ダーク・ファンタジー小説
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- 呪というモノは
- 日時: 2017/08/06 23:08
- 名前: 「黒」 (ID: lU2b9h8R)
その場所には古くはお寺が建っていたのだと、乃村(のむら)君が話を始める。
夏の蒸し暑い夜の事であるから友人達がこうして一ヵ所に集まると決まって怖い話が始まったりするのであった。
そのお寺が元々建っていたとされる場所は今は平屋の一軒家が建っており近隣ではある種有名人となっている
変わり者の老婆が住んでいるのだと言う。
その老婆は何故か毎週金曜日になると真っ白な着物姿に顔まで真っ白に化粧をして自宅を出たかと思うと裏手にある子供でも簡単に登る事のできる小さな山へと何やら道具箱のようなモノを持って登るらしいのだが、それを目撃した人の話だと山を降りてくる時にはその老婆は毎回手ぶらなのである。
その様子を見ていたという乃村君の従兄弟の政晴(まさはる)君という高校の青年は血気盛んな所があるようで、
「俺が確かめて来てやるよ。」
と言ったかと思うとその週の金曜日の夜に婆さんが山から降りて自宅に入るのを見て確かに確認すると大急ぎで山へと登っていったのだそうだ。
程なくして政晴君は乃村君の家に戻って来たのだが
「あの山には何が置いてあったの?」
と訊ねてみても何故か政晴君はそれにこたえようとせず、口をつぐんでしまうばかりであったというのだ。
これではらちが明かないと痺れを切らした乃村君は次の週の金曜日つまりは昨日の夜、老婆が下山するのを見計らって懐中電灯を片手に山へと登ったのだという。
山の山頂付近には小さな祠がある事を乃村君もこの時に初めて知ったらしいのだがその祠の真横に木製の細長い匣のようなモノが拾数個ピラミッド状に積まれていたのだと乃村君は語る。
「それで匣の中身は?」
話を急かす様に新田(にった)君が口を挟む。
乃村君はその時の事を思い出し再び話を続ける。
懐中電灯の灯りを近づけ一番上にあったその匣の蓋を外し、中身を確認すると中には人の形を型どったかの様な紙の人形が入っていた。
その紙人形には何か分からない文字の様な図形の様なものがびっしりと赤色のペンの様なもので書かれていたのだそうだ、それにもう一枚、写真が入っており確認するとそれはクラスメイトの棚橋(たなはし)君が写っていたのだという、写真をよく見てみると乃村君はある不自然な点に気づいたという
それは被写体である棚橋君が写真撮影されているという点に気づかずに写真を撮られているという事つまり盗撮された写真であるという事にである。
乃村君は他の匣も確認したくなり別の匣の蓋も開けたそうだ。
すると全く同じ紙人形に今度は従兄弟の政晴君が写っている写真
他の匣は………。
そう思って何箱か開けると紙人形が入っている点は全く同じ
違うのは前の匣同様に盗撮されたのであろう被写体の人物
悪友の立花(たちばな)そして
友人の柳沢(やなぎさわ)
最後に開けた匣の写真は………。
自分のつまり乃村君の写真だったのだそうだ。
乃村君は気味が悪くなり、匣を片付ける事もせずに一目散に家へと逃げ帰ったのだそうである。
それから三日後の事、従兄弟の政晴君が急な高熱の為に入院、更には立花や柳沢は事故で怪我をしてしまったのは今話を聞いている友人達は周知の事実である。
例の匣の中に入っていた写真に写っていた人物が次々に事故や病気に見舞われる、次は自分の番なのではないかと、乃村君は怯えた様子で話をしてくれたのであった。
初めまして、黒という者です。
文才は皆無ですが宜しくお願いします。
荒らし等はご遠慮ください。