ダーク・ファンタジー小説
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- ヒトの隣
- 日時: 2017/12/31 11:02
- 名前: 黒飴 (ID: x84wZqnr)
なぜ、どうして。
理由なんて、ない。
ただ、そこにある。
それだけ。
☆訪問者様☆
- Re: ヒトの隣 ( No.1 )
- 日時: 2017/12/31 11:17
- 名前: 黒飴 (ID: x84wZqnr)
いつからそこにいるの。
──ずっと前から
ねえ、あなたは、誰?
なぜ、私なの。
──あなたは、知っているはずでしょう。
何を。
──全ての、真実を。
……
私の目は、いつだって真っ赤だ。
白目? そんなのないよ。
だって、真っ赤だもの。
……真っ赤だと何か不便なの?
「いいえ」
……私は、人間じゃないの?
「あなたは、人間。人間は、みんな同じ。目が赤くたって、同じなのよ。
ただ、消えるのが早いか遅いか、違いはそれだけ。あとは全部一緒。」
……“消える”って?
「それは、すぐにわかる。」
「永眠しました。あなたのお母さん、長く生きましたよ。」
……消えた…。
「お前は、真っ赤で綺麗な目をしているじゃないか。」
……“綺麗”なの?
「当たり前だ。他の子供より綺麗な目だ。」
……お父さんもいずれ、“消える”の?
「そうだな、いずれ、消えてなくなってしまうだろう。」
………
消えた…。
なぜ…、“消える”の?
なぜ…、なくなるの?
──それはね、人間はいつだって死と隣り合わせだから。運命から逃れることなんてできないよ
“運命"?
そんなものから逃れようなんてしてないよ。
──私があなたに近づいたら、逃げたくなるよ。
なぜ。
──言ったでしょ。人間はいつだって死と隣り合わせ。
「最近、赤いのが濃くなった気がするんだよね…。」
福島 茜。
今は平凡な会社に勤め、なんとか生活をしている。
死と隣り合わせ…。
そう言われた日から、もう14年が経つ。
誰に言われたのかは、まだ分からない。いや、分かってはいけないのだ。
ある日、電話の着信音が部屋中に鳴り響いた。
「もしもし」
返事はない。
「もしもし、いたずら電話ですか?」
それでも返事はない。
茜は受話器を思い切り投げた。
すると今度は、携帯にかかってきた。
「もしもし」
「ああ、茜ちゃん。」
今度は返事が返ってきたが、誰の声か全くわからない。
「あの、どなた?」
「忘れたの、ひどいなあ。」
女性ということは分かるが、それ以外はよくわからない。
「どなたなんです?」
「赤坂智子だよ」
「はい?」
聞いたことがない。
一旦携帯を置き、卒業アルバムを開いた。
だが、赤坂智子という人物は学年に一人もいない。
「あの、知らないんですが。」
「そりゃそうだ。だってお互いを見たことないもんね」
ますます訳が分からなくなってきた。
「なんなんですか?」
「私は、簡単に言うと『死』かな。」
「はい?」
また訳がわからなくなってきた。
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