ダーク・ファンタジー小説

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金木犀の香りを閉じ込めて。
日時: 2017/09/26 19:20
名前: 初音 (ID: El07VYkm)


*
「乙葉ちゃんの匂いが、する…」

永遠にかげない、友の匂いが。
微かな、残り香を閉じこめたのは…。

あの日の、私と“きみ”だった…。

Re: 金木犀の香りを閉じ込めて。 ( No.1 )
日時: 2017/09/26 19:30
名前: 初音 (ID: El07VYkm)


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「私、疲れちゃった」

何の気なしに、乙葉ちゃんが言う。
私は冗談だと思い、乙葉ちゃんに笑いかけた。
いつもどおりに、乙葉ちゃんが笑ってくれるかと期待した。

乙葉ちゃんは笑みを浮かべずに、淡々と─────まるで他人事だと言うように。

「母さんがどれだけ、ヤバいか。杏奈は、知ってるよね」

私は、うなずかなかった。
微かに彼女が言わんとしている事を、嗅ぎつけたから。

乙葉ちゃんは表情を崩さず、

「私は、いらない子だったんだよ。奈央と違って。だから、」

『奈央と違って』というとき、乙葉ちゃんの声は寂しそうに、表情は泣き笑いになって続けた。

「母さんと、奈央、葵のためにね。────死ぬの」

「えっ‥…」

唇が乾く。
なぜ乙葉ちゃんが死なないといけないのか。

「杏奈と同じ高校にいけて、嬉しかった、これからも一緒だと信じてた」

でも、と乙葉ちゃんは寂しくつぶやいてからテーブルを立った。

「杏奈、帰ろー」

さっきの話なんか嘘のように、笑顔を浮かべた乙葉ちゃんを私は何にも言えずに見つめた。

 


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