ダーク・ファンタジー小説
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- 涙を流す君へ ~from me~
- 日時: 2019/05/16 23:13
- 名前: 夜桜_ (ID: GA2wUosQ)
ー拝啓、お元気ですか?
ちゃんとご飯を食べて、ちゃんと寝て居ますか?
私はそこに居ないけれど、見てるからね
なんて、保証はないけれど、少なくとも君なら大丈夫だと思う。
君は私に沢山大切なものをくれたよね。
嬉しかったよ。
ねぇ、君は今を生きていますか?
、
、
、
君は僕に、大切なものを遺していった。
君と過ごした一年を僕は一生忘れない。
- Re: 涙を流す君へ ~from me~ ( No.1 )
- 日時: 2019/05/16 23:31
- 名前: 夜桜_ (ID: GA2wUosQ)
冬の寒い寒い夜の事。
一人の少女が12階建てのマンション最上階、眺めの良いベランダに佇んでいる。
やがて、少女は意を決したように柵の上に登り、足を外側に出した。
そして、手を離し前に落下。少女は美しい夜の空を舞い下へと落ちていった。
自殺だった。
次の日にやっていたテレビでも、報道され、原因究明を急ぐとアナウンサーの人が無感情に
言った。
「どうして、梓ちゃんが...」
なんて、テレビを眺めていた母さんがポツリと溢した。
そう、自殺したのは紛れもなくクラスメイトの梓 羽月という女子だ。
そしてこの物語はそこから始まる。
- Re: 涙を流す君へ ~from me~ ( No.2 )
- 日時: 2019/05/18 00:20
- 名前: 夜桜_ (ID: GA2wUosQ)
梓 羽月が自殺した次の日、遺されていた遺書がクラスの間で
公開された。
皆さんへ
今まで本当にありがとうございました。
私は弱いから、永遠に逃げる道を選択しました。
何かあったとは言いません。
ただ、辛かった。
だから逃げてしまった。
<中略>
もう、何も言うこと無いかもね。
じゃあ、さようなら。
梓 羽月
クラス全体が静かになった。
ある人は俯いて、またある人は先生をじっと見つめていた。
このクラスに潜む闇はまだ消えない。
数日経って、再び活気を取り戻しつつあったクラスに若干嫌気が差すが
これも仕方ないのだろうか...
複雑な思いを抱え、放課後の帰宅路を歩く。
「高木君...」
「え...梓?お前本人か?」
「そう。私、成仏は出来なかったみたいなの」
「まじか...」
- Re: 涙を流す君へ ~from me~ ( No.3 )
- 日時: 2019/05/22 19:58
- 名前: 夜桜_ (ID: GA2wUosQ)
「成仏出来ないってどういう意味だよ」
「分からない。ただ、心残りがある内は成仏させることが出来ないって」
「誰が言ったんだ?」
「あの世の人...かなーって」
成仏出来ないと言われたのに、彼女はあっけらかんとしていた。
「って言うか、何で梓が見えるんだよ。俺霊感なんかないぞ?」
「知らないよ、こっちが聞きたいし。まさか名前呼んで返事するなんて
思ってなかった」
驚いた。と言いたげな表情でこちらを見てくる。
自殺したくせに暗い表情ひとつ見せないのが不思議でしょうがない。
「高木君だけだよー、気付いてくれたの」
「俺だけ?」
「そうなの。ここを通った何人かのクラスメイトの名前を呼んだんだけど、無視されちゃって...
私は他の人からは見えないみたい。」
「えー...」
霊なんて初めてみたし、それが友達なら尚更ビックリする。
「ってな訳だから、成仏するの手伝って!お願いしますっ!」
「はあ!?嘘だろ!?」
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