ダーク・ファンタジー小説
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- 異能力+近未来
- 日時: 2019/04/08 20:05
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
近未来の日本、化学も進み事件の数も減っている未来の日本。それにより日本の刑事も
科学で作られた武器を手に事件解決を進めていた。この日本に能力者が現れるようになった。
それは幾つかの思想に分かれていた。過激派、中立派、保守派、警察側は保守派の能力者に
力を借り新たに力を付けた。科学×異能力×警察の近未来の物語。
序章【成神真実と大神千夜】>>01-04
1.新入り成神真実 >>01
2.能力者、成神真実 >>02
3.大神千夜について >>03
4.ペアと初顔合わせ >>04
1章【初仕事】>>05-09
5.保守寄りの中立派能力者 >>05
6.成神真実の成り行き >>06
7.廃ビルの中 >>07
8.ランデブー >>08
9.早乙女秀介の影 >>09
1.5章【早乙女彩斗の計らい】>>10-12
10.早乙女彩斗が見た二人の未来 >>10
11.大神が知った成神のこと >>11
12.二人の仲を縮める策 >>12
13.芽生えた何か >>13
- Re: 異能力+近未来 ( No.6 )
- 日時: 2019/04/06 11:13
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
早乙女彩斗は成神真実に触れた。微かに彼の口角が上がる。
早乙女「面白いな二人とも。だけど千夜君、弟の言動に惑わされてはいけない。シックザール以外の
銃のトリガーを引いてはいけない。折角良い相棒を持ったんだから、な」
そう言って早乙女彩斗は部屋を出ていく。彼にはどんな未来が見えたのだろうか。それは彼にしか
分からない。戸惑う二人を見て染岡優真は心の中で笑みを浮かべた。
染岡「さぁ仕事だ仕事。二人とも特に大神、彼の言葉ちゃんと覚えておけよ」
大神「?はい」
染岡「それと誘拐事件の犯人、もう分かってるんだ」
綾辻「今から調べると言ってたではないですか!」
染岡優真は早乙女彩斗が置いていった紙切れを見せた。
染岡「丁寧に今調べてる事件のことも予知してくれたよ。犯人が隠れているのはつい最近
廃墟になったビルだ。その最上階に相手はいる。エレベーターは使えるようになってる。
犯人の名前は菅野義彦、監視カメラでも何度か姿を確認している。これからそのビルに
乗り込むが侵入するのは少人数に絞る。ってことで初仕事、頑張れよマミちゃん」
染岡優真は成神真実の両肩をポンポンと叩く。
染岡「中に入ったら二人だけになる。いざとなったらマミちゃんの事を頼むぜ大神」
車での移動中、助手席で成神真実は窓の外を見ていた。
大神「お前が刑事になったのには何かきっかけとかあるのか」
成神「キッカケ…能力に目覚めてから友達に勧められたんです。友達はマミちゃんなら
絶対なれるって、カッコイイ刑事になれるって言ってたけど私はあまりそうは思ってませんでした」
大神「何故そう思った」
成神「自分の思いもはっきり言えない、刑事って体力勝負なところもあるって思ってそれ考えたら
私は体力も無いので…まぁ結局押されて今に至ります」
返答はない。
- Re: 異能力+近未来 ( No.7 )
- 日時: 2019/04/06 11:36
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
廃ビルに到着した。所々コケが生えている。
成神「確かビルのエレベーターはまだ使えるんですよね」
染岡「あぁ最上階は20階だからな。流石の犯人も上り切れないだろうよ。ここからは二人だけが
中に潜入し犯人を確保する、頼んだぞ」
二人は頷きビルの中に入った。だがドアが閉じられた時の音に違和感を感じた。カチャという
鍵を閉めるような音だ。中でも違和感に気が付いた。成神は上を見上げると監視カメラがあることに
気が付く。
大神「まだエレベーターは使えるな。目的地に到着する前に体力を消耗するわけにはいかない。
乗るぞ成神」
成神「はい」
二人はエレベーターに乗り込んだ。
大神「お前の資料に鎖を操る能力だと記述されてたが」
成神「あぁ、それですか。まだ覚醒したばかりの能力者なのでイマイチ能力を把握しきって
いませんけど拘束とかにも使えるんですよ。救助とかでも使えます」
大神「割と使い勝手が良い能力だな」
エレベーターは最上階で止まり扉が開いた。降りてから成神はシックザールを抜いた。
辺りを警戒しながら進む。電気は豆電球だけだ。
大神「止まれ成神」
成神真実は止まった。大神は上を見ろと合図する。上を見ると針の天井がある。よく見ると
下にはスイッチのようなものがある。大神は気付いていないようだが細い糸がある。足元に
気を付けろと言って気を付けても引っかかる可能性がある。ならここは自分の出番だと成神は
能力を使う。二人の頭上を鎖が飛び交う。
成神「ホントに細い糸です。でも足元に気を使う必要はありません。そこまでの重量は
なさそうなので鎖で防ぐことは出来ます。さぁ急ぎましょう」
- Re: 異能力+近未来 ( No.8 )
- 日時: 2019/04/06 13:15
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
抜けてからすぐ二人は足を止めた。武器は持っていない若い青年だ。服の隙間から見える肌には
あちこちに傷がある。もう一人も同じぐらいの青年だ。
大神「見張りか…」
成神「二対二ですね」
???「刑事…そっちの女は能力者か?」
傷だらけの青年は成神を指差す。
大神「異能対策刑事課の大神千夜と成神だ。お前らは誰だ」
???「暁」
???「新」
傷だらけの青年、暁は床を蹴り大神との距離を詰めると前蹴りを放つ。ガードした大神の
体勢が崩れた。大神は体勢を立て直そうとするも暁は大神の顔を掴み地面に叩きつける。
成神「大神さん!」
大神「前だ、成神!」
成神が前を見ると既に拳を突き出そうとしている新が目に映った。鎖を使い上へ逃げる。
新は上へ避難した成神を見据える。大神は顔を掴んでいる暁の手を掴む。シックザールを
構えようとするも暁はシックザールを蹴り飛ばした。
新「暁!!」
暁は声に驚き後ろを振り向く。微かに力が弱まり大神は暁の後頭部に手刀を落とし気絶させる。
新は舌打ちし窓から飛び降り逃走する。
成神「大神さん大丈夫ですか?」
大神「あぁ早く中に乗り込むぞ」
成神と大神は中に侵入する。予想通り写真で見た菅野義彦がいた。
成神「誘拐犯ですね。問答無用の逮捕です」
菅野「ど、どういうことだ…あの人はまだ俺のことは知られていないと」
大神「(あの人…?)」
菅野は拳銃を発砲した。数打てば当たる、そう思ったのだろう。だが銃弾の方向は
滅茶苦茶だ。二人に掠りもしない。
- Re: 異能力+近未来 ( No.9 )
- 日時: 2019/04/06 13:32
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
菅野「く、クソ!大金払ってまで雇った奴らが…!役に立たねえ傭兵め…」
傭兵…それなら戦闘経験も豊富であそこまで武器無しで戦えていたことも理解できる。
大神「処刑の時間だ」
シックザールを発砲する。青い光の弾が菅野を撃った。撃たれた菅野はゆっくりと地面に
倒れた。背後から微かに銃を構える音がした。銃口が二人に当てられる。暁と新だ。
暁「シックザール、だったか。それを置いて両手を上げろ」
シックザールを床に置く。成神は大神に小声でどうにかすると囁く。瞬間、二人が引き摺られる
ように窓を突き破りビルから飛び降りる。
新「なっ、ここから飛び降りるのか!?」
暁「成神って言ってたな。ソイツの能力だろ」
暁の手には鎖の欠片が握られていた。一方、飛び降りた二人は鎖を握っていた。鎖が命綱代わりに
なり二人をゆっくり地面に降ろす。
春日「まさか窓を突き破って飛び降りてくるとはね」
春日は微笑んだ。窓を突き破るところは見えていたようだ。
染岡「お疲れさん。さぁ帰還するか」
全員が頷いた。
別の場所で銃の発砲音が聞こえた。殺されたのは暁と新だ。殺したのは早乙女秀介。
秀介「十分役に立ってくれたよ。大神千夜そして成神真実という存在を見つけ出してくれたんだ」
早乙女秀介は笑みを浮かべた。
オフィスを出て成神は電話に出ていた。母親の真耶からだ。
真耶『お疲れねマミ、仕事が終わった後かしら』
成神「うん、丁度今終わって職場に帰って来たところ」
真耶『テレビでもやってるわよ。誘拐犯逮捕ってね。ペアの男の人はどうなの?』
成神「悪い人じゃないし良い人だよ。ホッとしてる」
真耶『そう。仕事上、無傷って言うのも難しいだろうけど気を付けるのよ。頑張ってね』
電話が切れた。スマホの電源を切った。
- Re: 異能力+近未来 ( No.10 )
- 日時: 2019/04/06 14:54
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
早乙女彩斗の家に一人の男が訪ねてきた。それは大神千夜本人だ。
早乙女「どうしたんだい?一人で来て、弟の事でも聞きに来たのか」
大神「いやそうじゃない。お前が来た時に俺に言った言葉の事だ。惑わされるな、銃を
発砲するな、それはどういう意味だ」
早乙女彩斗は息を吐いた。
早乙女「そのままの意味さ。信用しないかもしれないけど俺は一つの未来だけじゃなく
分岐した未来も見える。このまま弟、秀介を君が撃ち殺せば君も成神ちゃんも後悔するかも
しれない結果になる。だけどそこで思い留まれば二人ともハッピーエンドさ。君が
ハッピーエンドを迎えることが出来るか否、君だけじゃない彼女も一緒にハッピーエンドに
なれるかは君次第ってことさ」
納得いかないような表情を浮かべる大神。早乙女彩斗は席を立ちスケッチブックを
持ってきた。そして二枚のページを破った。それを大神に見せる。
大神「これは…俺と成神…?」
早乙女「この絵の状況を俺は見た。どうなっているか分かるだろう。君は自分の異性に対しての
気持ちにも相手が自分に対する恋心にも疎いようだな」
一枚は成神真実がシックザールを握り泣いている、そして大神が血を流し倒れている様子。
もう一枚は笑顔で大神に話しかける成神真実の様子が描かれている。
早乙女「純血の能力者は一つしか能力を持たないが混血の能力者は二つの能力を持っている場合が
ある。だけど100%以上を発揮することは出来ないんだ。半々かどちらかに偏るか…俺は
未来予知に偏っているんだ」
大神「もう一つは」
早乙女「読心術」