ダーク・ファンタジー小説

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Loveでは簡単すぎるから
日時: 2018/09/17 20:44
名前: 流聖 (ID: 8vMNebk7)

Loveでは簡単すぎるから

衝動的に書いたものです。短いです。

Re: Loveでは簡単すぎるから ( No.1 )
日時: 2018/09/05 06:28
名前: 流聖 (ID: H65tOJ4Z)

「ここ、どこ?」

目覚めたら私はカプセルに入って知らない場所にいた。簡素な部屋だ。私が入っているカプセル以外は何もない。でも埃やごみは一切なく、こまめに清掃をしていることがわかる。私の知らない場所だ。
何故私はここにいるのか。
最後の記憶は、学校の教室でやり忘れた宿題をしていた。そのうち眠くなって寝てしまったのだ。だというのにどうしてこんな所にいるんだろう。雪乃斗星(ゆきの とせい)15歳。うん、ちゃんと覚えてる。友達のこと、家族のことだって思い出せる。記憶喪失ではないはずだ。しかも最後の記憶の中の私は制服だったが、今は水色のワンピースを着ていた。

とにかくここを出ねば何も始まらない。
私はひとつしかない扉のドアノブに手をかけて回してみる。ガチャリ。鍵はかかっていないみたいだ。私はそっと扉をゆっくり開けながら外を見る。廊下と二つの扉が見えた。人の姿は見えない。声も聞こえない。それどころか物音ひとつしない。
ここを出ないと何も始まらないと思ったけど、出ても始まらない。むしろ謎が深まるばかりだ。

もっと冷静に考えてみよう。
気温は普通。暑くも寒くもない。エアコンはあるが、ついていない。物音ひとつしない、ということは人がいない?もしくは睡眠中。睡眠中だとすると、今は夜中ということだろうか。近くに時計はない。窓もない。床と壁は硬く白いタイルでできている。私の最後の記憶は2018年の9月頃だった。今は?2018年と違うものは──カプセル。カプセルに入って寝ていたなんておかしい。普通はベッドとか布団の上だろう。2018年にカプセルに入って寝るなんて流行はなかったはずだ。よく見たらカプセルは複雑なつくりになっているようだ。今は2018年じゃないのかな。

ここはいつ、ここはどこ、何故私はここにいるのか。全くわからない。私はただ教室で寝ていただけなのに。私、一体どれくらい眠ってた?とにかく違う部屋に行ってみよう。私は一番近い部屋に入った。鍵がかかっていない所からして警備は手薄なようだ。部屋には1人の女の子がベッドの上で読書をしていた。

「…春吉はるち?」

おさげの長い黒髪、華奢な体、素朴な顔立ち。一目見てわかった。同級生であり、友達でもある春吉だ。全く変わっていなかった。背丈も顔も私が最後に見た春吉と一緒だ。

「斗星ちゃん?」

私が春吉を呼ぶと、春吉も驚いた顔で私を見つめた。その控えめで可愛らしい声も、春吉そのものだ。

「は、春吉、ここどこなの?」

春吉なら知っているかもしれない。春吉はテストで80点以上をいつも取るし、いろんな事を知っている。春吉は頭がいい。私は仲間がいたことが嬉しくて泣きそうになりながら春吉に尋ねた。

「斗星ちゃん、やっと起きたんだね。よかった。」

春吉はそう言って私をぎゅっと抱き締める。春吉からハグしてくるなんて珍しい。よっぽど嬉しかったのかな。でもやっと、ってどういうことだろう。私が寝てるの知ってたなら、私より先に起きてたってことだよね。

「やっと、ってどういうこと?」
「皆ずっと待ってたんだよ。斗星ちゃんが起きるの。」
「皆って?」
「私とモナカ君とみたこ君と蓮華れんげさん。蓮華さんていうのは先生みたいな感じの男性なんだけどね。」

モナカとみたこは同級生だから知っている。でも最後の蓮華さんて誰だ。聞いたことがない。それよりもいっぱい聞きたいことがある。

「ねえ、ここどこ?今はいつなの?何で私達ここにいるの?モナカとみたこはどこにいるの?」
「待って待って、ちょっと落ち着こう。ここは家で、今は2100年。斗星ちゃんは昨日から熱出しちゃって起きなかったの。覚えてない?」
「は?え、どういうこと?そんなの知らないよ…」

2100年…私82年も寝てたのかな。それとも記憶が抜けてるとか。だとしても自分の体が全く老けていないのはおかしい。

「とにかく、皆に知らせてくるから、斗星ちゃんここで待っててね。」

春吉はそう言って部屋を出てしまった。私は春吉が戻ってくるまでただ呆然と立ち尽くすだけだった。


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