ダーク・ファンタジー小説

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探偵と異能力
日時: 2018/10/18 20:57
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

探偵社にやってきた司馬遼香の特徴は黒のショートヘア、華奢な体付きということ。

異能力【街道をゆく】幾つかの力があり、ありとあらゆるものから浮き、見て触れたものを

作るという少々チート染みた力を持った彼女が様々な事件を解決していく。

Re: 探偵と異能力 ( No.3 )
日時: 2018/10/20 10:33
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

遼香「マフィアなんてホントにいるんだね…」

遼香は資料を捲っている。

晶恵「そういえば乱歩さんは?」

水戸川乱歩、異能力【探偵四十年】彼の頭の回転はかなり速く、探偵社全体ではその推理を

異能力【探偵四十年】と称している。

宮下「あの人はまた別の事件に行ったよ。なんてったってここの要だからね!」

宮下賢治は自分のことではないが自慢げにそう言った。

遼香「(頭の回転が速い…私はほとんど直感だからな〜)」

残念なことに犯人を見事当てることが出来るような頭脳は持ち合わせていない。

遼香の胸ポケットに入った携帯が鳴る。携帯を見るとそこにはメールが何件か入っていた。

「すみません」遼香は一言そう伝えメールを開いた。

『ゴメン!急ぎの用があって、お願い!助けて!——』

友人のメールには写真も載せられている。遼香の顔が青ざめるのと独歩の報告はほぼ同時。

****

独歩の運転する車を飛び降り遼香は目的地まで走る。

独歩「オイ遼香!ちょっと待て、そのまま突っ込む気か!!」

遼香は携帯を見せる。動画や写真が載っていた。

遼香「忠岡志希さんは異能力【歌よみに与ふる書】念写・サイコメトラーで、石川啄理くんは

異能力【一握りの砂】無機物や生き物の様々な声を聞き取ることが出来ます。だから啄理は道や

風とも会話できるし何か迫っていれば察知してるはず…」

独歩「そんな異能力者が…急ぐか」

Re: 探偵と異能力 ( No.4 )
日時: 2018/10/19 21:37
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

独歩「オイ一人で大丈夫なのか?」

独歩は一人先に行く遼香にそう聞いた。

遼香「私は探偵社の一員になった以上、危険だってことは分かってる。それでもこんな私に

付き添って背中を押してくれる友人が今、危険なんだよ。だから次は私が助ける番!」

その背中は頼もしく、透けていった。静かに扉が開き閉じた。彼女が無事に戻ってくることを

彼は祈るしかなかった。

****

手を縛られた数人の人質の中に石川啄理と忠岡志希は隣同士で座っていた。

忠岡「啄理、どうだ?」

石川「確か遼香の異能力の一つに存在感を消す能力があったはず、姿は見えないけど

誰かがこっちに向かってきてるってこの辺りの奴らが報告してきた」

石川は辺りを見回す。

忠岡「そうか…遼香、無事だろうな…」

石川「今は彼女を信じるしかないでしょうよ。俺は信じるぜ、志希もだろ?」

忠岡は微かに微笑み、当たり前だと頷く。

扉が開き一人の少女が駆けてくる。それは司馬遼香だ。

作り出した短刀で一人ずつ順番に綱を切って開放していく。

忠岡「間に合った、みたいだね。遼香」

遼香「遅くなってごめん、でも無事でよかった」

忠岡「なら急いで抜けよう。そのうち犯人も僕たちのことに…ッ!!?」

忠岡が何かを察知、石川も頷く。

石川「何かがこっちに来てる…」

遼香「私が相手のほうは担当する、なるべく早く皆を外へ!石川さん、道案内をしてあげて!」

遼香の言葉を信じ彼らは彼女を残し、出口を目指す。

一人残った遼香は忠岡志希の念写で写された写真を見る…そこには黒いロングコートを着た

男が映っている。彼の服の形は不自然だ、恐らくそれは異能力だろう…。その男と遼香は今、

対面する。

Re: 探偵と異能力 ( No.5 )
日時: 2018/10/20 08:34
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

遼香は資料の中にあった人物と男がばっちり重なることが分かった。

遼香「確か芥川龍介」

つい最近、国枝独歩や与謝野晶恵たちに警戒するよう言われた芥川龍介という男だ。

クロス・マフィアという組織があり、そのマフィアの幹部だという。

芥川「見たことがないな探偵社全員の顔、全て俺は覚えているぞ」

遼香「貴方が覚えているのは過去の、でしょ?私は最近、入ったばかりの新人だよ。新入りの

司馬遼香…あんな沢山の人たちをここに閉じ込めたのは貴方ですか?」

遼香は芥川を見据える。強い言い方など遼香にはできない。

芥川「実行したのは俺だが、そうしろと言ったのは首領でな。なんでも変わった異能力者が

いるから何としてでも確保しろと言われた。それも川端幸成とかいう男を知っていると

いうじゃないか」

川端幸成、その名前に遼香は反応する。顔に出ていたのか彼は「成程お前だったか」と呟く。

芥川「異能力【邪宗門】」

遼香「異能力【街道をゆく】」

遼香の体がフワフワと浮いていく。それは風船のように…。

遼香は芥川の背後に蠢く黒い獣を見据える。服を依り代のようにし獣を実体化する。特に

この場所は薄暗いため目を凝らさなければ姿を見ることができない。その獣は遼香に牙を向く。

獣の引っ搔き攻撃、噛み付き、それを躱しながら後ろに下がっていく。

芥川「随分と目が良いようだな」

遼香「そこまでじゃない。私は護るために来ただけだし…無駄に怪我を負うつもりも無いよ」

遼香が目を付けたのは近くの大きなドラム缶だ。

石川『大きなドラム缶にはガスが詰まっているからもしかすると目くらましに使えるかもしれない』

と言っていたのを思い出す。遼香は地面に降りドラム缶を盾にする。邪宗門はドラム缶を破壊し

同時にガスの煙が辺りを包む。

芥川「煙、か‥‥」

Re: 探偵と異能力 ( No.6 )
日時: 2018/10/20 12:51
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

遼香「太宰さんが捕まった?どういうことですか?」

福田「そのままだ。君の友人に念写ができる者と無機物、生物の声を聞き取る者がいるな?

少し彼らの力を借り、情報を貰った」

遼香の携帯が鳴る。メール画面には写真とメッセージが入っていた。

その二つのメールは似たような内容だ。

与謝野「成程ね、遼香の異能力なら敵陣にそのまま入っていける。だって存在感を薄くすることも

出来るんでしょ?」

遼香「…結構前に、この能力のことを幸成さんは色々説明してくれました。街道をゆく、街道は

この世界に沢山ある。私がパレットなら能力は絵の具、と…」

乱歩「よーし太宰君のことは遼香ちゃんに任せた」

全員が「賛成」と同意する。遼香も仕方なく了承した。

遼香「じゃあ早速行ってきます」

賢治「頑張ってね〜」

潤一郎「賢治さん…そんな軽い気持ちで言わないであげてくださいよ」

奈緒「お兄様の言う通りですよ。遼香ちゃんは万能じゃないんですから」

「ところで」と独歩は話し出す。扉の前には一人の少年が立っている。中島宗志、

異能力【山月記】身体強化能力、賢治とは全く違い、人間離れした再生力や腕力を発揮する。

独歩「宗志しっかり連れてきたんだろうな?」

宗志「はい、こちらに」

宗志が扉を開くと赤いネクタイを緩く締めた青年が姿を現した。

晶恵「まさか社長が言っていた協力者ってのは…」

乱歩「驚いた」

三島由紀斗、異能力【サド侯爵夫人】多重人格、人格によって得意分野が変わっていく。普段、

今の由紀斗は特に記憶力が良い、だが他の由紀斗、例えば怒の由紀斗は体術に秀でる。

由紀斗「久し振りですね。福田諭吉さん?俺に協力を頼むなんて相当のことなんだろう?」

後ろ髪が伸びる、それは嫌悪の由紀斗に変わった合図だ。

福田「マフィアと戦うことがあるかもしれない。手を貸せ」

由紀斗「けっ!そんなことのために俺を使うのかよ…」

福田「兎に角、手を貸せ。今現在、マフィアに連れていかれた太宰を司馬遼香が連れ戻しに

行った。お前は彼女に親切にしてもらったのではないのか?」

後ろ髪が短くなり髪がペタリと下に垂れ前髪が伸びた。悲の由紀斗が現れる。

由紀斗「うぅ…り、遼香ちゃんが?遼香ちゃんがな、なら僕も…」

Re: 探偵と異能力 ( No.7 )
日時: 2018/10/20 15:05
名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)

手錠が嵌められ鎖で繋がれた太宰は周りを見回していた。不潔な地下だ。

太宰は足音のほうを見て「げげっ」と思わず声が出てしまった。黒ずくめの服装、黒い帽子を

被った小柄な男は太宰を見る。

太宰「中也…うわぁ(小声」

外原中也、重力を操る【在りし日の歌】を扱う体術使いだ。そして太宰とはかなり関わりがある。

中也「良いザマだな、太宰?」

太宰「相変わらずその喧嘩腰染みた口調と態度は変わらないみたいだね中也」

中也「言ってろ。お前、わざと捕まったんだろ?何のためだ」

その質問に太宰は答える。

太宰「司馬遼香ちゃん、あの川端幸成の養子みたいな子さ」

中也「遼香…幸成…」

舌打ちし中也は太宰の鎖を外してしまった。逃がすことが目的ではない。

中也「ここで今までの借りを返してやるよ」

挑発気味に中也はそう言い不敵な笑みを浮かべる。先に動いた中也のまっすぐ伸びた腕を掴み

太宰は掴み膝蹴りを入れる。

中也「腕が落ちたんじゃねえか!」

太宰「ッ!!?」

中也の拳が太宰にめり込み、中也よりも背の高い太宰が壁まで吹き飛ぶ。隙アリと中也は

攻め込む。何回か攻撃を受けるが太宰は笑みを浮かべ余裕を崩さない。

中也「どういうつもりだ太宰。随分と余裕そうじゃねーか」

太宰「見えるものが全てじゃない。探偵社にもついに透明人間がやってきたからね、ほら中也の

背後にも…」

中也が振り向くのと遼香が姿を現すのはほぼ同時、そして彼女が中也の喉を突くのとそれに中也が

気付くのもほぼ同時だ。


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