ダーク・ファンタジー小説
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- 帝国騎士と姫
- 日時: 2017/11/12 07:40
- 名前: 初音 (ID: THBfOZma)
運命なんて要らない。
この出逢いは、必然。
この帝国が終わる日まで、共に─────
闇に染まり続けよう。
- Re: 帝国騎士と姫 ( No.1 )
- 日時: 2017/11/12 07:57
- 名前: 初音 (ID: THBfOZma)
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シュナイザーは、銀色のツンツンと尖った髪を弄りながら、戦友の顔色を窺った。
「・・・お前の彼女?」
問えば、アシュレはニコニコ微笑むだけ。
色素の薄い、肩までにかかる髪を、ゆらんと揺らして。
(何があって、亡国の姫君を彼女にしたんだよ・・・)
シュナイザーは、呆れてアシュレのニコニコ顔を眺める。
ルームメイトであると同時に、共に帝国騎士の戦友が。
「お前な。鉄の規律を忘れたのか?」
女との戯れは禁止と書いてあるぞ、と、遠まわしに言うが。
アシュレは、微笑んで彼女を見るだけ。
初めて、シュナイザーは視線を、彼女に向ける。
彼女はこれまた美しく、長い黒髪に蒼の瞳を持つ、美女であった。
彼女は、優美に礼をした。
流石亡国の姫君か、とシュナイザーは感心した。
「・・・何故、眼帯を付けられているのですか?」
もっともの質問だった。
シュナイザーの左目には、黒の眼帯が付けられており、彼らしい家紋が入れられていた。
シュナイザーは、苦笑し、答える。
「生まれながら、左目は使えない。仕方なく、付けてる」
事実、その通りであった。
シュナイザーが生まれて間もなく、彼は左目を使えなくなる悲劇に陥った。
「そうだったのですか。失礼いたしました」
謝罪する彼女に、慌ててシュナイザーは止めた。
(それよりも、名が気になる)
シュナイザーの心を知ってか、彼女が微笑む。
「私の名は、ハルカ。・・・今は、この名しか残されていませんから」
それは、ハルカ自身が亡国の名を断り、常々、嫌がっていたからだろう。
アシュレが、やっと口を挟む。
「シュナイザーなら、ハルカの力になれるだろうし、」
そして、シュナイザーの耳元に口を近づけ、続きを言う。
「惚れただろうし」
シュナイザーの顔は、真っ赤になった。
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