ダーク・ファンタジー小説
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- 縋這記
- 日時: 2018/04/17 00:46
- 名前: 黄金蛙 (ID: KwIJCRrJ)
協調性が最も重要視される日本の現代社会。人々は必死に互いを理解しあう為、自らの"個性"を削ぎおとしていった。
これは、そんな時代にそれを手放せなかった愚かな少年少女の物語。
【縋這記】〜ソウハイキ〜
1話〜孤独〜
- Re: 縋這記 ( No.1 )
- 日時: 2018/04/21 22:36
- 名前: 黄金蛙 (ID: KwIJCRrJ)
「…………。」
私には、妙な趣味があった。恐らく誰にも共感してもらえない、おかしな趣味だ。
朝、私が教室に入ると、早速クラス全体(来ていたのは10人くらいだった)がわざとらしくザワついて、やがて笑い始める。ニヤニヤと。どこからかは、
「やめてあげろよぉ」
と、本心をガン無視したような声が聞こえた。
そう、私はいわゆるいじめられっ子だ。だが、私は普通のいじめられっ子とは違う所がある。それこそその変わった趣味に繋がるのだ。
私は、“作戦“を実行するために、ふと息を整えた。そして、
「ふーんふーんふふーん」
鼻唄と同時に、軽くスキップを決めた。
クラス全体がしらけているのが分かる。目線が全てこちらに注目している中、私はわざとらしく「おはよ」と完璧なスマイルを決めた。
ごく普通(?)の事をして、自分の席に座る。そして周りを見る。
すると、さっきまでの笑い声が恨み節に変わっていた。
「ウザ。」とか「キモい。」だとか。陰口の嵐が巻き起こっていた。
男子ですら、時々こちらを見て「何アイツ」とか言っている。
その顔々はどれも憎悪に染まっていた。
そして私は、その声や表情、その全てが………
心地良かった。
人を嘲笑し、見下し、そして蹴落とすという醜い心を持つ多くのクラスメート達が、とても不快そうな顔をしていること。その事実に私はとてつもない幸福感を抱く。何故そんな事が分かるか、そして、この"趣味"に気付いたのはいつか。その答えは3ヵ月前、入学当初に遡る…………。
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