ダーク・ファンタジー小説

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残虐な僕の事を・・・
日時: 2019/02/18 11:39
名前: ケルベロス (ID: wsTJH6tA)

 『残虐な僕の事を』
 この物語は、愛を知らない少年がいろいろな人と知り合っていくことで愛とは何かを知っていく物語です。

Re: 残虐な僕の事を・・・ ( No.1 )
日時: 2019/02/26 12:29
名前: ケルベロス (ID: wsTJH6tA)

 第一話『日常』
 日本国憲法第九条『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない』。


 【二〇十一年六月二四日 滋賀県長浜市】
 バーガチェーン店でレタスバーガーのセットを片手に、週刊誌『RABBIT』を読んでいた俺は、ある記事に驚いた。
 『中国が新たな化学兵器を実験。OPCWも警戒か』
 またアホなでたらめを……俺はバーガーをかじった。
 俺はスマホで時間を確認しようと思い、電源をつけようとしたがつかなかった。充電が切れたか?
 すると轟音を鳴らしながらサイレンが町中に響く。一気に静まり返る店内。俺は店を急いで出た。
 「電磁パルスが日本に発射されたらしいぞ」
 「嘘?私たちはどうなるの」
 住民が混乱している状況が痛いほど分かる。歩道で座り込んでいる男性や、家族連れで必死になって走っている人もいた。
 なぜこんな状況になっているんだ。俺はゆっくりと上空を見上げた。
 おびただしい数の戦闘機に言葉を失った。
 戦闘機が爆弾をゆっくりと落としていく。いたるところで爆発音が聞こえた。
 俺は必死に逃げた。生きたい。死にたくない。
 あれは自衛隊だろうか。日の丸が描かれた戦闘機が爆弾を落とした戦闘機に向かっていく。
 一気に爆風が広がった。俺は飛ばされて瓦礫に頭を打ち、気を失った。

Re: 残虐な僕の事を・・・ ( No.2 )
日時: 2019/02/28 14:36
名前: ケルベロス (ID: wsTJH6tA)

 第二話『戦争』
【二〇十一年六月二四日 滋賀県長浜市】
 痛みに耐えながら俺は覚醒する。
 周りを見渡すと燃え盛る店や町、田んぼが嫌になるほど目に入ってくる。雪はもうやんでいた。
 踏ん張って歩き出すと死体がそばに転がっていたのに気づいた。初めてみた死体は何とも異質だ。俺はそばで吐いた。
 それでも俺は歩き出す。ゆっくりと一歩ずつ。確実に歩く。
 日が暮れようとしているのがわかる。もう夕方だ。夜になるまえに早く避難しなくちゃいけない。
 歩道を歩いていると戦車の大群が道路を進んでいた光景を目にした。
 あやふやになりながらでも、全く状況が分からなくても、日本が……この日本が戦争をするということだけは理解ができた。


 避難所の小学校についたときは、安心して倒れてしまった。
 「大丈夫ですか?」ロングヘアーの茶髪の子が声をかけてくる。年齢は十七歳ぐらいだろうか。顔はアイドルのように整っていた。
 「え、あ、大丈夫です」俺はその子の可愛さにびっくりしてとても緊張した。
 「そうですか……あの私、結城ゆうき君と同じ高校なんだけど。分かる?」恥ずかしそうに語るその子はなんとも可愛らしい。ん?俺と同じ学校って……何で名前を知っているんだ。
 「あの……どうして名前を」
 「え?だって結城君。有名人だもん」自信満々に語る彼女。あぁ……そうか俺は有名人だったな。学校で有名な一〇〇点男だからな。
 俺は自分で言うのもなんだけど結構勉強も出来て(それにイケメンらしい)体育も美術もなんでも出来る男で、あだ名は「一〇〇点男」かなりのダサネームだ。
 「でね、私の名前は吉原美玖よしはらみく。知っているかな」
 吉原美玖。この子もかなりの有名人だ。俺が通う高校、滋賀県立山荘高校で学力も運動能力もトップを飾るお嬢様。日本のトップ財閥『吉原』の娘だ。でも、顔は見たことがなかったので気が付かなかった。
 すると、また大きなサイレンが鳴り響く。
 「空襲だ!!」一人の老人が叫んだ。「また同じことを世界は……日本は繰り返すのか」
 狐のマークの戦闘機がまた爆弾を落としにくる。それを日本の戦闘機が、日の丸が砲撃をする。空中戦では日本のほうが一枚上手か?
 でも、落ちた爆弾が小学校に落ちて勢いよく爆発する。その衝撃で俺や吉原さんは吹き飛ばされた。


 「吉原さん!!!」話しかけても返事をしない。
 頭から血を流し、倒れこんでいる吉原さん。辺りを見渡すと同じように倒れている人が大勢いた。
 俺も片腕がもげて、かなりの激痛で泣き出していた。それでも懸命に吉原さんを呼びかけた。それでも無駄だった。

Re: 残虐な僕の事を・・・ ( No.3 )
日時: 2019/02/28 14:37
名前: ケルベロス (ID: wsTJH6tA)

 第三話『悲しみ』
 「うあぁぁぁぁぁあぁぁぁ」俺は腕の痛みに苦しくて叫んだ。
 それでも俺は立ち上がり一生懸命に歩いた。
 俺は燃え盛る町を見ながら俺は泣いた。もう死んでしまいたい。それでも歩いた。親の顔が見たかったからだ。


 家についた時は自分の家が燃えていた光景をじっと見つめていた。
 俺はまた腕の痛みに耐えながら、スマホで母親に電話を掛けた。でも、つながらなかった。
それは父親に掛けても同じことだった。
 一気に絶望感が押し寄せた。もう疲れた。俺は倒れてしまった。
 車のヘッドライトが俺の事を照らした。
 「おい少年。大丈夫か」
 僕は声のしたほうに振り向いた。自衛隊のジープ。運転手の顔はサングラスをしていてかなりいかつかった。
 「腕がもげているのか?早く車に乗れ。病院に行くぞ」
 俺は最後の力を振り絞り、車に乗り込んだ。
 「俺の名前は純。お前の名前は?」エンジンの回転数を上げ、一気にギアをつなぎながら発進させる。
 「高島結城です」俺はドアウィンドーに映る燃え盛る町を見ながら答えた。夜の静かな風景に赤い火柱がところどころに上がっている光景だ。
 しばらくの沈黙の後、俺は重い口を開けた。
 「あの……日本は今どんな状況なんですか?」
 「こればかりはどうも、でもまぁー大丈夫か。あのな、日本は今、戦争中だ」戦争中……それはどんな国と?どうしてそうなったのか。聞きたいことはたくさんある。俺は一つ一つ聞いていった。
 「国は分からない。俺たち自衛隊はテロリストだと考えている」
 「テロリストがあんな軍事武器を持っているんですか?」
 「分からない。それも今審議中だ」
 瓦礫を必死によけながら進んでいく。曲がるときはわざとスリップさせ(こういうのをドリフトというらしい)とても急いでくれている。
 「もう少ししたら着くからな」
 俺はいつのまにか眠りについていた。

Re: 残虐な僕の事を・・・ ( No.4 )
日時: 2019/03/01 13:17
名前: ケルベロス (ID: wsTJH6tA)

 第四話『希望』
 「おい、もう着くぞ」いかつい声によって起きた俺は辺りをゆっくりと見渡した。そこにはオレンジ色の蛍光灯がひたすら車の流れによって過ぎ去っていく光景が見られた。トンネルだ。
 「ここは海底トンネルだ」
 「海底トンネルって?」俺は尋ねた。
「滋賀の琵琶湖に駐屯地を作った時に、資材などを運ぶために作られた琵琶湖の中を通るトンネルだ」彼は笑った。
 海底トンネル。ということは今、駐屯地に向かっているのか。
 ジープはひたすら猛スピードで走っていた。


 車が着いたところは、駐屯地とはとても思えないぐらいの施設だった。
 そびえたつ門にジープが前に行くと、『セーフティ解除』と聞こえたと思ったら、いきなり青白い光がジープを包み込んだ。
 機械的に門が開き、ジープが発進する。
 「すごいだろ」彼はまた微笑んだ。
 エレベータに車を接続して上にあがる。
 そこから見えた世界は二〇十一年とは思えないほど近未来的な世界だった。
 竹生島ちくぶじまを開拓したこの駐屯地『竹生島駐屯地』は、日本の総資産の大半をかけたのだと彼は語った。
 「もう着いたぞ」目の前の施設を見ると『militaryhospital1』と書かれていた。
 俺はゆっくりと車から降り、施設に向かった。


 俺はその施設で腕を直すつもりだった。
 「—これはもう無理ですね」重い沈黙の後に語ったセリフがこの言葉だった。
 「うんじゃ、もうTranshumanismしかないか」意味の分からない単語を発した。
 「そうですね。その方が希望はありますよね」
 俺は黙ってこの会話を聞くしかなかった。『トランスヒューマニズム』これがどんなものか俺には分からない。でも、俺の腕は……この右腕が無くなることは確かだ。
 「では、早速手術にはいりましょう」
 俺は言われるがままにベッドに寝ころんだ。
 注射を刺され、そのまま重くなった瞼をゆっくりと閉じた。


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