ダーク・ファンタジー小説

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VS人類
日時: 2019/05/26 16:22
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 宇宙からの侵略者。総称を宇宙人とし地球に生息する生物種を越える程の数多くの種族が宇宙にはいる。

 地球には数えきれない程の宇宙人が降り立ち、人類は瞬く間に壊滅の一歩手前まで追い詰められてしまった。

 そんな人類は自分たちに出来る最後の悪足掻きとして新たな人類を作り出した。



 その名は_______、



 「おっ!、お目覚めのようだね。起きた今の感想はどうかな、新人類“ヘラトクレス”」


Re: VS人類 ( No.5 )
日時: 2019/06/25 20:45
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



ーーガッシャンっ!!


 ベルはそんな音を立てながら、キッチンにある食器棚へと叩きつけられた。

 すると棚や食器の破片が突き刺さり、背中などから血が垂れ落ちていった。


 「・・・・・これが痛みというものか...」


 そう言うとベルは顔を上げて敵の姿を視野におさめた。

 敵は黒い肌とこれ見よがしに隆起した肉体を持った二足歩行のトタゲのような姿をしていた。


 「おいベル!、大丈夫か!?」


 「ああ、問題....ない」


 そう言って食器棚から体を起こすと、体から出血しているのも構わず敵を睨みつけた。


 「スー....ハー・・・・・・、消えろ!」


 深呼吸を終え、そう呟くとベルの目付きが変わりベルの脳裏で何かが浮かび上がった。



 戦闘段階『1人(危険)→10人』



 次の瞬間、ベルは弾かれたかのように前進すると敵の顔へと目にも止まらぬ蹴りを放った。


 「グオッ!、※¢£〒○%▽っ!?」


 思わず母星の言葉に戻り、何やら悪態をついている敵。だがベルは攻める姿勢を崩さず捻りを加えた拳を敵の腹に叩き込み、敵を壁へと叩きつけた。


 「す、凄ぇ.....って!、おいベル!」


 「んっ、何だ?」


 気絶した敵に追撃しようとしたベルだったが、悟史に止められ訳も分からずにベルはそう問いかけた。


 「派手に暴れすぎだ!、敵を倒しても人に被害が出たら元もこも無いだろ!」


 そう言って荒れ果てた部屋をぐるりと差し示した悟史、そして一番の被害は敵の背後に生じてしまった壁の亀裂になるだろう。


 「それは命令か?」


 「あぁ命令だ、それとコイツの処理は後だ」


 そう言うと悟史は屈み込み、部屋の床に片手を添えた。


 「『世界五分前説』ッ!」


 そう悟史が言ったかと思うと同時に荒れ果てていた部屋が元の状態に戻っていた、この様子にベルは少し驚いたが平常心に戻ると悟史に問いかけてみた。


 「今のは何だ?」


 「ハァ、ハァ、ハァ....あっ、これか? 元々は俺のベースになった宇宙人の能力らしい」


 「ベース.....?」


 「そういう説明は後だ、それより外がやけに騒がしいな」


 外から聞こえてきた悲鳴に思わず苦笑いを見せた悟史は疲弊した様子を見せつつも、立ち上がると近くにある窓に歩み寄って外の様子を伺った。


 「こりゃあ不味いぞベル!、外は地獄絵図だ」


 そう言ったが早いか青ざめた様子で部屋を飛び出していった悟史、ベルも追いかける形で部屋を出ていった。

 ベルが部屋の外に出るとマンションの階段から東京の街並みが見えてきた、だが見えてきたのは綺麗な街並みではなく人々が侵略者たちから逃げ惑っている姿だった。


 「・・・・・・消す。」


 そう呟いたベルは再び目付きが変わり、先程と比べものにならない力でその場から姿を消した。

Re: VS人類 ( No.6 )
日時: 2019/06/28 21:41
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 ベルは着地の直前、複数の敵を巻き込んで地面に降り立つと同時に全方面からの殺意を感じた。


 「お前たち程度で私を殺せるのか?」


 軽く挑発をしてベル、すると見事にそれに乗ってしまった敵の大波を見ると初めてベルは微笑んだ。


 「・・・・・消す。」


 戦闘段階『30人(危険)→100人』


 意識の奥でその表示が見えたかと思うと弾け飛ぶように敵の大波へと突っ込んでいった。



 一瞬、その場が静かになったかと思うと次の瞬間には次々に敵が打ち上げられていき、敵の硬い皮膚にベルの拳がメリ込んでいく。


 「まだだッ!、モットダっ!!」


 戦闘段階『100人(不満)→450人』


 ベルの動きが更に速くなり敵のほとんどが倒されていく、だがベルは何かに取り憑かれたように攻撃の手を緩めなかった。


 (侵略者、排除。侵略者・・・・)


 ーーパァーンッ!!


 敵が全滅するかしないかの瀬戸際、すると暴走気味のベルの首筋に小さな何かが突き刺さった。

 少しよろめくもベルは我に戻った様子で首筋に手を当てる、すると手の中には一発の銃弾があり発射されたと思われる方角へ視線を送る。


 「・・・・・・何故、邪魔をした?」


 そう言うとベルは遠くの雑居ビルの屋上で狙撃銃を構えている悟史を睨みつけた、少しするとベルの感情が聞こえずとも伝わったのか悟史の口が何かを呟いた。


 『やり過ぎだバカ、まずは人命の確保だ』


 そんなニュアンスのことを言っていたのか悟史は屋上から姿を消してしまった、ベルは散りじりに逃げていく敵を追うべきか少し迷ったが、仕方なく人命を優先することにしたのだった。












 「これが世界の現状か、こうも簡単に荒れ果ててしまうとは.....」


 瓦礫の散乱する道を進むベル、不意にそんな言葉が零れたが何者かの気配に気づき警戒態勢に入った。


 「・・・・・・子ども、....おい大丈夫か?」


 「うぅ、うう.....」


 だが見つけたは良いものも泣いているばかりで返答はない、少し困った表情を見せたベルだが“仮の記憶”の一部がどうやら力を貸してくれたようだ。


 「大丈夫だ、私がいる。年はいくつだ?、自分の足で歩けるか?」


 「ご.....ごさい...。おネェちゃんは?」


 「私か?、私は.....お前たち人間の味方だ」


 「??、......ヘンなの」


 そう言ってベルにとぼとぼと近寄ってきた男の子、ベルはその子の手を引くと向かう場所もなく歩き出した。


 「ねぇ、おネェちゃん?」


 「んっ?、何だ?」


 「どうしておネェちゃんの服は赤いの?」


 「赤い?・・・・・・あぁ、これの事か」


 自身の体を見回して苦笑を見せたベル、身体中には敵との交戦時に着いたらしい返り血がベトリと白い服を汚してしまっていた。


 「そういうお前・・・・いや、そういう君の方こそ顔が汚れているぞ」


 “仮の記憶”の影響か、ベルの口調は時と場合によって変化するようだ。しかしベルは構うことなく男の子に話しかけた。


 「ねぇ君、少し前に何か見えた事とかある?」


 「んー・・・・・、おソラにフネがういてた」


 (船....何か嫌な予感がするな、それにわざわざ東京を狙ったのにも何か目的があっての事だろうか?)


 「あのね、それと白いおにぃちゃんを見たの!」


 「白い...お兄ちゃん?、それは何処で見たの?」


 「おネェちゃんが来る前、すんごくコワそうなんだよ」


 (他にも侵略者がいるのか?、いや私の考えすぎかもしれないが少し注意しておくか.....)


 そう心で呟いていたベル、しかし遠くの方から誰かに見張られているという事には気づかないようだ。

Re: VS人類 ( No.7 )
日時: 2019/06/28 21:37
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 「・・・・・・下がっていろ」


 その瞬間、ベルは押し倒されるかたちで襲いかかってきた敵と交戦する。


 「邪魔だ・・・・・」


 戦闘段階『1人(危険)→10人』


 ーーバキッ!


 敵の後頭部を強打し気絶させたベル、また暴走しかけているのか息を荒くしながら立ち上がると気絶した敵を見下ろした。


 (何故だか...、コイツらを見ていると怒りが沸々と湧いてきてしまう。これも“仮の記憶”の影響なのか?)


 何はともあれ敵から無理矢理に目を反らすと、息を整えようとベルは深呼吸をした。


 「おネェちゃん、大丈夫?」


 「あぁ大丈夫、それに君こそ大丈夫だった?」


 「うん!、ちょっと恐かったけどおネェちゃんがいたから平気だった」


 「そう、それじゃあ行こっか?」


 そう言って男の子の手を取ろうとした時だった、ベルは急にこちらへ向けられた殺気に気づき咄嗟に男の子を自分から突き飛ばした。


 「油断した.....と言っても、言い訳にしかならないか」


 ベルはそう独り呟くと右肩に突き刺さったナイフを抜き取り、飛んできた方角に睨みつけた。


 「こわいこわい、そんなに君に見つめられたら恥ずかしくなっちゃうよ」


 相手の特徴を一言で言えば....白いの一言に尽きるだろう、白い肌に白い服そして白い髪を持った少年であった。


 「僕は.....んー、ホワイト! そうそう僕の名前はホワイトって言うんだ」


 「ホワイト?、冗談はよしてもらいたいものだな」


 「いいじゃないか名前なんて、そう....君が新人類であるように僕が宇宙人だという事もね」


 そう言って微笑んだホワイト、だがそれとは異なりベルの目付きが変わり戦闘態勢に入った。


 「おいおい僕が何をしたっていうんだい?、君の気が障ることでもしちゃったかな?」


 だがそんなホワイトの言葉も聞かずにベルは彼に向かって飛び出していった。


 「お前が宇宙人というだけで理由は十分だ」


 戦闘段階『1人(不明)→100人』


 「はぁー、君とは上手く付き合いたかったんだけどなぁ......しょうがないか、“敵”なら」


 そう肩を落としてみせたホワイトは、落ち着いた様子で迫りくるベルに歩み寄って行った。


 「君じゃ、僕には触れられない....」


 ーーバチッ!!


 ホワイトの顔面に当たる直前、ベルの放った拳は見えない壁に阻まれたかのように弾き返えされてしまった。


 「君はまだ成長途中だ、僕に挑むには時期が早すぎるよ」


 そう言ってホワイトは片手を挙げるとベルの額にデコピンを打った。だが見た目に反してベルの体は吹き飛ばされ、塵積もっていた瓦礫の山に大きな音を立てて埋もれていった。


 「ん〜・・・・、まだ目覚めたばかりだからなぁ......殺すには惜しいんだよなぁ」


 ベルをどうするべきか決めかねているホワイト、するとベルと一緒にいた男の子の存在に気づき微笑みながら近づいていった。


 「今日はこれで良いや」


 「え.....?」














 (私は....、何をやっているんだ・・・・)


 瓦礫に埋もれ、塵が目や鼻に入ってきたのが分かった。そして少しすると全てを思い出したかのように瓦礫から這い出していった。


 「ホワイト!、お前は私が・・・・・」


 そう言葉を言いかけたベル、だが既にもうホワイトの姿は無くなっていた。


 「・・・・・・・あの子は何処へ行ったのだ?」


 心配するように周りを見回していたベル、だがその途中でベルの動きが止まり強く唇を噛みしめていた。

 ベルの視線の先には記憶にない血溜まりが拡がっており、大体のことはベルにも予想がついた。


 「これが人生というのなら、あまりにも惨いものだな」


 そう言ったベルの表情に変化はなかった、しかし目の奥には言い表せない程の感情がひしめいていた。


 「教えてくれないか“仮の記憶”、今私が感じているこの苦しさは一体何なんだ・・・・・・」


 しかし“仮の記憶”からの返答はなかった、ベルは何処かもやもやとした思いを感じていたが後ろから近づいてくる人物には気づいた。


 「あぁ、悟史か....」


 「俺とした事が装備品を揃えるのに中々の時間をくっちまった。だけどその分の働きは出来たと思うがな」


 「そうか....、敵は一通り駆除できたという事か・・・・・一匹を除いてな」


 「おいベル、何かあったのか? それとも具合でも悪くなったのか?」


 そう心配そうにベルの顔を除き込んだ悟史、だけどベルは何も言わずに顔を反らすとそう呟いた。


 「何でもない、ただの気の迷いだ」


 「ふーん・・・・・、まぁ俺には関係なさそうだから良いけど」


 「これから、私達はどうするんだ?」


 「まずは研究所に戻ってユズさんに今回の報告と生存確認をしに行く、だけどユズさんの場合だから必要ねぇとは思うけどな」


 意味ありげに苦笑する悟史、そこに疑問は持ったものもベルは敢えて突っ込まない事にした。

Re: VS人類 ( No.8 )
日時: 2019/06/29 18:02
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 「白い宇宙人?、そいつの名前って分かるか?」


 そう歩きながら言ったのはベルの隣を歩く悟史であった。ベルは少し間をおいて問いに対する答えを返した。


 「ホワイト.....っと、言っていた」


 「また面倒なのに会ったなベル、そいつは『厄害』と位置付けられてる奴らの一人だ。出会ったならまず命は諦めろって話だな」


 「厄害?、そんな奴らがいるのか?」


 「まぁ、研究所までの暇潰しとして話しとくが.....ハッキリ言って奴らに勝てるのは地球上において誰もいない、それは兵器を含めても結局は同じだ」


 軽く苦笑して見せた悟史だったが、その額からは冷え汗が垂れ落ちていくのが分かった。


 「悟史、それは新人類でも結果は同じなのか?」


 「たぶんな。足止めぐらいなら出来ると思うが、勝てるかと聞かれれば無理そうだ」


 「厄害.....、そいつらの居場所は分かるか?」


 「おいおい、ただでさえ強敵なのに面倒事は嫌だからな?」


 「ならば、知っているのか?」


 「・・・・・・登録されてる中でだが、数体の厄害の足取りは掴めてるらしい」


 「数体.....そいつらの中に、ホワイトはいるのか?」


 「俺が知るわけないだろ、それに知っててもお前に教えるつもりないしな」


 「そうか.....、だが次にホワイトに会った時は私が勝つだけの話だ」


 「んー・・・・・ベル、お前って意外と頑固な所があるんだな。それに普段はポーカーフェイスだが、少し本能に忠実なのとかな」


 「本能に忠実?、私がか?」


 「あぁそうだ。俺ら新人類ってのは知らぬ間に“地球外生物”、つまり宇宙人に対して憎悪を抱くよう意識の深層部に植え込まれてるらしいんだ」


 「それと私に何の関係があるんだ?」


 「自覚ないのか? お前は宇宙人と認識したものに対して異常なまでに興奮と憎悪を抱くらしい、ベルの持ってる“仮の記憶”とも関係があるのかな?」


 「確かに敵と対峙していた時は少し気分が昂るような気がしたな」


 そう記憶を振り返りながら言ったベル、すると不意に遠くから巨大な研究所の屋根が姿を現したかと思うと段々とその全貌が見えてきた。


 「あー、やっぱり研究所も襲われてたか。しかしまぁ被害は最小に抑えられたみたいだな」


 「ところで悟史、倒した敵はどうするのだ? 燃やして処分でもするつもりなのか?」


 「まさか。人間がここまで生き続けられたのもリサイクル精神があったお陰だからな」


 何か知っている様にそう笑ってみせた悟史、だがベルの方は疑問あり気に首をかしげたのであった。

Re: VS人類 ( No.9 )
日時: 2019/07/13 21:10
名前: 綾音ニコラ@MRK (ID: 3pCve.u0)

上げます!


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