ダーク・ファンタジー小説
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- 小夜時雨
- 日時: 2018/02/25 13:46
- 名前: 咲葵_えんぴつ (ID: DbIaIZWd)
冷たい、暗い部屋に何処からか雨音が
しとしとと響き渡った。
窓も扉さえも無いこの部屋は、
そう……心と表すべきだろうか。
何も見えない。
空気が冷たい。
やがて雨音が大きくなってきた。
何処かとても哀しい音。
透明な誰かの涙。
ぽつり。
小夜時雨は止まない。
──────
どうも、咲葵です。
いや……前作の資料がなくなったんですよね。
だから見つかるまで打ち切りです……とほほ。
その代わりに今作を書くことになりました。
あの……その……コメント、お待ちしております!
して下さると元気になります……!←
で、ででで、では……!
─────────
小夜時雨とは、
夜に降る雨のこと。
小さな夜の時の雨……。
その部屋が、誰の心の中なのか。
雨音が、どうして聴こえるのか。
暗闇の中、静かに答えは浮かぶ。
きっと、今。
小夜時雨は、止まない。
雨の夜は、明けない。
- Re: 小夜時雨 ( No.1 )
- 日時: 2018/02/25 14:30
- 名前: 咲葵_えんぴつ (ID: DbIaIZWd)
- 参照: .
〈回想〉
彼岸花が咲き乱れる時期になった。
どこを見ても、赤で埋め尽くされている。
雨が降った後なので、彼岸花に
透明な雫が付いては輝いた。
少女はそれを眺め、
風が優しくそのスカートの袖を揺らす。
陽はもう沈みかけ、空が橙色に染まった。
また、今日も雨が降るのだろうか。
あの、終わらない雨が。
終わらない夜の中で、静かに。
少女は、微笑む。
濡羽色の髪を膝まで下ろし、
風に撫でられながらそっと。
゜。゜。゜。゜。
- Re: 小夜時雨 ( No.2 )
- 日時: 2018/02/25 14:44
- 名前: 咲葵_えんぴつ (ID: DbIaIZWd)
- 参照: .
〈第一章〉
_雨_
少女は眠る。
窓もドアも無い部屋の中、
ただ穏やかに。
雨水が地面に叩きつける音。
何処からか、聴こえてくる。
何処か懐かしく切ない。
哀しい音。
しとしと、しとしと。
ぽつり。
「ん……」
少女は目を擦りながら、
そっと身体を起こした。
冷たい床はコンクリートだろうか。
此処が何処なのかもわからない。
ただわかるのは、雨が降っていること。
ただわかるのは、空気が冷たいこと。
ただわかるのは、ただわかるのは、
ただわかるのは────?
少女は自らの心臓を押さえた。
胸が痛いらしい。
雨音が大きくなっていく。
きーんとした耳鳴りも同時に。
「…………ッ」
少女はただ、蹲っていた。
心臓を押さえて、目を閉じて。
息が荒い。
ざー……ざあー……
しとしとしとしと。
ぽつん、ぽつん。
ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ。
その音の中で、少女は意識をそっと手放した。
゜。゜。゜。゜。
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