ダーク・ファンタジー小説

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〜人妖色恋物語〜
日時: 2019/05/29 02:26
名前: 三花 (ID: rIM6BHfL)

〈 登場人物 〉

*陽光 白(ひさかえ つぐも)*
・見えない筈のモノが見える
・性格に難アリ
・表情に難アリ

*流 湖花(いたる れいか)*
・白の唯一の友達
・お調子者(?)

*佐藤 円(さとう えん)*
・白達の学校の先輩
・イケメンでモテる
・化妖(?)

〈 言葉 〉

人妖じんよう…人でもあり、妖でもある者。
化妖かよう …人の姿をした妖。通常の妖よりも強い。



※登場人物は随時更新致します。
前作は色々とあり、続きを書けなくなってしまったので改良版という事で新しく書かせていただきます。
1週間に1回程度、投稿していこうと思うので読んで頂けたら嬉しいです!

Re: 〜人妖色恋物語〜 ( No.1 )
日時: 2019/05/18 23:33
名前: 三花 (ID: rIM6BHfL)

第1話『私の秘密』

「ねぇ、白〜?」

「ん、何?」

この、私の名前を親しげに呼んで話しかけてくるのは私の友達、湖花れいかちゃんだ。ちなみに私の名前は陽光 白(ひさかえ つぐも)。周りから見ればごく普通の性格に難ありな高校1年生。だけど…

「白ってさ、お化けとかそーゆうの信じるタイプ?」

「なに急に…。」

「いいからいいから!」

「いや…、信じるってゆーか…。」

私は湖花ちゃんから目線を外し、チラッと周りを見た。

(そこら辺にいっぱいいるし。)

「この状況だと、信じざるをえないでしょ…。」

「え、どーゆうこと!?信じざるをえないって…?」

「…別に。」

「? そお?」

「うん。」

私は首を縦にふった。
そう、私の普通じゃないことは“お化けが見える”こと。
ウチの家系は代々みえない筈のものが見える。そしてそれは、誰にも知られてはいけない秘密…らしい。

「昨日図書館に行ってさ、ウロウロ〜ってしてたわけ!」

「うん、それで?」

「そしたっけ、なんかこんな本見つけたの!」

湖花ちゃんは、自分のバックから本を取り出して私に見せてきた。

「《由緒正しき伝説の苗字》?」

「うん!面白そうだったから借りて来ちゃった。」

「これとお化けになにか関け…」

「あるんです!!」

(…まだ最後まで言ってないのに。)

「知りたいかい…?」

「うん。」

「いいだろう、そこまで言うなら教えよう。」

ここで1つ説明しておく。湖花ちゃんはどちらかというとボーイッシュ系でサバサバしている。お調子者で絡みやすく、明るい性格なうえに運動神経もいい、クラスの人気者。そんな性格とは裏腹に、短く切り揃えられた髪は綺麗な茶髪でものすごくサラサラしている。女の子だけでなく、男の子にも人気があるのだ。
長くなったが、1番知っておいてほしいのは‘お調子者’だということ…。ついでに言うと年の離れた弟がいる。

「この本には、古く昔から代々受け継がれている、不思議な力を持っているとされる苗字がのっているの。もちろん、お化けとか妖関係のね。」

「ふ〜ん。それで信じるかってきいてきたわけ…。」

(私の苗字も載ってんのかな…?)

「そうそう!私と白の苗字って珍しいじゃん?それで調べてみたっけ…。」

「うん。」

「載ってなかったの。載ってると思ったんだけどな〜。んー、残念!!」

「ふーん。」

「でもね、すごく面白そうなの見つけたの。」

湖花ちゃんは、そのページを開いて私に見せてきた。
そこに書いてあったのは…

「《幻の苗字、春時すどき》?」

「うんうん!…って、え?それってどこに書いてるの?」

「どこって、ここに…。」

私はその場所を指さそうとした。が、さっきまで書いてあったはずのそれは消えていた。

「書いて…ない…。」

「どうした〜、白?寝不足?」

「…うん、そうかもね。」

「も〜う!ちゃんと寝なさい!」

(こんな大胆な見間違え、例え寝ぼけててもしないし。私には見えて湖花ちゃんには見えなかったんだろう。)

「? どーした、ボーッとして…?」

「別に、なんでもない」

「そぉ?ならいいけど…。」

(春時って苗字、どっかで聞いたことあるような…。)

「ちょっとその本、1日だけ貸してくれない?」

「うん、いいよ。」

「ありがとう。」

(春時って苗字のこと、確かめてみるか。それに、あれを見た瞬間私の中の何かが騒ついた気がした。)


〈終わり〉

Re: 〜人妖色恋物語〜 ( No.2 )
日時: 2019/05/21 16:23
名前: 三花 (ID: rIM6BHfL)

第2話 「異様な圧、不思議な少年」

(調べてみるか、春時って苗字のことを…。)

キャア〜〜〜!!コソコソ… ザワザワ…

「…なに?」

廊下が急に騒がしくなった。休み時間の廊下が騒がしいのはいつものことだが、今の騒がしさはわけが違う。なんというか、何かを見て興奮しているような…。

「なんで妙に廊下が騒ついてるの?」

「あ〜、多分、円先輩だよ。」

「えん…?」

「まさか、白知らないの!?」

「知らないとなんか悪いの?」

「悪いよ、ってか勿体ないっ!」

「ふーん?」

「最初から説明すると…」

「説明しなくていいよ。興味ないし。」

「容姿端麗で、この世のものとは思えないほどのイケメンなのに?」

「へぇ〜」

「本当に興味ないんだね。まぁ、そんなこったろうと思ったよ。」

(えん…。どっかで聞いたことあるような名前。)

「まぁ、気が変わったら言ってよ。分かること何でも教えるから。」

「その人の苗字は?」

「気、変わるのはやっ!!」

「うん。」

「佐藤だよ。佐藤 円。」

「そう、ありがとう。」

(佐藤 円、佐藤…円…。………エン…?聞いたことあると思ったけど、気のせい…か。)

「キャーー、円先輩〜!!…見に行きたいけど人いっぱいいるもんな〜。」

「随分熱狂的だね。」

「だって、カッコいいだもん。目の保養だよ!」

「ふーん。」

ゾクゾクゾクッ…!!

「!?」

急に全身に電気のようなものが走った。

「何、今の…。」

(寒気…と言うより圧?一体どこから…)

私は周りを隅々まで見た。だが、周りには見慣れた人ばかり。
特に、と言うより全く、怪しいと感じるものはいない。と、いうことは…

(廊下か…。)

「廊下を見に行くか。」

「お、どうした。いきなり興味が湧いてきたか!?」

そんな事を言ってる湖花ちゃんを置いて、私は廊下に向かった。

「ちょっと待ってよー!」

私の後ろを湖花ちゃんが小走りでついて来る。
当然のことだが、廊下に近づくにつれうるさくなる…。だが、そんな事で怯んでる暇はない。もし、悪い妖だったとしたら野放しにしておくわけにはいかない。

(かといって、私の力でどうこうできる問題ではない…か。)

廊下に出て、周りを見る。そして…

「いた。…………………ん?」

私の見つけたもの、探していたものは予想に反する姿をしていた。

(人間…?)

私が見つけたものは、人間の姿をしていた。いや、人間の姿をしている妖は普通に存在するから別におかしいことではない。そしてそれを、化妖という。

(なんだ、化妖か…。だとすると、並大抵の強さではないな。)

「白、あの人が円先輩だよ。かぁっこいいでしょ〜!」

そう言って彼女が指差してる人は…

「化妖…?」

「ん?かよう…?」

「なんでもない。そんなことより、確かにあの人が佐藤円なの?」

「うん、カ〜ッコいいでしょ〜!」

「たしかに、綺麗な顔。」

「でしょ〜!」

(何か人間を惑わす妖術でも使ってるのか?私以外の全員が彼に魅入っている。)

「とゆうかあの人、いつまでここにいる気?」

「あの人じゃなくて円先輩だよ!」

(面倒くさい…。)

「円先輩とやらはいつまで1年の廊下にとどまる気なの?」

「いや〜、あんだけ囲まれてればとどまりたくなくてもとどまっちゃうでしょう。」

キーンコーンカーンコーン♬

「あ、予鈴鳴っちゃったね。教室戻ろう、白。」

自分を囲んでいた人達が続々と教室に戻っていくと、円先輩はホッとしたような顔をした。
そして移動教室の途中だったんだろうか。小走りで音楽室がある方へと向かっていった。

(さて…と。円先輩とやらの正体、暴いてやろうか。)


第2話 〈終わり〉

Re: 〜人妖色恋物語〜 ( No.3 )
日時: 2019/05/23 12:17
名前: 三花 (ID: rIM6BHfL)

第3話『尾行』

「ほらー、席に着け!」

予鈴がなったにも関わらず浮かれている生徒達を先生が注意する。
途端に教室はシーンとなった。

「よし、じゃあ授業を始めるぞ。……と、言いたいところなんだが、陽光がいないな。」

「あれ、ついさっきまで私と一緒にいたのに!?」

と、湖花ちゃん。
一方、その頃白は………



(音楽室に向かって行ったはず…)

私は足音を立てないように、ゆっくり音楽室に近づいた。

(……妙だな、何の音もしない。)

そう、音楽室では授業が始まってるはずなのに物音一つしなかったのだ。

(とりあえず中見てみるか。)

開いてるドアからソッと音楽室の中を覗いた。
音楽室のドアは格別にたてつけが悪く、常に開いている状態なのだ。
音楽室を見回すと、ひと1人いなかったがなぜか1つだけ、開いてる窓があった。
防犯上、誰もいない教室の窓は閉めておくのが決まりだ。

(閉め忘れか?仕方ないな……)

音楽室に入り、一直線に開いてる窓へと向かった。
窓のところへ着くと、ひと息だけ外の空気を吸って窓を閉めしっかり鍵までかけた。
その時………

ガラガラガラッ、ガダンッ!!!

「!?」

いきなり後ろから大きな音がしたのに驚き、とっさに後ろを向いた。
ドアが閉まった音だった。そしてそのドアの近くには1人……こわい顔をして立っている人がいる。

「………誰かと思ったら、有名な円先輩じゃないですか。」



ーー教室ーー

「誰か、陽光のこと何か聞いてないか?」

先生がそう聞くと、数人が話し出した。

「知りませーん」
「サボりじゃね?」

返ってきた返事はふざけた事ばかり。
さらには、白の悪口を言い出す人もいた。

「別に陽光いなくたっていいじゃん。」

「だよなー。あいつ全然ノートもとらねえし、先生の話もまるで聞いてないし。見てる人の
意欲なくさせるもんな。」

「なにそれ、逆に授業の邪魔じゃん。」

「はい、先生!俺たちは陽光の事なんてほっとけばいいと思います!」

どうすればいいものかとすっかり困りきった顔の先生。
その時…

ガダンッ!!!

いきなり強く立ち上がった湖花ちゃんの椅子は、倒れてしまった。

「そんな言い方なくない?」

「なんで流はそんなに陽光の肩を持つんだよ?」

「それ、俺も思ってた。流は陽光じゃなくてもいっぱい友達いるじゃん?」

どんどん教室の雰囲気が悪くなってきている。
何も喋らない女子達は、どこか怯えているようだった。

「……先生、私白の事探してくるので授業始めてて下さい。」

そう言って、湖花ちゃんは教室を飛び出した。


第3話 〈終わり〉

Re: 〜人妖色恋物語〜 ( No.4 )
日時: 2019/05/30 18:01
名前: 三花 (ID: rIM6BHfL)

第4話『敵か味方か』

「………誰かと思ったら、有名な円先輩じゃないですか。」

「……そうゆう君は、陽光白?だよね?」

「私の事、知ってるんですか?」

「もちろん」

円先輩はニコリと笑う。

「ところで、何で僕の後をつけて来たの?あれ、もしかして気づいてないとでも思って
た?」

「いいえ、思ってませんよ。円先輩、あなたの正体が知りたいんです。」

「直球だね。で、知ってどうするの?」

「場合によっては、消させてもらいます。」

「君にそんな力ないくせに?」

「はい、ありませんよ。ですから私以外の陽光の“モノ”があなたを消します。」

「ふふ、そっか。」

円先輩はクスクスと笑った。
でもそれはどこか悲しそうだった。

「本当に、変わってしまったね。」

「は…?」

「いや、何でもない。今の君に言えることは何もないよ。」

「どうゆう意味ですか。」

「そのまんまの意味。………でもそうだな、俺は君の敵じゃない。」

「え…?」

ドンドンッ!!

いきなり音楽室のドアをノックする音が聞こえた。

「あれ、何で音楽室のドア閉まってんの?」

ドンドンッ!!

「おーい、白!この中にいるのー?」

湖花ちゃんだ。白を探してここまで来たのだろう。

「元気なお友達だね。」

「ほっといて下さい。」

「ほら、はやく行きなよ。」

ドンドンドンッ!!

「白ー!!」

「ドア、開けてください。」

「あー、ここ1回閉まると開かないんだよね。」

「 ………… 」

「 ………… 」

ドンドンドンッ!!

「白ーー?………いないか。他のとこ探さなきゃ!」

湖花ちゃんはどこかへ去っていった。

「 ………… 」

「 ………… 」

「ほら、丁度ここ一階だしさ、窓から出ようよ。」

「そうですね。じゃあ私は窓から出るので、円先輩は中で窓の鍵閉めてください。」

「……………え?俺だけ音楽室に残るの?」

「そうですけど、何か問題でも?閉めたのは円先輩なんですから、当たり前だと思うんで
すけど。」

(ぐうの音も出ない………。)

「分かった、じゃあ早く行きな。」

「はい、そうさせていただきます。」

そう言うと、白は身軽に窓を超え外に出た。

「じゃあ、またね。白。」

そう言う円先輩を無視し、白はその場から去って行った。

「はぁ…。」

1人になった円先輩は深い溜息をつく。

「昔は運動とか苦手だったのに、今ではすっかりじゃん。“あれから”相当苦労して鍛えられ
んだな。成長したなぁ。」

また、円先輩の顔が悲しげに歪んだ。


(今の君は人形みたいだよ、白。)


〈 終わり 〉


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