ダーク・ファンタジー小説

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beautiful star
日時: 2019/07/02 18:34
名前: 花崎 (ID: gztLb/xO)




これは、小さくも美しい星で出会った少年と少女の大きな物語──











初めまして!花崎です!
まずはこんな駄作を見ていただき、ありがとうございます!
星を中心に書いていくので言葉では言い表せないような美しい星空をイメージしながらお読みください。
そして、まだカキコは初めてなのですが温かい目で見て下さい!
(コメントをいただけると発狂して喜びます)

Re: beautiful star ( No.1 )
日時: 2019/07/02 17:49
名前: 花崎 (ID: ox6XGyyt)

「ねぇ、見て!」
満天の星の下、純白のワンピースをひるがえし、少女は母と父に向かって指をさして言った。
「あれが地球っていうのね!」
少女は満面の笑みで振り返る。だが、そこには誰もいなかった。闇の中ただ広い草原が広がっているだけである。途端に表情が暗くなる。
それはわずか1週間前のことだった—
少女の両親はある組織の情報課に勤めていた。その組織はこの星、スピカを守るための秘密組織、チュトラリーである。両親は誰にも優しく、人当たりも良かったという。
 だが何故少女の前から姿を消したのか?それはたった一つの噂がきっかけであった。スピカの新聞に、こんな記事が載っていたのである。
 「『スピカ、他の星へ侵略か!?』」
無論そんなことはない。これはスピカとは仲の悪い星シャウラの中で起こった噂であった。そしてその事を信じたスピカの星王がシャウラとの星間戦争を開始したのである。そこでスピカはチュトラリーを戦争へ派遣させたのだが不運なことにスピカの軍はシャウラの軍に負けてしまった。その戦争の中で少女の両親も命を落としてしまったのであった。
 「ママ…パパ…」
少女はその場でうずくまり、泣き出した。もうあの楽しかった日々は戻ってこない。もうあの優しい笑顔は見られない。彼女はとても明るく元気な少女であった。しかし、今は元気を出そうにも孤独感が襲ってくる。 自分はこれからどうやって生きていけばいいのか、その問いには誰も答えてくれない。まだ10歳前後の健気な少女には辛すぎる体験である。風のない美しい夜空の下、少女はただただ泣いているばかりであった。

Re: beautiful star ( No.2 )
日時: 2019/07/02 18:19
名前: 花崎 (ID: gztLb/xO)

 目を開けようとすると光が見えた。あまりの眩しさに目がくらみしっかりと開けることは出来なかったが、誰か人影が見える。やっと目が光に慣れると身長からして同じくらいの年だろうか、帽子をかぶった少年がいた。
 「お前、大丈夫か?」
少年は言った。だが少女は何が起こったのかわからず、はいと言えずただ少年を見つめるばかりであった。すると唐突に少年はノースリーブのワンピースから露となった腕を掴んだ。
「なっ……!冷えてるじゃないか!温めてやる、俺の家に来い。」そう焦っているようでぶっきらぼうに少年は言った。そして、少女の腕を少し強引に引っ張り、歩き出した。広い草原を星に照された二人の影が歩いていく。星たちはそんな二人を見守っているようにも見えた。
 しばらく歩き、急に少年が口を開いた。
「名前は?」
少女はただ腕を引っ張られて歩きながら答える。
「……シエル。」
「そうか、俺はソルだ。」
また無言になった彼らは歩く、少年の家へ向かって。
これが二人の出会いであった。だが後に幾つもの星を驚かすペアとなる。それはまだ先の話……

Re: beautiful star ( No.3 )
日時: 2019/07/09 18:21
名前: 花崎 (ID: qUdGi0sK)

すみません!少し訂正しました!

 ソルの家は草原にぽつんと建っていた。大きく全体的にアンティークなもので統一され、至るところに時計がある。家は1階から2階まで吹き抜けになっていてより大きく感じられる構造となっている。
「俺の父さんは時計職人なんだ。」
コートかけに上着と帽子をかけ、キッチンで紅茶を淹れながらソルは言った。
「時計?」ソファーに座ったシエルが思わず聞き返すと、ん、という空返事が返ってきた。
「あらゆる客の依頼に答えて世界に一つだけの時計を作る。俺もそんな父さんに憧れて時計作りの勉強をしているんだ。」
そう言ってソルは紅茶ができるのを待っている間に一つの腕時計を持ってきた。時計のバンドは革で作られ、文字盤にはラメ入りの青い三日月が入っている。
「わぁ……綺麗……」
「やる。」
「え?」
「その時計、お前にやるよ。」
シエルの言葉を聞いて、ソルは時計に執着してないように言った。
「いいの?」
実際、シエルはその腕時計を欲しいと思っていたのだが、あえて聞いてみた。
「ああ。もう腕時計なんて飽きるほど作ってる。俺が本当に作りたいのはああいう壁時計なんだ。」
ソルは家の中の吹き抜けの2階の場所にある一番大きな時計を見て言った。豪華な装飾がしてあり、他の時計を従えるかのような存在感だ。シエルはちょうど今貰った腕に時計をつけてからソルの言う時計を見上げた。
「あれもソルのお父さんが作ったの?」
「そうだ。だが今父さんは他の星からの依頼で出張してていないんだ。」
「凄い……」
 シエルが時計に感動していると、やかんが音をたてた。ソルはキッチンに戻り、紅茶にミルクを入れてクッキーと一緒に運んで再びシエルのところへ現れた。ソファーに座ったソルはシエルにミルクティーを渡し、クッキーの皿をテーブルの真ん中に置いた。コサナチ、とスピカの言葉でありがとうとソルに告げたシエルはミルクティーとクッキーを少しずつ口に入れた。
「ん、美味しい!」
アッサムのミルクティーの甘さがクッキーのバター風味ととても合っていて濃厚な味わいがやみつきになる。
「そのクッキーは俺の母さんが作ったんだ。」
「ソルのお母さん?」
ああ、と返事をしたソルは紅茶をすすった。
「母さんは料理が得意なんだ。だからいつもお菓子を作ってくれる。でも今は父さんの出張へ行っていていないんだ。だからこれは作り置き。」
シエルは少し複雑な気持ちであった。なぜなら彼女の母も料理が得意だったからである。今でも母の作ってくれたスピカの伝統料理が食べたくて自分でも作ってみるが、なかなか母の料理には程遠い。
 するとシエルに一つの疑問がわいてきた。
「でもソルはその出張についていかなかったの?」
ソルは5枚目となるクッキーを食べて言った。
「ああ、俺の家では羊を飼っているから誰か面倒を見なきゃいけないんだ。」
「そうなんだ……」
二人は会話をやめ、紅茶とクッキーを口に入れた。

時刻はもうすぐ12時になる。

Re: beautiful star ( No.4 )
日時: 2019/07/09 18:31
名前: 花崎 (ID: qUdGi0sK)

笛の音がした。
壮大な自然の香りがした。
パンの匂いもした。
光がさしこんで来た。
そんな中シエルは、目を開ける。
起きると、ベッドの上だった。ソルのお母さんのベッドである。まだ少し眠い目をこすりながらベッドを降りてソルを探す。だがソルの姿は見えなかった。一瞬焦ったが、すぐに納得がいった。
さっきの笛は羊を世話している時のものか。
 ソルに会うため、家の外へ出た。綺麗な快晴で気持ちが晴れ晴れする。周りには手入れの行き届いた美しい花畑が広がっていた。昨日は夜だったから見えなかったのである。花畑に寝転がりたい気持ちを抑え、ソルを探した。
 メェー
突然後ろからそんななき声が聞こえ、体がこわばった。少し怖がりながらも振り向くと、一匹の子羊がいた。ちょっと汚れた毛に憎めない顔。シエルは心が高鳴った気がした。
「サナハ」
シエルがスピカの言葉でおはようと言うと、子羊はメェーとまたないた。
 「おい!勝手にそっち行くな……ってシエル、起きたのか。」
「うん、サナハ」
ソルの声が聞こえてシエルは顔を上げた。そこには笛を持ったソルが立っていた。子羊との戯れをやめ、シエルはあいさつをする。
「サ、サナハ……」
長い黒髪が揺れ、斜めに顔にかかった髪が色気を醸し出し一瞬シエルが大人びたようになってソルは心が高鳴った。まるで一輪の百合のようだと思ったが首をふって邪念を払う。
「パン、用意してあるぞ、冷蔵庫にジャムがあるから使いたかったら使ってくれ。」
「本当!?コサナチ!」
目を輝かせながら走っていったシエルはやはり子供だった。ソルはその姿を見つめていたが、羊が体当たりしたため転んでしまった。幸い、シエルに転んだ姿は見られていないようでほっと心の中で安堵した。


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