ダーク・ファンタジー小説
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- しゃなり、しゃなりと鈴がなる
- 日時: 2018/02/07 22:26
- 名前: 狐さん (ID: lh1rIb.b)
…何があっても主の仰せのままに。
_「僕、主様のこと…守って見せます。どんなに弱くても、少しくらいはお役に立てるように頑張りますから!」
あーあ。やってしまったよ。
若ぇからって油断しちまった。
ヒトっていうのは弱いもんだぜ…まったく…
帰ってこいよ、目ぇ覚ませよ。
_これは狐と人の悲しき運命を背負った主従関係の話。
( 'ω'o[ 初投稿&小説初挑戦 ]o
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- Re: しゃなり、しゃなりと鈴がなる ( No.1 )
- 日時: 2018/02/08 20:55
- 名前: 狐さん (ID: lh1rIb.b)
しゃなり、しゃなりと鈴がなる
第1話「最初の最初」
僕は手を伸ばす。
ゆっくりと着実に。
呼び鈴をそっと鳴らすと、チリリン…と微かな音がした。
「ふぁぁ…こんな早くに誰だよ…」
すこし、男にしては高めで透き通った声が耳に届く。
しゃりん、しゃりん。
あの方の首元に付けた鈴の音が近づいてくる。
「はいはーい…って、大きくなったな!お前!」
「お久しぶりです、主様。」
_あの方は僕の主。
不老不死の九尾の狐だ。
人の姿をしているものの、ちゃんと耳と9本の尾がある。
先祖代々、この主様に仕えるのが家系としての役目だ。
「ってか、随分と早く来たな。お前が来るのは3年後だったろ?」
「はい。しかし先代が亡くなられたということで、こうして早めに来ている次第です。」
_先代、つまり僕の父は急病のために病床に突っ伏し闘病も虚しく、そのままこの世を去った。
大体は20歳から仕えるのだが、こうした父の他界もあり、17歳になったこの春にここに来たわけだ。
「へぇー。ひとりの時間も案外よかったぜ。やっぱ、世話焼きなのは先祖もてめぇも変わらねぇなw」
と、主様はくすくす笑った。
僕は、ここに来た最大の理由を思い出して主様に告げた。
「主様…ケイヤクの方を…」
「お、そうだったな。わりぃ。」
_ケイヤク、というのは主従関係になるにおいての、すこし難しめな儀式だ。
まず、仕えるものは主となる者に名前を決められ、今後その名が本名となる。
そして、ケイヤクの証となる主の私物を着用する。その物は肌身離さず身につけておかねばならない。
最後に、腕か手首に主の名と家系の紋章が入った刻印を打つ。
といったもので、ひとつひとつの事柄が必ずしも成功するとは限らない。
失敗して命を落とした先祖だっている。
それにまだ若いため、難易度はとても高い。
そのことを知っていた僕は覚悟を決め、ごくり、と息を飲んだ。
第1話 END
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