ダーク・ファンタジー小説

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二次元カメラマンは最強が取り柄
日時: 2019/06/29 13:42
名前: 塩辛太郎 (ID: J7cTSWkd)


漫画やアニメを見たことがあるだろうか?

描かれた登場人物がまるで生きているかのような表情、言葉を発する、そんな世界を。
一度、見てみて欲しい。アソパソマソでもぷいきゅあでも良いから。

さて、アニメや漫画を見たことがある人に尋ねたい。考えたことはあるだろうか。
度重なる戦闘シーン・死亡シーン・感動シーンetc…そんな全てのシーンは、誰の目線なのだろうかと。
あんな激戦の最中に、全ての攻撃を避け、しっかりと重要なシーンをかっさらっていく。
また、あの都合のいいシチュエーションはどのように起こっているのだろうか。
キスシーンの際にタイミングよく光る夕日。
ヒロインが眼鏡を外した時に起こる風やビルから落ちても生きている主人公だって、普通はあり得ない。
ならば、誰がその物語の『あり得ない』を実現させているのだろうか。
そう、その答えは。

「はいじゃあ今日もよろしくお願いしあーす」

…全国でたった二人、世界規模でたった200人。彼ら、彼女らは…

二次元限定カメラマンである。
__________________________________________________________________________________________

「え、アクション系の撮影?またぁ?」

「残念ナガーラ…マシモトサンも大変アルね」

「ジョイソン君と、あとウォンもだべや。僕はまた恋愛もの…なんでさ!」

「oh…今回の仕事、難しい、多いですネ」

「こないだも流れ弾喰らったのに…」

「僕なんか喧嘩の最中に放られて、危うく怒りの矛先がこちらに向かいそうになりましたよ…」

実は、アニメや漫画に出てくる話というのは、元々人に届ける様に良く出来てはいない。
容赦なく服が破けて裸になるし、内臓が出た時なんかはもっとエグい。
それをなんとか加工し、裏で手を回して物語を正当化させるのが彼ら仕事である。
二次元限定カメラマンは、大きく四つに部署が分かれている。
一つ目は、映像課。主にアニメやMMDなどの撮影を担当、その殆どが動画。その為動画課とも呼ばれる。
大人数で、カメラマンの半分はこの課に所属している。
二つ目は加工・編集課。その名の通り、あらゆる視点からの動画を織り交ぜ、加工・編集をしている。
少数派だが、度々異動が行われているらしい。
三つ目は調節課。物語の筋道を正すため、シチュエーションを整える為に東奔西走している。何気に一番辛い。
正直人数の把握が追いつかないほどに彼らは忙しいが、そこそこ大人数。裏社会につながっているという噂。
最後は写真課。主に漫画・イラストなどの撮影を担当、その殆どが静止画。物語の内容も覚え、書いている。
最も少数であり、仕事が多い課。因みに俺はここに所属している。
他にも共同で作業している二次元限定台詞屋等があるらしいが、正直多すぎてよく分からない。
二次元限定心情屋などもあるらしい。良くわからない。

…数日前。

「…僕タチノ仕事、世界に知ってモライタイアル!」

「……What?!」

「唐突すぎるべ!」

「小説がいいアルネ」

王が言い出したことなのだが、いかんせん彼奴は映像課。じゃあ誰が書くか。…無論、写真課である。

「………面白そうだな、やってみるか。」

課長は勝手に引き受けた。そしてその仕事を全て俺に任せた。全くもって糞野郎!
渋々ながらこうして文字を並べている俺は、現在三徹目である。ソロソロタオレソウ。

俗に言う、『語り部』。

それを担うのが、我らが写真課である。
別に、今日という日が特別でなければ、王だってあんなことを言い出さなかったはずなのだ。
俺たちはつい先程、戦争中の魔法国家に放り込まれた。

「………えぇ…?」

Re: 二次元カメラマンは最強が取り柄 ( No.1 )
日時: 2019/06/29 14:27
名前: 塩辛太郎 (ID: J7cTSWkd)


設定

《日本》
骨富洌子ホネトミキヨコ
→主人公。こんな名前だが男。命名は祖母らしい。本作の語り部であり、写真課に所属する社員。現在21歳。
恋墨朝焼コイズミアサヤ
→洌子の友人。『〜だべや』等、方言っぽい言葉を使うが根っからの都会っ子。同じく写真課。現在20歳。

《アメリカ》
・ジョイソン・ジャクソン
→王の友人。この中では唯一の常識人。若干片言だが、機嫌が悪い時はとても綺麗に日本語を喋る。映像課。
年齢不詳。

《中華人民共和国》
王三災ウォンサンサイ
→朝焼の従兄弟。『アルネ』という言葉を使う。わざとらしい。自由奔放でマイペースだが、底抜けに明るく優しい。調節課。現在19歳。ボクっ娘。どうやら一人称の理解があまり出来ていないらしい。

《ドイツ》
・ディートフルート・ツェーザル
→高身長イケメン。性格もイケメン。声が低い。無口だが怒ると怖い。加工・編集課。現在20歳。

《??》
・マシモト
→写真課課長。しょっちゅう洌子に厄介ごとを持ち込んでいる。洌子の家族代わりだとか。現在26歳。
・パッション・バナナンゴ
→ふざけた名前を持つ映像課課長。やたらテンションが高い女性。現在25歳。
・田中太郎
→最年長。加工・編集課課長。しっかり者だがダジャレ好きでよく滑る。現在34歳。
・エーミール・ヒューバットソン
→調節課課長。忙殺されかけている青年。妹の為に働いている。現在23歳。
・エコー・シンドローム
→二次元限定カメラマンの創設者。威厳のある男性。創設理由は不明。現在27歳。

Re: 二次元カメラマンは最強が取り柄 ( No.2 )
日時: 2019/07/16 17:16
名前: 塩辛太郎 (ID: J7cTSWkd)


今日の撮影場所はこんな所であっただろうか。俺たちはそう思いながら辺りを見回した。
どこを見てもあるのは夥しい数の死体に火。流れてくる風は全て焼け焦げた肉と血の匂い一色であった。
正直気分が悪い。今すぐにでも胃の中のものをブチまけそうだ。
その時、手に持った携帯が音を発しながら震えた。画面には『マシモト』という文字が浮かんでいた。
うんざりしながら、俺は応答する。

「……マシモトさん?あんた、一体どういうつもりで俺ら此処に入れたんすか?返答によっちゃあ今日の夕飯作りませんよ?」

『おう、まあ落ち着け洌子。そこは今戦争地帯なんだが、撮影を許可する代わりに争いを収めてほしいという依頼があってな。まあ、お前らなら生きて帰ってこれるだろ。もし本当に誰か死に掛けたりしたら直ぐ行くから。そんな訳で頼んだぞ〜。あ、夕飯は俺が作るから心配しなくていい。健闘を祈る!』

プツ…プープー

そんな音が聞こえた。俺は今にでもこの電子機器を握りつぶさんと手に力を込めていたが、ふと力を抜く。
成る程確かにこの戦争は絵になりそうだ。加えて、アレくらいならばまあなんとか俺たちで収められる。
問題は両方のボスを処理するか否か。そして、収めつつもどうやって映像を撮るか。
あの家族面野郎の所為でまた面倒な仕事が一つ増えた。三徹目だぞ?いい加減にしてくれ!
本当は今にもその場にぶっ倒れて寝たいぐらいであった。
しかし、仕方がない。結局あの男の頼みとあっては断る理由も言い訳もなかなか無いのだから。
手始めに、と考えながら、一緒に転送された者が武器を取り出し始める。
ある者は日本刀を。ある者は機関銃を。ある者はナイフを。ある者は双剣を。俺は因みに手榴弾等の爆弾だ。
ロケットランチャーを使うのは全員共通である。

さて、普段は徹夜してまでも動画を仕上げている俺たちだが、実は戦闘が得意なのだ。
…え?何故かって?決まっているだろう!
殴り合いの現場、命をかけたラスボスとの戦い、正念場での神業…その全てを見、そして撮ってくるのが日常茶飯事なのだから!
その上労災は一切無いと言うのだから、ブラック企業にもほどがある。
どうやってこの場を沈めるか、それだけが思考を満たしていた。


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