ダーク・ファンタジー小説
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- 放課後メランコリー
- 日時: 2017/12/30 18:51
- 名前: 麗楓 (ID: EX3Cp7d1)
ああ、今日も始まった。この苦痛で仕方ない放課後が......。
それがどんなに辛いか、恥ずかしいか、どれだけ人を傷つけたか。誰にも分かることは出来ないだろう。
そんな私は大っ嫌いだ......。
この板で書くのは初めてです。どうも、おはこんにちばんわ〜。麗楓です。
基本的に複雑・ファジーで活動しています。
主な作品↓
・表裏一体〜100degrees〜【複雑・ファジー】
・とんかつで乾杯(超短編小説)【コメディライトルビ】
- Re: 放課後メランコリー ( No.1 )
- 日時: 2017/12/30 18:55
- 名前: 麗楓 (ID: EX3Cp7d1)
もうすぐ年が明けるのに、暗そうな話を書いてすみません(´・ω・`)
今年も家族で団らんする日が参りました。部屋の片付けしなきゃ......。
転がりだした色鉛筆
色鉛筆を持つ腕は痛みに耐えながら、画用紙の凹凸など気にせず無心で塗っていた。
強い風で髪が乱れて視界を遮っても、それでも塗り続ける。だんだん力がこもってくると、余計痛みが増してくるのが分かった。
「......痛っ......」
腕に突き刺さる鋭い痛みに耐えられず、色鉛筆を落としてしまう。コロコロと転がっていく色鉛筆を追いかけていった。足にも痛みが増して、よろよろと駆け寄っていく。
向かっていく先には幼馴染みが、転がってきた色鉛筆を拾い上げて呆然として突っ立っていた。
「渡斗とと......色鉛筆拾ってくれたの?ありがとう」
「縁えん、自分が今何しているのか分かってるのか?」
冷たい風が体に突きつける。まだ溶けきっていない雪が、より一層私の体を冷たくした。
......張れちゃったのか。それでも笑って彼に手を伸ばし、話しかける。
「......色鉛筆返してくれる?」
「嫌」
「返して!!!」
大声を出したからか、彼はビクッと体を震わせた。その隙に彼の持っている色鉛筆を奪い取ろうとしたが、その力も込み上げてこない。フラフラと彼の胸に倒れるだけだった。
彼が私の頭を優しく撫でる。その暖かく大きな手が私の体を包み込んだ。
「夜中の11時にどうして高校生が外出している?」
「......離して!」
強く彼を拒絶するかのように、思いっきり突き放そうとする。しかし相変わらず彼は私を離そうとしなかった。
それどころか、私の汚らわしい腕をじっと見ているのだ。
「春先なのに薄着でスケッチブックと色鉛筆だけ持ち出して。家出して公園で一夜過ごそうとかバカなの?」
「......そうね、バカね。渡斗はもう大学生じゃない......」
「とりあえず家来て。公園で過ごすよりマシでしょ」
「......でも......」
すでに家族は警察に捜索届を出しているだろう。もし彼の家で一日過ごしたら、彼に容疑がかかってしまうかもしれない。
「"家出してるなんて知らなかった"ってことにすればどうにかなる。それに見つかる前に家へ帰ればどうにでもなるだろ?」
ふわっと軽いものでも持つかのように、私の体をお姫様だっこし、彼はスケッチブックと色鉛筆を持って走った。
「話聞かなそうだから、家に無理矢理連れてく」
ぎゅっと彼の腕につかまると、彼はさらにスピードを上げて走った。
目を強くつむると脳裏に今までの記憶が流れ込む。パシーンと室内に響く怒鳴り声と恐怖の音。冷たく見放されたキッチン。パチパチと燃える最悪な暖炉。酷く捨てられたミシン。
冷たい風が吹いても、彼の体は暖かかった。そっと身を寄せて呟く。
「また家に帰ったら叩かれちゃう」
「......うん」
「......私、家には帰りたくない......」
今は涙を流すことしか出来なかった。
これから、少し昔の話をしましょう。
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