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ダーク・ファンタジー小説
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- 彼が魔王様になるまで。
- 日時: 2017/11/01 17:17
- 名前: 箕犁 (ID: yl9aoDza)
- 参照: http://ha10.net/test/write.cgi/novel/1501404956/I1
この子を手に入れるまで
どれ程の苦しみを乗り越えただろうか?
涙を流す目の前の少女を、そっと抱き締め髪を撫でる。
嗚咽に混じる「私でいいの?」という言葉に、呆れつつ返事をした。
「お前がいいんだ、絶対に。」
あの日の俺は、こんな時が来るとは
想像すらしていなかった。
俺が、魔王になるまでの噺をしようか。
- Re: 彼が魔王様になるまで。 ( No.1 )
- 日時: 2017/11/01 17:58
- 名前: 箕犁 (ID: yl9aoDza)
- 参照: http://ha10.net/test/write.cgi/novel/1501404956/I1
殺意を知ったのは何時だったか。
齡五つになる頃には、既に、俺は人の悪意に囲まれていた。
『魔王の生まれ変わり』
『もはや存在そのものが純悪』
外を歩けばそんな言葉ばかりを浴びせられた。
誰が言い出したのか、気づけば周囲は俺を【天尽禍終霊】(アマツマガツチ)と呼んでいた。
難読で悪趣味だが、仕方ないと諦めていた。
緑水晶のような瞳、漆黒の髪。
俺が生まれ持つ色彩。
それがこの世界で意味するのは……
『魔王』。
【かつて世界を絶望に陥れた魔王は、
『闇に溶け混む黒い髪』そして『宝石のような翡翠の瞳』をしていた】
老若男女問わず、誰でも知っている
エリエゼルの言い伝え。
最初は両親も迷信だと言い切り、愛を向けてくれていた。
それも長くは持たなかったが。
二歳になる頃、住んでいた屋敷の四階から落下して……
その時、俺は全てを失った。
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