ダーク・ファンタジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

暗黒伝記
日時: 2017/08/07 03:53
名前: 三世 (ID: yU3pc2AF)

〇目次

 序章———>>01
 一章———>>02-
 一話〈>>02-03

--------------------------------------------------

Re: 暗黒伝記 ( No.1 )
日時: 2017/08/07 03:01
名前: 三世 (ID: yU3pc2AF)
参照: 序章





『キミは、一体何者?』



悪魔のような囁き。
銃を突き付けられ、平然としていられる人間はいないだろう。


もし万が一にも平然としていられるのなら。


———ソイツは、普通の人間ではない。


だから僕は相手にこう答えた。


「君こそ、何者?」


素朴な疑問だ。
寧ろ相手は僕の事を僕以上に知っているんじゃないかな。
何せ僕自身も僕の事を全然知らない。記憶喪失というわけでもない。


『質問を質問で返すのは、ただの馬鹿だよ』


僕は自分が馬鹿だとは思っていないけど、馬鹿なんだろう。
いいじゃないか。教えてくれたってさ。


「それ、撃ったとしても僕は死なないよ」


銃を撃たれた事なんてないから分からないけど、僕は死なないだろう。


『だろうね。キミも、十分わかっているじゃないか』


知らないよ。僕自身が頑丈なだけなんだ。
喧嘩を売られれば負けた事はないし、逆に相手を病院送りにするだけ。


「じゃあ銃を下したら? 疲れるでしょ」


『いやいや、撃たれたら死なないだろうけど痛みはあるよね?』


あぁ、相手は僕の全てを知っているわけではない様だ。
撃たれたら死なないんじゃなく、多分当たらない。
けど、相手は僕に銃弾を当てる気でいるようだ。


「所で君、透明人間なの?」


銃は見えるけど、相手の素性は未だに確認出来ない。
驚きはするけど別に騒ぐ程でもないから言わないけど、顔は見せてよ。


『まあ、結構脆いんだけどね』


成程。全く意味が解らない。誰か分かる人いたらいいんだけどな。


『衝撃に弱いんだ。これ』


不便な物ですね。透明人間って。銃も隠せてないし。


「ふーん。……ところで、何で僕に銃を向けてるの?」


今更感満載だけど、僕は狙われるような事したことないんだけどな。
売られた喧嘩は買うけど、喧嘩を売った事はないし犯罪もしてない。
僕を狙う要素なくない? 経験値でもあがるのかな?


『キミばっかり質問してズルい』


あ、ごめん。どうしても気になっちゃって。


『キミの能力は?』


銃口は一切下がらないまま、質問をされる。
相手も僕も、妙に落ち着いてるものだから早く帰りたいなあ。


「僕のなんて知らないよ。なんで君は自分の事が分かるんだよ」


ただ言えるのは攻撃が当たらないだけ。
本棟にこれ以上の事は自分でもよく分からない。


『撃ってみていい?』


———いいよ。と口を開こうとした瞬間。


バァン!


という銃声が響く。……僕まだ何も言ってないんだけど。


「普通言う前に撃つかな」


痛みはない。というか、当たってない。
相手の撃った銃弾は僕目掛けて一直線に放たれた筈だったが……。


『……へぇ、効かないんじゃなく当たらないんだ』


相手が下手だったわけでもないようだ。相当の手練れだね。


「原理はわからないけどね。物理攻撃も全て当たらない」


拳で殴られてもそれは僕に当たる事はなく、自分に跳ね返ってくる。


『恐らく、相手の攻撃を反射しているんじゃないかな』


だとしたらさっきの銃弾は相手に跳ね返ってることになるんだけど。


『私も避けなきゃ死んでたね』


銃弾を避けたのかよ化け物じゃないか。
普通の人間でなかったとしてもあんなのどうやって避けれるの?


「で、用事はもう終わり?」


取り敢えず帰りたい。


『……キミの家に行ってもいいかな。大事な話だ』


発砲したことにより野次馬が集まってくる。
相手も銃を隠したのか、これでは僕が一人で喋っているようなものだ。
このままでは埒が明かないし、いいか。僕の家で。


「じゃ、着いてきなよ」


不審に感じる事もなく、ただ僕は透明人間を家に呼ぶのであった。

Re: 暗黒伝記 ( No.2 )
日時: 2017/08/07 03:28
名前: 三世 (ID: yU3pc2AF)
参照: 一章

第一話『反射』

--------------------------------------------------

透明人間は衝撃に弱い。
皆も周りに透明人間がいたら取り敢えず本でも投げてみよう。

「ここが僕の家だよ。豪邸でごめんね」

一人暮らしには勿体ない物件。
僕がお金を出しているわけではないけど、親には感謝しないとね。

『どこが豪邸なのさ。アパートじゃない』

僕にとっての豪邸と、相手にとっての豪邸は些か違いがあるみたいだ。
家賃五万の豪邸なんだけどなあ。

「で、僕の家にあがるわけだけど、姿見せる気ないの?」

相手が今どこにいるのかもわからない。
声は聞こえるから近くに入るんだろうけど、僕は壁の方を見てるよ。

『あぁ、ごめん。じゃあ姿見せるね』

最初からそうしてくれるとありがたいんだけどな。

「わあ、絶世の美女じゃん」
「自棄に棒読みじゃない」

透明人間が姿を現したと思ったら女だった。
なに、こんな女が銃弾を避けたり銃を持ったりしてるの? 世も末だ。

「……一人暮らしなんだね」
「まあね。どうする? 先に風呂入ってくる?」

女の子が男の家に来たいと言い出したんだ、やる事は一つだよね?

「有難い誘いだけど遠慮しておくね。お話が先」

お話終わったらやるつもりなの? 冗談なんだけど。

「どこから話せばいいかな。キミの事?」
「ん? 僕って記憶喪失で実は君の仲間だったって事?」

記憶喪失になった記憶すらないけど。

「なかなかユニークなのね、キミ。でも違うわ」

もし当たってたら僕は名探偵だな。

「……そうね。まずは自己紹介から」

僕から先にやれと手を差し伸べる。えぇ? 普通相手からだよね?
なんで僕の家で見ず知らずの人に名乗らなきゃいけないの。

「うーん。二楷堂 悠(にかいどうゆう)だけど」

名乗らなきゃ終わりそうにないから名乗ります。

「悠君ね。私は篠崎 舞花(しのざきまいか)。よろしくね?」

よろしくするつもりないけど? これっきりの出会いなんだけど?
僕のワンルーム豪邸アパートにいきなり来てよろしくされてもね?

「わかった。よろしく、じゃあまた明日ね」
「いや帰らないからね」

知ってた。

「晩飯も食べてくの? 図々しい女だな」
「いやそのつもりできたわけじゃなくって」

面倒だ、早く話を進めてくれないかな。

「もう面倒だから単刀直入に言うよ? 私たちの仲間になって」

色々と端折りすぎでしょそれ。答えはノー以外ないじゃないか。
勧誘するにしてももっと上手い誘い方あるよ?
まずは出会い頭に銃を突き付けないとか、銃は発砲しないとか。

「いやです帰ってください警察呼びますね」

これ殺人未遂になるよね。

「もし断ったら奥の手使うしかないんだけどなあ……」

もう最初から奥の手以外にないじゃん。
なんで僕が何の疑問も持たずに答えがイエスになる前提なんだ。

「キミ、その力をどう使うつもり?」

力? あぁ、これね。使い道なんてないでしょ。

「いや実際これいらないから」
「凄い正直ねキミ…………その力を有効に使ってみないかな」

有効に……例えばなんだろう。

「犯罪組織を潰す為、とか」

日本は平和の国なので犯罪組織なんて存在しません。
いるのは単独犯です。昔はいっぱい日本にもいたけどね?

「その力を使った組織は複数存在するのよ」

近年また増えつつあるようだ。日本も終わったなあ。

Re: 暗黒伝記 ( No.3 )
日時: 2017/08/07 03:49
名前: 三世 (ID: yU3pc2AF)
参照: 一章

「そんなの警察に任せればよくない? 税金払ってるんだよ?」

日本の警察は優秀だからね。僕以上に頑張ってくれるよ。

「仮にキミ、警察と戦ったら負ける自信ある?」

戦う前提? 戦う事なんてないんだけど。

「僕がイエスと答えるまで粘るつもりなのか」
「そうだね。それが私の仕事だし」

昔営業職でもやってたんだろうか。
因みに僕は今働いているんだけど。その組織の給料体制を聞こうかな。

「そんなの応えられるわけないじゃない」

不安でしかない。

「はぁ、じゃあ寝る時僕と同じ布団って事になるよ?」
「断る気満々なのね……」

帰ってほしいんだけど。

「もし断ったらどうするつもりなのさ」
「……奥の手だけど、組織全員でキミを殺しに来るわね」

そういう事か。なに、重大な秘密でも掴んじゃった?

「キミの力」

僕の力? 確か、反射だっけか。

「それは、今迄に見た事のない強力な力なの」
「思春期の男の子にとっては君の透明人間の方が強力だよ」

色々できるじゃん。

「本当を言うとね。キミの力、何でもできるよ」
「……例えば?」
「君が使いこなせればだけどね。核兵器だって防げるんじゃないかな」

確かに色々と試す価値はあるだろうね。
僕自身も自分の力について色々知識を付けてきたつもりだ。

「まあ、確かに何でもできるね」
「でしょ? キミ、結構危険分子なのよ?」

自分のモノでないものは壊す、か。
相手に渡るよりはよっぽどいいってことだろうけど、気に食わないな。

「仲間になって僕にメリットはあるの?」

僕は意味のない事が嫌いなんだ。

「そうね……平和を守れる、かな」

なんだそれ。それこそ警察の仕事じゃないか。

「何か望みがあるの?」

女は僕に尋ねる。望みはないわけではないけど、叶えるものでもない。
日本人は欲しがりなんだ。なんでもほしいさ。

「お金が欲しいな」

お金があればなんでもできるからね。

「それくらい、お安い御用よ」

この程度なら当然、か。

「後は、そうだな。出来れば僕は死にたくないな」

不老はいいけど、不死は要らない。
これは誰もが考えた事じゃないかな。これが望みかな。

「不老不死は無理かな」

あぁ、押しに負けたな。

「いいよ。君の言う組織に連れてってよ」

将来が心配だなぁ。営業マンには勝てなかったよ……。


Page:1



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。