毒々しい色をした血のような物が滲んでいる。ということは生命体だろうか?
「痛そうだね?」
試しにそう聞くと、彼女は少し目を見開いて、
「痛いのは君の筈だけど」
とくしゃりと笑った。
僕が痛い?痛い?なんだろう。そっと傷口に触れると、一人っきりの廊下を思い出した。別の傷口に触れると罵られたことばを思い出した。
あぁそうか
此処は、


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