ダーク・ファンタジー小説
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- All ages battle -古今大戦-
- 日時: 2018/04/08 17:24
- 名前: 篠木蛍 (ID: 6SeEpuIV)
ー今も昔も、馬鹿が居るのは変わらない。
けど、今だからこそ、昔だからこそ、大事なものが、見失っているものがある気がする。
【All ages battle -古今大戦-】
[目次]
序 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6
壱
弐
参
肆
伍
弱気な影武者は刀を振るう
>>7
※この物語を読む前に
・この物語はフィクションです。実在する、またはした人物、団体とは一切関係ありません。
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- 序 ( No.1 )
- 日時: 2018/03/30 19:06
- 名前: 篠木蛍 (ID: 6SeEpuIV)
じめじめしていて暑苦しい。
今は1563年。戦の炎がまだ燃え上がっていた時代だ。
ここは上総の森の中。千葉県の南部と言った方が手っ取り早いかもしれない。辺りは暴風と大雨が音を奏でている。
そのなかに、独り静かに佇む男がいた。
「......」
鎧の上に着た赤い羽織が雨で濡れ、風で弄ばれている。そんな事も気にせず、男は空をジッと眺める。
「......神の予言か」
男はソッと呟くと、まるで逃げ出したかのようにその場を立ち去った。早足で。
空は寒気立っていた。
彼は知らない。知る能力もない。
後のこの千葉────『上総』に暮らすものたちが、自分のもとへやって来ることなど。
そろそろ始まる。
2021年の『3人組』と、千葉の将軍『達』の大戦劇が。
君はその物語が、知りたいか?
大戦劇の結末が善なのか悪なのか知りたいか?
- 序 ( No.2 )
- 日時: 2018/04/02 12:40
- 名前: 篠木蛍 (ID: 6SeEpuIV)
今は2021年。東京オリンピックから1年が経った。
「......ふぅ」
とあるコンビニにて、男はため息をつく。外は静かに雪が街に降り注いでいて、とてもロマンチックだ。
「もしオレがコンビニ店員じゃなかったら、今ごろリア充の仲間として、わいわいしてたのかなぁ」
ま、別にいいけどなー、そう言って在庫の整理を始めようとしたとき、自動ドアの開く音に続き、ドタドタと少女と男が入ってきた。
少女はセキセイインコの被り物をした中学生、男は科学者の服装をしている。
「おいっ、俺のパソコンを返せっ!」
「うっせークソババァ!足が無駄に早いんだよ!」
「何億回も言うが、俺は女じゃない、男だ!まだ歳もとってないぞ!」
「25歳じゃん!あと髪の毛長くしてんじゃねぇか!」
「髪の毛が長い=女という常識を捨てた方がいいぞ。とにかくパソコン返せ!」
「や、だ、ねー!」
ギャーワー元気がいい奴らだ。
「おいおい、めいに海奈、ここはコンビニだ。走り回るとこじゃねえぞ」
面倒くさそうに男が2人を呼び止める。すると、少女──めいが男にパソコンを差し出してきた。
「......何これ」
「圭介もアホだなぁ。パソコンに決まってんだろ!あの海奈に取られないようにしろよ」
コンビニ店員──圭介はあ然としてそれを見る。すると、パソコンは科学者──海奈にひったくられてしまった。
「あー......」
「何ガッカリしてるんだ。パソコンじゃなくてめいを捕まえてくれよ」
そう言うと、海奈はパソコンを上着の下のポケットにしまった。
「......別に暴れてもいいけど、デパートの買い物に付き合えよ」
海奈とめいを見て、圭介は大きなあくびをした。
- 序 ( No.3 )
- 日時: 2018/04/02 13:07
- 名前: 篠木蛍 (ID: 6SeEpuIV)
圭介のコンビニ活動が終わり、一同は車に乗り込む。
「なーんで私がこんな目に......」
「『私』だけじゃないだろ」
後ろの席でめいと海奈が話している。なんだかんだで2人とも、仲は良い。
「コンビニで思う存分暴れたんだ、その代償だ」
圭介がそう吐き捨て、車のハンドルを握る。
「そんじゃ、行くぞー」
アクセルを踏み、一行はコンビニの駐車場から抜け出した。
時は約450年前に巻き戻る。
「今日も雨だー」
「外で遊べねー」
まるで滝のように降る雨を、村人達は不安の目で見ている。
そのなかに、1人家から出ようとする子供と、その子供をひき止める母親がいた。
「ちょっ、母ちゃん放せやい!」
「こんな雨のなか遊ぼうとする馬鹿がどこにいるってんだい!」
「義明と遊ぶんだもん!」
「まーた義明様の時間を盗りおって......なーに考えてんだい!」
「遊ぶんだぁい!!」
じたばた暴れる子供にカチンときたのか、母親は子供の頭を一発叩いた。
パチン、と音が響く。
「義明様は忙しいんだよ!少しは考えれ!」
母親に厳しく言われ、子供は泣き出してしまった。
その子供の泣き声をかき消すように、遠くから雷鳴の轟く音がした。
時代は再び2021年へ。
「よし、ここだ」
車から降りて、圭介は大きくそびえ立つデパートを指差した。
「ちゃんとポテチ買えよ」
めいが口を尖らせる。圭介はハイハイと適当に返すと、デパートの中へと入っていった。
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