ダーク・ファンタジー小説
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- 心霊屋敷
- 日時: 2017/07/31 02:32
- 名前: 黒蝶 (ID: l.IjPRNe)
「あの心霊屋敷って有名な心霊スポットなんだけど彼処に入ると二度と出てこれないらしいよ。しかも化物が出るって噂なんだぜ」
この噂を聞いた一人の少年は「へー」とお転婆の少年に話してしまい、学校が終わってからお転婆少年とその友達が探検しに行き噂を聞いた少年と二人の友達とお転婆少年達を追ったが其処で見たものとは…?
- Re: 心霊屋敷 ( No.1 )
- 日時: 2017/07/31 03:31
- 名前: 黒蝶 (ID: l.IjPRNe)
山寺中学校の裏山には一軒の屋敷がある。その屋敷は世にいう心霊スポットとして化物が出るとか、入ると二度と出てこれない等の噂がある心霊屋敷だ
よくその屋敷について言われていた事があった
「彼処には興味本意で近付かない方が良いわよ。だって化物に食べられちゃうもの」
その噂を聞き付けたお転婆少年の黒田皐月の友達の本多聖、鈴木佐助の悪友達が共に向かったと聞いた三大甘味同盟を結んでいる竹村幸助、久保田恭介、紅一点の土御門市香も心霊屋敷の敷地内へ足を踏み入れると草はあちこちに伸び放題で手入れなどはしてない様だった
「人なんて居なさそうだね!」元気良く言う竹村幸助
「来たくはなかった…」後悔している久保田恭介
「やはり気味が悪いですね」屋敷を見つめる土御門市香
「ねえねえ!あの屋敷に入ろうよ!」
「おい。入ったら二度と出て来れないんじゃなかったか?」
「私も近くで見れただけで満足」
「え〜!?探検したい!」
入ってみたいという幸助の気迫に押され恭介と市香はやはり幸助には甘いかもしれないと思いながらも探検する事を許可する
幸助は泣き虫な癖に甘えん坊で好奇心旺盛な為か真面目の恭介と冷静で礼儀を忘れない市香は幸助には甘い
そう自覚をしていても結局は許可出してしまうから今の二人には幸助をどう制御するかが悩み所だ
「見て見て二人共!中は外より綺麗だ」
「おや。意外ですね…」
「…帰りたいな」
屋敷の中は少しカビ臭く誇りあるが外より綺麗だったのだが空気が嫌な感じがする。そう市香は思った
「もう。良いだろ。帰ろう」
「恭介?もしかして怖いの?」
「俺は心霊系は苦手なんだ…」
「へー!」
すると何かが倒れた音が屋敷内に響く。音から察するに軽い物が落ちた音だろうと市香は言った
「ま、まさか怪奇現象か!?本当に怪奇現象か!」震える恭介に市香は溜め息をつく
「そんなの在るわけないじゃないですか。科学的根拠はありません」
「何処に行っちゃうの?」
「少し見てくるので待っていて下さい」
「うん。気を付けて」
「ええ」
市香は先程の音を頼りに歩き出した
- Re: 心霊屋敷 ( No.2 )
- 日時: 2017/07/31 16:53
- 名前: 黒蝶 (ID: l.IjPRNe)
玄関から真っ直ぐに進むと居間があり更にその奥には台所がある。台所を見ていると床に深々と刺さっているナイフを見つけた
音の原因はナイフが落ちたことだったがあえて市香は刺さっている事には触れず音の原因を知らせる為に玄関へと戻ったのだが。
「恭介?幸助?…まさか私を置いて帰ってしまったのでしょうか」
恭介と幸助が玄関の廊下に居なく、先に帰っただろうと少し怒った市香はもう帰ろうとドアを開けようとした。
しかしドアは開かず鍵が掛かっており市香は驚いたものの「仕方無い。先に来ている悪友組と合流しますかね」と冷静に言い放ち、最初に二階を探索するために階段を上がった
すると階段を上がり行こうとしたら目の前の廊下に誰かの影が勢いよく通りすぎる
「幻覚?きっと疲れているのでしょう。昨日なんてあまり眠れませんでしたし」
部屋の数は多い心霊屋敷を一つ一つ見て回る事にした市香は部屋の襖を開けた。その部屋は和室なのだがその奥には洋室があり歓声を小さな声で上げる
「和室ばかりでしたので洋室もあるんですね。しかし本当に此処は不気味過ぎてなんとも…」
途中で言葉を切った。
「その声はもしかすると市香?」
「えぇ。幸助達は先に帰ったのではなかったのですか?」
「帰ってないよ。実はさ変な奴が追い掛けて来て逃げたんだ!どれで恭介ともバラバラになって…けして市香を置いてこうとした訳じゃないよ!!」
「分かっています。きっと追い掛けられたのは悪友組の悪戯ですよ」
「…うん。そうだね」
「幸助?」
幸助は座り込むと深い息を吐く
それを心配した市香は「大丈夫?」と声を掛けると幸助はお腹を押さえる
「お腹空いたし喉も乾いたよ…動けないよぉ…」
「貴方は本当に食いしん坊さんですね…」
「えへへ!ねえねえ市香、お願いがあるんだけど」
「…?(嫌な予感が…)」
「お水持って来て欲しいな!少しはお腹の足しになると思う!」
こんな屋敷にしかも閉じ込められているのに何処にそんなものがあるのか逆に知りたい。そう市香は思ったが無邪気な笑顔を浮かべる幸助に何も言えず二つの返事で先程の台所へ向かう
台所にはコップもありお皿もあり誰かが住んでいても可笑しくはない空間が漂っている
「可笑しいですね…」
そういう空気が漂っている筈なのに水道管が破裂していた。先程まで破裂していなかった筈なのに何故か破裂している
市香は居間の横にある部屋の場所を思い浮かべ行くと其処はトイレだった
「トイレも…。(トイレも水ですからギリギリセーフですよね!)」
仕方無くトイレの水をすくうのだがそのお水は水なのか怪しい。
少し躊躇するが市香は幸助の元に行きその水を手渡した
「ねえねえ…これは本当に、お水なのかな」
「お水ですよ。きちんと台所から持って来ました」
それは嘘だ。飲んではいけない。そう思った幸助だが折角持って来てくれた水を無駄にしてはいけないと意を決していっきにお水を口に流し込む
咽が何だか気持ち悪い…幸助は顔を引きつらせながら全てを飲みきったのだった
「(さようなら僕。これ絶対に台所のお水じゃない…)」
心に中で幸助は泣いた
- Re: 心霊屋敷 ( No.3 )
- 日時: 2017/07/31 19:04
- 名前: 黒蝶 (ID: l.IjPRNe)
「お礼にこれあげちゃう!」幸助は市香に金色に輝く鍵を渡す
市香はそれを受け取るとポケットに入れてお礼を述べた
「僕、逃げ疲れたから此処で待つね。奥は和室じゃなく洋室だから気を付けて!」
「幸助も気を付けて下さい」
「うん!」
幸助から貰った金色の鍵のタグには"武器倉庫"と書かれていたのだがあえて市香は思考をシャットダウンをして武器倉庫へ足を進める
その途中には色々な部屋があり幸助の言った通り奥には洋室が多くあった。屋敷の手前は和室が多く、奥には洋室が多く存在するらしい。
武器倉庫は図書室の更に奥にあったのだが市香は其処を通りすぎて寝室や子供部屋に行ったり来たりをしていた
「(武器倉庫は凄い数の武器がありますね…)」
此処には何があるか分からないので一つ拝借致しますか。そう考え一本の日本刀を持つのだが市香の目にとある服が目に入る
「沢山の服がありますね。私の今の服は学校の制服なので着替えた方が良いかも…すみません、拝借致します」
いつでも礼儀を忘れない市香は適当に服を選ぶ。…といっても殆どが着物なので動きやすさ重視にしてしまうと軍服しかない
けれど市香は私服は黒がベース故に白の軍服は違和感を感じた為に黒をベースにした軍服を着た
深い息を吐くと持っていたスクールバック、略してスクバに制服を畳んでしまう。
「さて。恭介を探しに行きますか」
しかし本当にこの屋敷は色々ありますね。そう思っていると本棚の所で又しても黒い影が勢いよく通り過ぎる
「やはり疲れているんでしょうか?幻覚を見るなんて初めてで…!?」
市香が見た黒い影が幻覚ではなく現実だった。言葉を切り目の前に立っている三、四メートルくらいの赤い肌をした巨人がいたのだ
巨人は市香を見つけると大きな拳で市香を殴り飛ばそうとした。だが市香はその拳を避けスクバを投げ捨てる。
「くっ…!なんなんですかあの巨人は!」
ゆっくり近付く巨人は不気味で市香は生きなければと咄嗟に日本刀を抜く。日本刀の刃はキラキラと輝き切れ味が良さそうだ。
巨人の拳を避けながら市香はこの巨人と心霊屋敷の事を考える
『彼処の屋敷には興味本意で近付かない方が良いよ。だって化物に食べられちゃうもの』
『山寺中学校の裏山の心霊屋敷に踏み入れると二度と出て来れないらしいぜ』
『今までだって彼処に入った奴等なんて見付からずに行方不明だしね』
今日の学校で同級生から聞いた心霊屋敷の噂。この巨人が居るから、この屋敷に入ってこの巨人に殺されてしまうから、だから___
この心霊屋敷に入ってしまった事を悔やむ市香を巨人は拳を振り上げる
「ああっ…!!(痛いッ…血が…!)」
ただかすっただけなのに腕からは血が止まらない。止血しなければ…と普段なら思うが今はそれだけではなかった
殺される!!そう市香は思った
拳が迫る。
次の痛みが来ると反射的に目を瞑った
「(なんの為に刀を抜いたのですかっ…私は。そう。生きる為でしょう!)」
意を決して目を開く。
そして市香は刀を大振りした。その攻撃は巨人の拳に当たり巨人の動きは一瞬だけ止まる。恐らく市香が攻撃出来ないと思っていたのだろう。
一瞬の隙を見せるだけでも命取りになる…市香は祖母に聞いた事があったのだが、その意味は本当にそうだと思い市香は口角を上げた
「私はッ…!!」
絶対に生きなければなりません!!と声に出して叫び、市香は鞘を投げた。鞘を投げるのは鞘に戻すつもりはないということ、つまり命をかけたのだ
「はぁ!」
市香は巨人の攻撃を避けながら回転し巨人を水平に斬った。ジャンプ力とスピード力がある市香に巨人は倒れそうになり更に巨人の喉に向かって刃を降り下ろす
すると巨人は致命傷をやられたのか倒れ、そして消えていったのだった
「はぁ…。まさか中学生が化物と戦うなんてファンタジーみたいですね。三次元で辞めて欲しいです…二次元だけにして下さいよ、もう…」
愚痴る市香はまた武器倉庫に戻り救急箱を持って手当てをした。すると先程に巨人と戦っていた場所に百円のお金と鍵が落ちている
「何処の鍵でしょう」
鍵のタグには"二階の奥の部屋"と書かれていた。幸助はともかく恭介を探さなければならない市香は仕方無く次の部屋へと急いだ
- Re: 心霊屋敷 ( No.4 )
- 日時: 2017/07/31 20:08
- 名前: 黒蝶 (ID: l.IjPRNe)
次の部屋を開けると其処は普通の部屋だった。けれどあまり家具はなく、あるのは机と椅子と本棚だけだ
「特に何もない部屋なんですが」
市香は足下を見ていなかったので足を机の足にぶつけてしまった。地味に痛かったのかぶつかった足を撫でる
すると机はずれてしまったのだが直そうとした時に気付いてしまう。机の下に何やら怪しいスイッチがあった
ハテナを浮かべる市香だが迷いもなくそのスイッチを押してしまった
「!…本棚が」
本棚がゴゴゴゴと煩い音を響きかせながら横へ移動し元の位置にあった所には鉄の扉がある
それをまた迷いもなく開ける市香は天然なのかわざとなのか分からない表情をしていた
だが今までとは違う扉に少なからず疑問を抱いているようだ
「だ、誰だっ…!あ、ああ。市香か…」
「やっと見つけましたよ。恭介」
「すまないがその服装はなんだ」
「女子制服は動きづらいので着るものを拝借して来ました」
スクバの中に私の制服と恭介と幸助のも入っているので制服が汚れるので着て下さいと市香は恭介に言いながら鉄の扉の先にあった部屋を見渡す
其処はまさに誰かが住んでいそうな部屋だ。食べ物も布団もお風呂も台所も暮らすのに困らない設備がなされている
「俺が見つけたのだが此処は誰かが使ったような痕跡もある。それに…」
「それに?」
「この部屋は生きている人間専用らしい、お前が来る前に赤い肌の化物に襲われ此処に入ったら諦めて出て行った」
「一体。此処は誰が作ったのでしょう?」
「さあ…俺にも分からんが前にこの屋敷に来た奴等が作ったのだろう」
直ぐに制服から違う服に着替えた恭介はそう言ったのだがまだ腑に落ちない様子だ
一体誰がいつ作ったのか分からないから早くこの部屋から出て行った方が良いのだが恭介の体験からこの部屋は安全だと分かった為か此処を避難場所にするらしい。
「そういえば幸助はどうした?」ふと気が付いたように恭介は市香に質問した
「ああ。見つけましたよ。今すぐ連れて行きますね」
「俺も行こう。一人より二人の方が良いだろう」
「そうですね」
恭介の意見に賛成した市香は恭介と共に幸助がいる部屋へ走った
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