ダーク・ファンタジー小説
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- 秘密の魔術師サマ!2
- 日時: 2018/07/15 18:25
- 名前: イロイロ (ID: 8JqBY5nj)
あの時から…もう7年は経っているんだろうか俺は、キラリ、ルキヤと共に成長していった。
今はみんな16だ。
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キラリ「今日の依頼無いのかなぁ…無いなら遊びに行きましょ!」
ルキヤ「遊びに行ってるうちに誰か来ますって…」
キラリの長くなった薄紫の髪は相変わらず癖毛でふわふわくねくねしている。細いジト目は眠さでもっと細くなっている。
ルキヤは…オレンジのツンツン髪で、転生するならそれが良かった!と思う髪型だった。
パッチリとした元気な目をしている。
キラリ「おーい、ゼルフ起きてるー?」
ゼルフ「ごめん…ぼーっとしてた。俺ら、出会ってから7年経つんだなって…」
キラリ「そうだね…団体の事務所も大都市に立ち上げたんだからいつ死んでもいいね」
ゼルフ「…俺と出会って…3日経ったら…キラリが「そうだ!団体組まない?」って言い出してキラリルフ支配兵になったんだったな…。」
キラリ「その事はわすれてぇっ!うぅ…」
ルキヤ「おやおや…キラリを泣かせたのかな?あとでお仕置きだ!」
ルキヤが変なテンションになったところで俺は…
ゼルフ「はっ?思い出に浸っただけだったのに!」
ルキヤ「はいはい、ストップー朝ごはんだよ!」
次々に並ぶ少しだけ豪華な朝ごはん。
少し語るが、エイヨウレッドだけじゃなくてエイヨウグリーンとかエイヨウイエローなんかがあるみたいなんだが…今日の味噌汁に加えられているのは…一番硬いエイヨウイエローを頑張って溶かしたものらしい。
次に…ハッピーバードから取れるハッピーエッグを焼いたもの…エッグフレイム…あっちで言えば目玉焼きみたいなものかな。
んで次に、氷点下の街にしかできないフローズンフルーツって果実が添えられて食卓が光り輝く。
ゼルフ「うまそう!いただきます!」
ルキヤ&キラリ「いただきます!」
まずは味噌汁から…エイヨウイエローは硬いものの少し甘みがある。なので味噌汁の味気を増やして面白い味にしてくれる。
ハッピーフレイムは…正直ソルトをかけるとまずくなるものだ。だが黄身も白身並みにふわふわしているので何もかけずに食べるのがベスト。
フローズンフルーツは…歯にへばりつくんだが…シャリシャリと氷を噛んでるような食感が癖になり、一切れ二切れと口に運びたくなる。
キラリ「む…美味しい…悔しいから明日の朝ごはん担当は急遽私よ!団長の言う事は絶対!」
ゼルフ「明日…来るな…来るなぁッ!」
エイヨウシリーズを焼いた中途半端すぎる朝ごはんが流れて来る、そう思って明日が来ないように祈る。
ルキヤ「まぁ…キラリに任せようかな…ゼルフくんはキラリ以下の料理しか作れないからね…」
キラリ「そういえばルキヤ、明日の早朝から戦長として合戦に出るんだっけ…やっぱりアタシがいるんじゃない?」
合戦…あの時見た悪夢のような戦か…7年共にした仲なのだから簡単に死んでもらいたくはない。
ゼルフ「俺…行っちゃダメか?戦力はキラリの次に優秀だ。1人で留守番もキラリならやれる筈だし…2人で軍隊…って言うのか?を守らないか!」
ルキヤ「これは…僕が決めた事だ。戦長が2人なんて許された事じゃないし。」
…沈黙が続く。言い返す言葉が見つからない。今日の間に…なんとか生きられる確率を高められないか!
(ピーンポーン)
ルキヤ「あ、すぐ出ます…って隣のおばさんじゃないですか!」
隣のおばさん「こんにちはね!ルキヤくん!依頼があって来たのだけれど…」
ルキヤ「よければテレビ前のソファーにどうぞお掛けください」
キラリ「どんなご依頼ですか!おばさん!」
自分は一礼をする。
隣のおばさん「元気ねぇ…実は…一昨日ぐらいに、廃墟の隣に住んでいた女の方が…いなくなられまして…捜査しても見つからなかったんです。次にその方の隣の方の奥様もいなくなられて。どんどん行方不明が相次いでいるんです。
その外因を解いて頂きたくて…」
緊張するが…一言。
ゼルフ「廃墟の位置をこのマップに印してくれませんか。」
「この辺かしら」と言いながら赤い丸を描いてもらった。そこは…馴染みのある場所だった。
キラリ「此処…ゼルフくんが最初にもたれかかってた壁のお店じゃない!?」
隣のおばさん「あら…知っているところだったのね…良かったわ…あの場所は此処の街の中央部なの。昔から戦が激しかったから…慣れてないとすぐに打たれたり切られたりしてしまうの。」
ゼルフ「丁度あの地をもう一度訪れたいと思っていたので…ついでに観光もしていきますね。」
隣のおばさん「じゃ、依頼頼んだわよー」
そう言ってドアを開け…帰っていった。
ルキヤ「ゼルフくん、観光するなら気をつけないといけないよ…あの場所はもう、廃墟でいっぱいなんだ。朝でも昼でも夜でも戦が行われる殺し合いの地とも呼ばれてる。今までと同じ神秘的な光景なんてどこにも見られないんだよ!」
ゼルフ「思い出を辿りたいだけだよ。危険ならば助けてくれればいい。それだけでいいだろ?」
ルキヤが言いたかったのはそんな事じゃない。そんなのもう分かっているが。
キラリ「朝から張り合ってるね。出発準備しよ?」
ルキヤ「そう…だね。」
調査ノートと緊急時の補給ドリンク。それらをリュックに詰め、出発した。
移動手段はやはり徒歩。バスなんかは詐欺に近いらしい。
キラリ「寒いね。チョッキとか持って来た?」
ゼルフ「俺…持って来てねぇんだ。」
キラリ「寒かったら予備をあげる。部屋が遠かったから言えなくてごめん!」
よほど遠いわけでもなかったが…キラリがどう思っているのか分からない。
ルキヤ「着く前に食堂に寄ろうか。着いたらもう食堂がないかもだからね。」
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キラリ「ついたぁっ〜っとその前に食堂探しだったね!」
ゼルフ「マップを確認すれば此処からひたすらまっすぐ行けば洋食屋さんがある。ルートも簡単だし…今日はそこにしないか」
ルキヤ「分かった。ゼルフくんの好きなようにすれば良いんだ。」
ルキヤがこちらを睨んでいる気がする。だから…一声。
ゼルフ「悪い…なんか気に障ってしまったならルキヤの選んだ所言えよ。」
ルキヤ「別に良いよ。ゼルフくんの好きな所で。」
本当にいいのか、分からない。
確かルキヤがマーケティングしていた食堂は、三つ星食堂だったはずだ。その店のシェフにインタビューしたかったらしい。
これからの食事をより美味しくしようとしてくれているのだから…ルキヤの行きたい所で良いんだが…
キラリ「お腹空いたよー…2人とも仲良くして欲しいのに!」
ルキヤ「ごめん、すぐ行こうか。ゼルフくん、この道をまっすぐで良いのかな?」
ゼルフ「……あ…そうだ。」
…ルキヤが行きたいといった場所は、一皿2000円からの食堂だった。予算もあるというのに、何を考えているんだろう。
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ゼルフ「ダークテインステーキと」
キラリ「ラビットパンケーキと」
ルキヤ「戦場散らしを。」
店員「ダークテインステーキ1つと…ラビットパンケーキ1つ。戦場散らし1つで宜しいですか」
キラリ「はい!」
ルキヤが戦場チラシを頼んだ…本当は戦長になんかなりたくなかったんではないか。
ゼルフ「なぁルキヤ…何か怒ってるか?怒ってないなら話があるんだが…」
ルキヤ「怒ってない、怒ってないよ。今は」
ゼルフ「合戦の話なんだが…」
ルキヤ「…!?」
ルキヤの目が一瞬にして鋭くなる。
ゼルフ「サブ団員としてなら…行けるか…?ルキヤが死ねばキラリは凄く落ち込むし、ご飯も食べなくなるかもしれない。」
ルキヤ「僕が…絶対的に死ぬって言いたいのか?仲間は現在世界を制覇している団体なんだぞ!?戦力が足りないことは絶対に無いんだ。」
ゼルフ「1人だけがキラリルフ支配兵なら…裏切られたりしてもおかしく無いって考えないのかよ!」
ルキヤ「ッ…!」
これから絶望が始まるのだと。そう悟っている気がする。