ダーク・ファンタジー小説

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悪いことはしちゃダメだよ 【前編】
日時: 2019/03/23 17:29
名前: ナタリア (ID: X3bFI.eb)

人は私をなんと呼ぶだろうか?
人間のクズ?社会のゴミ?それとも゛泥棒゛?
そんなつもりは微塵もないのだが。
私は裕福な方々から少し゛分けてもらう゛だけだ。
そして貰ったものを私のような貧乏人が使う。
まさに平等、+−ゼロじゃないか。
それを悪く言うだなんて、世間はどうかしてる。

私は赤ん坊の頃に捨てられ、孤児院で育てられた。しかし、私が大きくなるにつれ国では戦争が始まり、孤児院は経営難になった。ろくな食事も出されず次々に幼い子が栄養失調で亡くなって行った。私はその時悟った。「自分は死んでしまう」と。私は孤児院を飛び出した。走って走って遠くに行った。行く宛なんかないのに。疲れきって道端に横になり私は目を閉じた。
クスクスと笑うようなうるさい喋り声で目が覚めた。前を見ると、高い服やアクセサリーを身につけた女の人達が歩きながら喋っていた。笑う時の甲高い声が私にはうるさくて仕方なかった。早く通り過ぎてくれとそう思いながら目を閉じた瞬間、バタッと何かが落ちたような音が聞こえた。目を開けると目の前には宝石のようにキラキラした刺繍が施してある小さな袋のようなものが落ちていた。中を見るとお札が束になって入っていた。恐らくさっきの人達の誰かが落としたのだろう。普通なら金が入っていても返すのだろうが、その頃の私にはそんな余裕なかった。直ぐにその袋を懐に仕舞い、店が立ち並ぶ商店街へと歩いていった。
清潔な服、美味しい食べ物、住むための部屋、とにかく私は拾ったお金で全てを揃えた。これで私もやっと普通の生活が出来る、そう思ったのも束の間、金は直ぐに底をつきそうになった。どしようかと悩み道端に出た。ここは商店街なのでいつも人に溢れている。あの時のように誰かが財布を落としてくれないかと思ったが、いくら待っても誰も落とさなかった。日が暮れ、辺りが少し暗くなる。それでも相変わらず人は絶えない。ぼーっと人を眺めていると、ポケットから財布が飛び出ている人がいた。あぁそうだ!いいことを思いついた。

ドンッ
その人に思いっきり突っ込みぶつかる。
「こら!ちゃんと前を見て歩け!」
「すいません!急いでいて。じゃ、じゃあもう行きますね。」
「全く。最近の若いもんは………」

やった!成功した!私は走りながら手元にある財布を見る。案外簡単だったなぁと思った。
その日を境に私は毎日盗みを働いた。お陰で生活には困らなかった。しかし、世間はそう甘くなかった。流石にやり過ぎたのか、商店街には警察が出歩くようになった。これ以上やれば顔がバレて捕まるかもしれない、そう思い私はどこか違う場所に行く必要があると考えた。でも今ある金じゃ足りない。なにか大きな収入がないと。どうしたものかと頭を抱える。
あ!そういえば、商店街の外れにある大きな館、あそこには女の人が1人で住んでるがほとんどの日は居ないらしい。そして周りは暗く不気味で誰も近寄らないような場所に建っている。これは絶好のチャンスだ!そう思った。私は鼻歌を歌いながら準備を始めた。よし今夜行こう。不思議と悪い気はしなかった。私は服を着替え、リュックを背負った。よーし、準備万端!私はドキドキしながら町を出た。


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