ダーク・ファンタジー小説
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- 人狼ゲーム Blackie
- 日時: 2018/07/25 19:26
- 名前: 雨風レイン (ID: OZxqQ4OG)
カメラの向こう側。
プレイヤー達と運営達の両方から描かれる物語。
血と、憎しみと、愛と。
全てが混ざりあった中でのゲーム。
【人狼ゲーム Blackie】
今、幕が上がる。
- Re: 人狼ゲーム Blackie ( No.1 )
- 日時: 2018/07/25 19:40
- 名前: 雨風レイン (ID: OZxqQ4OG)
【B】
モニターに映る、11人の少年少女。
わめく者、呆然とする者。
なんど見ても面白いものだ。
もちろん、自分が異常だってことぐらい知っている。
じゃなきゃ、こんな狂ったゲームの運営なんてやってられない。
命懸けの、人狼ゲーム。
拉致した高校生に首輪をはめ、無理矢理人狼ゲームをやらせる。
犯罪以外の何物でもない。
それでも、まだ警察は気づかない。
間抜けなものだ。
こんな大掛かりな犯罪に気づきもせず、のほほんと暮らしている。
「結愛、全員目覚めたみたいだ。ルール説明頼むぞ。」
悠が分かりきったことを口にした。
マイクに口を近づける。
「人狼ゲームの始まりです。」
モニターの中の少年少女が呆然としていた。
これだから、やめられない。
- Re: 人狼ゲーム Blackie ( No.2 )
- 日時: 2018/07/25 23:20
- 名前: 雨風レイン (ID: OZxqQ4OG)
「それでは皆さん、健闘を祈ります。」
長々とルールを説明したら、私の仕事は終わりだ。
また楽しいゲームを見るだけだ。
モニターの中であたふたする少年少女達。
なんど見ても飽きないし、嫌にもならない。
「今回は、どうなるんだろうねぇ。」
「さあね。面白いゲームを期待するわ。」
時計の針は6時を指している。
後二時間で最初の投票だ。
楽しみね。
誰が選ばれるのか、選ばれた人はどう死んでゆくのか。
「結愛、またにやついてるぞ。」
失礼、私としたことが。
唇をきゅっと結んで、またモニターに目を移した。
食堂からは、誰もいなくなっていた。
廊下を映すモニターに、移っている。
探索かしらね。
まぁ、毎度の如くと言いますか。
ぞろぞろと廊下を進み、作業的に中を確認していく。
パレードの劣化版のようだ。
そのパレードは10分ほどで終わりを告げ、またプレイヤー達はてんでんばらばらになっていった。
「今回は、誰に期待してる?」
悠が聞いた。
彼は、私の幼馴染み。
「そうねぇ、浅田とかいう子ね。」
「どっちの?」
そうだ、今回は浅田が二人いるんだった。
「女の子の方よ。あんた、あの子にはどの役渡した?」
役職の決定権は私達にある。
それをネットの裏サイトで見た奴等が、予想するのだ。
所謂、賭けである。
「女の子の浅田…、あ、人狼だね。」
人狼ね…面白くなりそう。
また笑みがこぼれる。
今夜は眠れそうにない。
- Re: 人狼ゲーム Blackie ( No.3 )
- 日時: 2018/07/26 14:21
- 名前: 雨風レイン (ID: OZxqQ4OG)
【P】
目が覚めたのは、固い椅子の上だった。
別に絶望なんてない。
前回の終わりに聞こえた「前半戦」という言葉で分かってはいた。
首もとに触れてみた。
やっぱり、金属製の首輪がはめられている。
何人、いや何十人がこの首輪に絞め殺されたのだろうか。
わからない。
『人狼ゲームの始まりです。』
突如スピーカーが喋りだした。
これも前回通り。
後々怪しまれると面倒なので、一応慌てた体を装う。
全部知ってるのに。
それでも、他の奴らは慌てふためいている。
全員知り合いだった。
私の左隣、理科が得意な「浅田蓮」。
そのまた隣、ドSな「藤田湊」。
そして、おしとやか美人な「香澄優香」。
ビビりな「菅原優真」。
ヤンキーな「黒沢葵」。
ぶりっ子お嬢様「早乙女美桜」。
黒沢の彼氏「河野大希」。
インテリな「東原樹」。
イケメンらしい「桜葉翔」。
留学生「アリア・ホワイト」。
最後に私「浅田未来」。
今回は、このメンバーで人狼ゲームをする。
『それでは、皆さん役職を確認してください。』
いいタイミングだ。
椅子の裏の封筒を剥がして、胸の前に持ってくる。
カードに描かれていたのは、狼の絵。
開かれた口からは血が滴り落ちている。
『人狼』ということだろう。
楽しみだ。
心のなかでニヤリと笑い、またあわてふためく皆を見渡した。
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