ダーク・ファンタジー小説
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- 革命の女将軍
- 日時: 2018/02/12 11:00
- 名前: 柚乃華 (ID: ysp9jEBJ)
─────彼女は、最後の女将軍の筈だった。
その忌まわしき血を運ばないために、男を失ったのに。
それも今日までだった。
前女将軍────リリアの後継者は確かに帝国を守りきるために生を得た。
- Re: 革命の女将軍 ( No.1 )
- 日時: 2018/02/12 11:12
- 名前: 柚乃華 (ID: ysp9jEBJ)
「ハルル様、皇帝からお誘いです」
金に縁取られた部屋の中。
私────ドルム帝国の女将軍、ハルル・レイア・ブルームは相手をみた。
皇帝の狗、シャラだ。
またか、と溜め息をついた。
誘いは今日だけで五回。
「五回目の答え、教えてやる」
剣に手をかけると、シャラが目に見えて青ざめた。
嗜虐心を煽られながら、手を離す。
「私は、行かぬ。兄上との子など、産まぬ」
シャラは、従順に部屋を立ち去った。
「っは、面倒くさいな」
愚痴をこぼし、ソファに体を沈める。
女将軍をなめるなと、何時だって言っているのに。
- Re: 革命の女将軍 ( No.2 )
- 日時: 2018/02/12 13:34
- 名前: 柚乃華 (ID: ysp9jEBJ)
政務以外に疲れることがある。
それは、皇帝の世話かもしれない。
我が儘な兄上だ…。
敵国に情けを掛けぬ恐ろしき氷の皇帝。
必ず何かしらの情報を持ち出さぬよう、拷問と死を与える。
それは、もちのろん無料で‥。
「ハルル。俺だ、ヤウズだ」
ふぅっ。
良かった、私の恋人か。
戸を開け、紫の髪を縛ってまとめた、黄色の目の軍人。
そっと唇を重ね、部屋に招き入れる。
「久しぶり。元気だな、怪我は治ったのか?」
私の問いに、ヤウズは乱暴に唇を奪うことで答えた。
彼は、つい先日の戦いで、脚を怪我したのだ。
私は、少し彼に抗い、マント否、ローブをまとう。
「疲れないのか?」
問われ、私は微笑む。
疲れなど。
「いや。疲れてたら、女将軍じゃないだろう?」
「…ハルルらしいな‥。そこが好きで惚れてるけどな」
私は、男のように育てられた。
女将軍の教育として。
- Re: 革命の女将軍 ( No.3 )
- 日時: 2018/02/12 21:28
- 名前: 柚乃華 (ID: ysp9jEBJ)
熱情を交わし、私はヤウズと向き合った。
無駄な筋力のない体。
訓練でついたのであろう、怪我。
そっと傷に指先を当てる。
微かに、ヤウズが震えた。
「治りきってない。訓練、しばらく休みな」
言えば、ヤウズが首を振った。
「無理だろ。俺は、ハルルを守る護衛だぞ?」
そっか。
無理もない。
「皇帝殿の願いは聞き入れないのか?」
私は、嘆息した。
「無理。私には、ヤウズがいるから」
囁けば、彼は赤くなった。
ベッドに潜り込み、明日の予定を考える。
──────一日中、政務か。
疲れを予想し、また、嘆息したのだった。
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