ダーク・ファンタジー小説
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- 主催者側
- 日時: 2017/10/06 13:12
- 名前: sky (ID: U.Z/uEo.)
その日の校舎は、いつも通りだった。
能力が平凡な奴や馬鹿な奴が互いにくっつきあい、どうしようもない話をしだす。
いくら中高一貫だからと言って、正直やっていることが下らなさすぎる。
馬鹿どもにとっては至福の時間であろう昼休みに、俺は静かに独り、机に向かって参考書を解いてい
る。
数学教師の大西先生の説明は、とても分かりやすい。だから俺は数学が好きだ。
誰にでも優しくて、気さくで美人の大西先生。
自分でも、顔が熱を持ち始めたのが分かった。
「どうしたよ?く・も・お・と・こ・く・ん?」
「ぎゃははは!お前、それはひどいわ!!クモ男とか、きたねぇ!」
突然男子二人がやってきた。
しかも、僕を侮辱するというおまけつきで。
「あっち行けよ。勉強の邪魔だろ。馬鹿野郎。」
いちいちこんな奴らに言葉をかけてあげられる僕はもしかしたら、とてもやさしいんじゃないだろうか?
「村雨君、勉強してるんだねぇ。」
再び来る刺客。
あぁ…。もう、本当に。
キエレバイイノニ
- Re: 主催者側 ( No.1 )
- 日時: 2017/10/07 19:25
- 名前: sky (ID: U.Z/uEo.)
村雨彰人は不吉を広げる蜘蛛男。
それは、なぜか俺に張られたレッテル。
正直、最初は突っ込みどころが満載すぎて、フッと笑ってしまった。
何だ「不吉を広げる」って。不吉ってそもそも意味わかってねぇだろ。
しかも蜘蛛って…。昔から蜘蛛は魔性の人と言って、とても美しかったんだぞ。それは馬鹿どもが俺
をかっこいいと認めたって事じゃねぇか。
…馬鹿すぎるな。
この間まで、そう思っていた。…いや。ついさっきまで。
突然勢いよく閉められた教室のドア。
ドアの一歩内側で、話をしていた馬鹿女子のドアによって切られた髪の毛。
先がない友達の腕であろうものを握っている馬鹿男子。
何が起きているんだ。
外からは、きっと腕の持ち主であろう馬鹿男子の悲鳴が聞こえてきた。
他のクラスからも、同じような声が聞こえてくる。
きっと、同じことが起きているんだろう。
「ちょ、ちょっと何!?」
「ぎゃっ!おい松井。お前、それ…。」
馬鹿女子どもが下品な悲鳴を上げ、松井と呼ばれた腕を持っていた馬鹿男子は真っ青になっていた。
その顔は、あまりにも悲痛で、目をそむけてしまった。
「お、俺…。早く帰ろうって…あいつが手を引っ張ってくれて…。笑って…ドアを出て…。」
震えた声でうわ言のようにつぶやくと、松井は目を見開き、絶叫し始めた。
「と、友貴————!ウソ、嘘だろっ!?いやだぁぁぁぁぁ」
「う、うるせぇよ松井!」
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!友貴、、、友貴ぃ…。」
最後は殆ど、聞こえないくらい小さい声だった。
俺は松井を見て、思わず笑ってしまった。
…ざまぁみやあがれ。
馬鹿にはいいことなんてないんだよ。
世の中結局、努力したものが勝つ。
そう決まってるんだよ。
「じゃあ、まずは状況整理から行きましょう。」
突然手を叩いて場を仕切り始めたのは青羽花純。
テストでは常に上位、人気もあり、容姿もいい。
俺が唯一認める「努力者」だ。
「ほら、松井君落ち着いて。どうやら昇降口と門は開いているみたい。人は、腕を切られたくらいで
は、1時間放置しない限りは死なないわ。彼は、無事よ。」
そう言って、青羽花純は松井の肩に手を置き、ニコリとほほ笑んだ。
その笑顔につられるように松井も笑顔になり、「そうだよな…大丈夫だよな…。」と言って立ち上
がった。
・・・っち。なんで馬鹿が、努力者から優しい言葉と笑顔をかけてもらえるんだ。
そんなの、許されるはずない。
「でも、まずは分かっていること。」
すると青羽花純は綺麗な字で黒板に箇条書きで文字を書きだした。
・ドアはすべて封鎖されいている
・昇降口と門は開いている
・窓も開かない
・首謀者は不明
・下校済者7人在室者24人
「これくらいですね。」
カツっと最後に点を打ち、くるりとこちらを向き直った。
「す、すげぇ!神様じゃないの?花純!!」
「ね、ね!どっかの誰かさんとは違う!」
そう言って馬鹿女子どもは、俺の隣にいる女子を見下ろした。
彼女は西藤菜摘。
世間では「不細工」に分類されるもの。
俺は、こういうやつが一番嫌いだ。
いつまでたってもうじうじしていて、奴隷のままの立場から、足掻こうとしない。
社会の屑だ。
「まぁまぁ。菜摘さんも、どこかで役に立ってくれますよ。」
青羽花純がバカ女どもを窘める様に囁くと、バカ女の一人がひらめいたように、人差し指を立てた。
「そうだ!菜摘、うちらといてよ。」
「え…?」
いつもとは違い、優しげな笑みで笑った馬鹿女は早く早くと手招きをした。
「あたし、知ってるんだよ。菜摘、意外と頭いいし、意外とかわいいよね。」
…馬鹿女も、頭使うんだな。
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