ダーク・ファンタジー小説
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- 死亡日伝達員
- 日時: 2018/08/14 03:42
- 名前: おーちゃん (ID: kfsDt.o/)
死亡日伝達員とは?
自分が死ぬ日を死亡日伝達員が宣告した、翌年のその日にその人の魂を死後の世界に連れていく人のこと。
言うならば、魂を狩る日を宣告する死神のようなものである。
っていう設定を頭にいれておいてください。
- Re: 死亡日伝達員 ( No.1 )
- 日時: 2018/08/15 02:21
- 名前: おーちゃん (ID: kfsDt.o/)
第一話
[酷い夫 前半]
ある病室で[田原結子]という名の老人が病室のベッドで横になっていた。
彼女はある日、重度の胃ガンであると医師に言われ、それからというものずっと入院生活である。
そんな彼女にはある困った事情があった。
それは[田原雅人]という実の夫である。
彼は酷い夫だ。
いつも短気な上に頑固な老人で、親戚や近所に嫌われていた。
そして今でも自分が入院している間、一つも顔を出さないのである。
すると病室のドアからノックが聞こえてきた。
彼女は[どうぞ]というと、病室のドアが開いた。
そこには黒いレインコートを着て、クリーム色のトートバッグを肩にかけた小学生のような見た目の少女がいた。
[あなたは?]
結子がそういうと少女は間髪入れずにこう言った。
[あなたが(田原結子)ね?]
結子はギョッとなった。
それもそのはず、名も知らない子供が何故か自分の名を知っているのだから。
[あっ、そうそう自己紹介を忘れていたわね。私はこういう者よ。]
その少女はたどたどしくトートバッグを開け、名刺を渡した。
そこには(死亡日伝達員 サユリ)と書かれていた。
[はじめまして、私は死亡日伝達員のサユリよ。]
[今日は貴女が死ぬ日を伝えに来たのよ。]
[わ、私が死ぬ日を...?]
結子は首を傾げた。
[えぇそうよ。貴女は翌年の今日、9月8日に病死するのよ。]
[病死...]
結子はあまり状況飲み込めなかった。
急に自分の事を(サユリ)と名乗る少女が自分の病室に入り、そして自分がどの日にどういう風に死ぬのか言い出す始末、そんな状況下を飲む込めるわけなく、結子は只のその場で呆然としていた。
[っていう事だから、それじゃ...]
[ま、待って。]
結子は帰ろうとするサユリを呼び止めた。
[あなたは一体、何者なの?そして、私が死ぬってどういう事?]
それに対してサユリはそっぽを向き、こう言った。
[そんなの貴女が知ってどうするのよ。]
[え?]
サユリはそのまま病室のドアへと歩いていった。
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