ダーク・ファンタジー小説

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沈黙メモリアル
日時: 2017/09/24 12:53
名前: 枚方あやのり (ID: F5aTYa7o)

はじめまして。
枚方あやのりと申します。

小説を書くことは初めてですが,色々な方の作品を参考にさせていただきながら
自分らしい作品を書くことができるよう精一杯頑張っていきたいと思っております。

少しでも多くの方の目に止まりますように。

どうぞよろしくお願い致します。


                                   枚方あやのり


第一章 >>1

Re: 沈黙メモリアル ( No.1 )
日時: 2017/09/24 12:52
名前: 枚方あやのり (ID: F5aTYa7o)


 凪浦高等学校美術室———午後六時三十分

 「どうせまた始めるんでしょう」
 美術部部長 井下楓はつぶやく。虚空を見つるその姿はどこか寂しそうに見えた。
 部長は誰と話してるの……。私はただ吸い込まれるようにその姿を見つめるしかできなかった。そこに現れたカレを見るまでは———



 「今日は部活行く?」
 「ぎゃっ!!??」
 派手に椅子から落ち,目を覚ましたらしい私は火照る顔を隠しながら眠気が冷め切らない頭を必死に回転させた。しばしの間があってようやく今の状況を理解した。
 「そっか,あれは夢だったわけか」
 でも確かに私は一度美術室まで足を運んだはず……。今日の六限は体育。どうせ絵の具で汚れるからと体操着のままHRに臨みそのまま部室までの階段を降りて階段下で草崎先生にあって大会の話をして申込用紙を……。
 「もらったよねえ」
 「へっ!?」
 「全部口に出てんのよさっきから。どうしたの沙弥?顔色よくないよ」
 「美奈……心配かけてごめん。たいしたことない,変な夢をみただけなの」
 「……それ正夢になったら困るような夢?」
 「え……」
 私は美奈の表情の変化を見逃さなかった。いつもにっこりと目を線のようにして笑う美奈の目が笑っていない。口元は笑っているものの,明らかにひきつっているのが分かった。まるで私に何かを隠しているかのような。それとも私の考え過ぎか……。違和感が絶えないこの状況も夢なのではないかと思い始めたその時,隣のクラスの部活メイト芽依子が教室のドアからひよこのように顔をのぞかせるのが見えた。
 「あっ芽依子おつかれ」
 「……ねえ。美奈,そろそろ沙弥にもお話してもいいころかなって部長が」
 「話しって何?」
 私は嫌な予感がした。
 部長が私にも話したいことって何だろう。他の部員のみんなはその話をしっているのかな。同時に思い出すのはさっきの夢。部長と会話するカレの存在……そして美奈の発言と表情も合わさって胸が苦しくなる一方だ。

 私はこの夏,親の転勤でこの凪浦高等学校に転校してきた。私立で制服は可愛いし,頭の良くない私でもついていけるようなそこそこの平凡な学校。高校二年生で転入なんてもうグループができたり仲のいい友達がくっつき始めたりしていて居心地が悪いだけなんてイメージで入ってきたのも杞憂で,今仲のいい同じ美術部の美奈や芽依子を始めとする美術部の先輩・後輩数名とこの二年四組のクラスメイトも歓迎ムードが強くとても居心地の良い再スタートを切れている。
 そんな中人間なら誰しも抱えている心の奥の闇,誰にも見せない部分や一部の人にしか見せない裏の顔をいつどのタイミングで私にも見え隠れさせてくれるのだろうなんて考えるのが私の悪い癖で。何度この裏の性格を恨んだことか。自分自身がこの裏の感情を表に出せないだけで上手に自分の性格と付き合っている同級生を妬み始めたのはつい最近のことではなかったと思う。自分自身がこんなに隠しているのだから相手も自分に対して心の底から感情をオープンにしてくれるなんて都合のいいことははなから期待などしていない。私が恐れていることはそれでも,そんな私に対しても心の底から気持ちを開いて接してくれる存在に出くわしたとき,どう関係を持っていいのかが未だに分からないことだ。そんなに深刻に考えなくてもありのままを受け入れてあげたらいいと言う人がいた。でもwあたしはあなたと考え方が違う。ただの他人の押し付けにすぎない。
 考えすぎるのも悪い癖。私はやっぱり頭が悪い。
 こんな自分の中にある価値観に邪魔されながらもなんとか半年すごしてきたわけで。この半年にして信用しかけていた部員たちからそろそろ話してもいいんじゃないかなんて明らかに焦らした言い方で導入に持ち込まれてきたんだからたまらない。私としては今にもカレにや———あれ……今何を考えかけたんだ。そんな恐ろしいこと私にはできない。したくはない。

 「部活の時に会議しようよ!その時にあの話するからさ!楽しみにしてて!」
 「芽依子張り切りすぎだよ。沙弥,あまり気にしないでね。普通の話だから。そんな怖いような話じゃないからさ」
 私の表情は少し強張っていたのだろうか。美奈の言葉を聞いて頬がゆるむのが分かった。
 「うん。楽しみにしてる。私掃除当番だから,終わったら部室向かうね」
 「あれ沙弥当番だっけ?まあいっか。頑張ってね!それじゃ!」
 美奈と芽依子を先に部室へ向かわせ,私は掃除でいったん落ち着くことにした。
 「考えすぎ……考えすぎ……」
 私はまだ気づいていなかった。廊下でこのやりとりを見ていた人物がいることを。
 「明らかに動揺してる様子が頻繁になってきている。ということは,カレの姿を垣間見ている可能性が高い……いよいよ交代の儀を執り行うときがきたようだな。沈黙の時は近づいてきているぞ祈里」
 「ええ,楓部長……」

Re: 沈黙メモリアル ( No.2 )
日時: 2017/09/30 11:38
名前: 枚方あやのり (ID: F5aTYa7o)


あげます


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